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055 トップ会談

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 ――数日後。

「頑張ってなの、おとーさん!」
「ファイトです、ユートさん」
「マスター、自信を持て」

 仲間達が励ましてくる。
 だが、俺の顔は浮かなかった。

「やっぱり緊張するなぁ」
「大丈夫、私も付いているから!」

 そう、今日は二菱の重役と会うのだ。
 相手は、二菱不動産のトップである。
 ホームページから、名前と顔は確認済み。
 驚いたことに、俺よりも年下の女だ。

「では、行ってくる」

 三人を家に残し、俺とアンズは二菱不動産に向かった。
 適当にタクシーを捕まえ、揺られること二時間。
 窓の眺めが高層ビル群に変わり出した頃、車が止まった。
 二菱不動産の本社ビルに到着だ。
 さすが大企業、自社ビルも特大規模である。

「到着!」
「長かった。もう帰りたい」
「こら! まだ始まってすらいないぞ!」

 へこたれる俺の尻を叩きながら、アンズがグイグイと進む。
 その後ろに、ビクビクしながら俺も続いた。

「では、こちらでお待ちくださいませ」

 なんだかよく分からない内に、応接室へ通された。
 応接室には、革張りの黒いソファが向き合うように置かれている。
 ソファとソファの間には、漆黒のローテーブルがあった。
 太い脚と艶やかな光沢が、高級感を醸し出している。

「ほら、ドッシリと構えて!」

 そう言いながら、アンズがドンッとソファに腰を下ろす。
 言葉通り、彼女はいたって平静に、ドッシリと構えている。
 俺には到底できない、と改めて尊敬の念を抱いた。

「そうは言われても緊張するぜ」

 そんな話をしていると、応接室に二人の女が入ってきた。
 どちらも黒のスーツがピシッと決まっていて、凛々しい。
 片方の女には、見覚えがあった。
 二菱不動産の社長、二菱時雨しぐれだ。
 ダークブラウンのセミロングは、写真と変わらない。
 しかし、写真で見るよりも、ずっと美人で、ずっと怖い。
 ミズキに劣らぬ、突き刺すような鋭い眼光が放たれていた。

 彼女の姿を視認すると、アンズがスッと立ち上がった。
 それに合わせて、俺も慌て気味に立ち上がる。

「この度はお越しくださり……」

 そこまで言ったところで、二菱時雨は言葉を止めた。

「堅苦しい挨拶はナシにしよっか」

 にこやかな表情で、時雨が言う。
 それに対し、「そうね」とアンズも笑顔で頷いた。
 想像していたよりも、和やかな雰囲気だ。

「はじめまして、斎藤さん」

 時雨が右手を差し伸べ、握手を促してくる。
 その表情は、非常に柔らかい笑顔だ。

「え、あ、はい、はじめまして」

 ビクビクしながら、俺はその手に応えた。
 アンズは笑顔で「ウンウン」と頷いている。

「二菱不動産、代表執行役社長の二菱時雨です」

 そう言って、時雨が名刺を渡してきた。
 その時になって、俺は初めて名刺の存在に気づく。

「め、めめ、名刺!?」

 思いっきり慌てる。
 名刺の受け取り方が分からない。
 しかし、問題はそこではなかった。

 俺は名刺を持っていないのだ。
 受け取るよりも前に、渡す名刺がないのは問題だ。
 ただいま名刺を切らしていまして、なんて恥ずかしくて言えない。

「あはは、杏子の言っていた通りね」

 俺の反応を見て、時雨が笑った。
 その後ろで、もう一人の女もクスクスと笑う。
 俺は「へっ?」と間抜けな声を上げた。
 どういうことなんだ、と戸惑っている。

「斎藤さんがこのような場に不慣れなことは、そちらの杏野から聞いていたので知っています。それと、私と杏野は学生時代からの古い付き合いなんですよ。ですから、そう緊張されなくても結構です。ビジネスの場ではありますが、堅苦しい礼儀作法は抜きにしましょう」

 言い終えると、時雨はソファに腰を下ろす。
 その横に、もう一人の女も座った。
 その女に手を向け、時雨が紹介を始める。

「彼女は、秘書の華村はなむらです」
「はじめまして、華村秘書子と申します」
「ああ、ど、どうも、はじめまして」

 秘書子は、静かに微笑んだ。
 黒のショートヘアがよく似合っている。

「アンズ、二菱の人達と仲が良かったのか」

 向かいのソファに座り直し、アンズに尋ねる。
 アンズは「イエス!」とドヤ顔で胸を張った。

「細かい話は前回詰めましたし、今日は雑談でもいかがですか?」

 時雨が提案してくる。
 俺は「アンズに任せる」と得意の丸投げ。
 それに対し、アンズは「オッケー!」と雑談を承諾。

「斎藤さんのこと、気になっていたのですよ」
「どうしてですか?」
「こちらの調べや杏野……杏子でいいか。杏子に訊いた限りだと、大量の剃刀、マグボトル、それに最近は缶詰を仕入れていますよね。今回作る倉庫にしたって、それらの商品を収納する為の物だと伺っています」
「はい、その通りです」
「ですが、それらをどう捌いているのかは一切分かりません。それに、輸出した形跡もまるでない。ただひたすらに商品が集まり、集まり、集まるだけ。普通なら、どこかでパンクしますよね。しかし、それがない」

 アンズがどの程度話しているのか察することが出来た。
 エストラ異世界についてはノータッチなのだ。

「一体、どういうからくりなのだろう……と気になっていました」
「いやぁ、それは、企業秘密ということで」

 素直に答えるわけにもいかない。
 それに、答えたところで信じてもらえないだろう。
 だから、適当に話を濁す。

「尋問するようで申し訳ないのですが、他にも質問していいですか?」

 時雨が訊いてくる。
 疑問符が付いているけど、こちらに拒否権はない。
 俺は「かまいませんよ」と答えた。
 相手が気遣ってくれていることもあり、コミュ障は爆発していない。

「杏子から聞いた話ですと、主に投資で稼いでおられるのですよね?」
「イエス! ユート君は、株式投資の天才なのだ!」

 この質問には、アンズが代わりに答えた。
 だから、俺は「まぁ、一応」と言うに留まる。

「私の個人資産も、運用をお任せしたりできますか?」

 時雨が笑いながら言ってくる。
 冗談なのか、本気なのか、俺には分からない。
 そんな時の答えは――。

「そういった判断は全て、アンズに任せていますので……」

 アンズに丸投げだ。

「と言っているけど、杏子、どうかしら?」
「時雨が一カ月、私の秘書になるなら考えるわよ」
「あはは、交渉は決裂ね」
「いやぁ、残念!」

 二人が楽しそうに笑い合う。
 俺と秘書子は、合わせるようにクスリと笑った。

「時雨、お茶を入れてくるね」
「ありがとう、秘書子」

 秘書子の口調に驚く。
 ただの秘書、というわけではないようだ。
 杏子と同様、時雨とは学友か何かなのだろう。

「さて、杏子の彼氏さんに、何を訊こうかしら」
「ちょっと時雨、私とユート君はそういう関係じゃないよ」
「あら、そうなの?」
「うっそー! 恋人同士だよー!」
「いやいや、違うだろ」

 その後も、雑談が続いた。
 内容は、他愛もない話ばかりだ。
 皆の学生時代はどうだったとか、仕事の愚痴だとか。
 中には、ネットゲームの話をしたりもした。

「実は時雨と秘書子も、昔はネトゲをしていたんだよ!」
「え、マジで? 大企業の社長が!?」

 時雨が、「当時は学生だったけどね」と笑う。

 雑談も一通りすると、仕事の話に戻った。
 といっても、ガッツリと話し込んだりはしない。
 こちらが語りたがらない以上、相手も詮索しないのだ。

「倉庫が出来たら、収納スペースが今の百倍を優に超すけど、それに見合うだけの入荷量は確保できているの? どういう商売かは知らないけど、現状では仕入れ分をあっさり捌けるみたいだし、もっと増やしてもいいんじゃない?」

 時雨が訊いてくる。
 俺は、「それがそうもいかないんだ」とため息をついた。

「問題は相手方の生産量が追い付いていないことなんだ。特に問題なのはマグボトル。今の十倍、いや、百倍くらいあっても問題ないくらい、需要があるんだ。でも、それだけを生産する能力が相手にない」

 少し愚痴っぽくなった。
 だが、時雨は気にする様子を見せない。
 小さく「ふむ」と呟いた後、口に手を当て考え込んだ。
 それから数秒後、「それなら」と口を開いた。

「工場を作るのはどう? マグボトルの製造工場」
「工場を? 俺が?」
「そう。斎藤さん専用の製造工場。そこで大量生産をして、今度作る倉庫に運び込むわけ。不要になったら、工場は畳めばいい。斎藤さんの場合、どういうわけかマグボトル等の売上は収益にならないみたいだし、特に問題ないんじゃない?」
「夢のある話だけど、そんなうまくいくものかなぁ」

 時雨の提案は、たしかに面白い。
 だが、現実的に可能なのだろうか。

「その点は問題ないよ。私達にも甘い汁を吸わせてくれるなら、二菱グループが総力を挙げて協力させてもらうから」

 日本最大の二菱グループが総力を挙げて……。
 その響きだけで、眩暈がするほどに痺れた。

「マグボトルの生産量が増えるなら、こちらとしては文句ないな。細かい条件で折り合いがつけば、是非お願いしたい」
「なら、早速商談に入る?」

 時雨がニヤリと笑う。
 そこに、アンズが割って入った。

「残念だけど、商談は私の担当だよ!」
「えー、杏子はきついとこ突くからなぁ」

 お手上げとばかりに、両手を上げて笑う時雨。
 それに対し、アンズは「ふっふっふ」と笑った。

「実際、うちの決定権はアンズが握っているからね。だから、工場の件はアンズと協議してほしい」
「分かったわ。もう少し話したいけど、次の予定があるので今日はこれで」

 こうして、二菱不動産での和やかな顔合わせが終わる。
 それと同時に、俺専用の新工場についての計画が動き出した。
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