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第010話 二日目の活動③

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「一番風呂は俺だ! 絶対に入ってくるなよ! 添い寝は認めても、入浴の邪魔は許さないからな!」
「そんなぁ! リュート様と一緒がいいです!」
「断る! アリシア、リアが浴室に侵入しようとしたら止めるように!」
「かしこまりました、マスター」

 そう、俺は風呂が大好きなのだ。
 兎にも角にも風呂が好きな、まさにバス浪漫である。
 女の入浴など興味がなく、ただ自分が快適に風呂を楽しみたい。

 ――そんなわけで、俺はしばしの入浴を楽しんだ。

 入浴を終えると、バスローブでくつろぐ。
 本日作ったソファに腰を下ろし、作りたてのコーヒー牛乳を飲む。
 当然ながら容器は瓶だ。消費CPが無駄に嵩張ったが気にしない。
 混浴を切に訴えたリアは、アリシアと2人で入浴中だ。

「あとはガンガンの冷房さえあれば最高なんだがなぁ」

 エアコンを作ることは出来ない。
 電気を使う為、消費CPがべらぼうに跳ね上がるからだ。
 CPに余裕が出来たら、絶対にエアコンを設置してやるぞ。

「サッパリしたにゃぁー♪」
「すごく気持ち良かったですね」

 リアとアリシアが風呂から戻ってきた。
 2人も俺が用意しておいたバスローブに身を包んでいる。
 リアは幼女だから発育がよろしくない。
 一方、アリシアは凄まじかった。
 鎧で隠れていた巨乳が、バスローブだと丸分かりだ。

「ア、アリシア、近くに寄れ!」

 アリシアが「かしこまりました」と近づく。
 俺の前に立ち、「こちらでよろしいでしょうか?」と訊いてきた。
 俺は頷いた後、「そこに屈んでくれ」と命令する。
 当然ながら、彼女はその命令を忠実に実行した。

「おほっ……。これはたまらん……!」

 胸の谷間が目に入る。
 流石は俺の理想とする容姿だ。
 随の随まで俺のツボを押さえていやがる。
 この場にリアがいなければ、俺の性欲が爆発していた。

「ご、ごくろう、もうよいぞ……!」

 これ以上は暴走しかねない。
 というより、既に我が息子は直立していた。

「よ、よし! さっさと服を着よう!」
「はいですにゃぁー」
「かしこまりました」

 発情したジュニアがバレぬよう、二人に背を向けて寝間着に着替える。
 その間に、リアとアリシアも寝間着に着替えていた。
 リアはともかく、アリシアの胸部がこれまたけしからん膨らみをしている。

「月光が差し込んでいる内に寝よう!」

 深く妄想し始めると収拾が付かなくなる。
 だから、俺は迅速にベッドへ飛び込んだ。

「今日は堂々とリュート様のお布団に入れますにゃぁ」

 後を追って、リアが入ってくる。
 足下から侵入を始め、俺の胸元までカサカサと移動した。
 そして、今朝と同じく、クルリと丸くなる。

「俺は撫でてやればいいのか?」
「してもらえるのですか? ありがとうございます!」
「いや、尋ねたのだが……まぁいい」

 ご要望にお応えした。
 ひと撫でする度に甘えた声が返ってくる。
 堪能していると、背後のベッドから控え目の音が聞こえた。
 アリシアが静かにベッドインした音だ。

「おやすみ、アリシア」
「おやすみなさいませ、マスター」
「おやすみにゃぁ」

 リアの鳴き声を堪能しながら、俺は眠りに就いた。


 ……。

 …………。

 ………………。

 ……………………。

「マスター、起きて下さい」

 突然、アリシアに起こされた。
 眠りに就いてからどのくらいが経ったのだろう、と考えるほど頭は冴えていない。思ったことといえば、「まだ夜じゃねーか」といったアリシアに対する微かな苛立ちであった。もう少し冷静だったならば、この時点で何か問題が起きているであろうことを察せられたはずだ。

「どうかしたのか?」

 身体をアリシアのベッドに向ける。
 アリシアはベッドから這い出ており、自身と俺のベッドの間にある僅かなスペースに立っていた。
 リアが寝言で「にゃぁにゃぁ」言いながら服を引っ張ってくる。自分に背中を向けるんじゃねぇ、とでも言いたいのだろう。今は無視だ。

「何かが近づいてくる気配がします」

 アリシアが言う。
 この一言で、俺の緊張感が高まった。

「敵か?」
「わかりません」
「数は?」
「正確には分かりませんが数体います。背丈は低いように感じます。人であればリアさんと同等かそれ以下。勘ですが、おそらく人でなく獣の類かと思われます」

 最強の女騎士が言うことだ、間違いない。

「獣か……」

 どうするか悩む。
 アリシアに命令して駆除させるべきだろうか。
 しかし、食べるわけでもないのに殺すのはどうなのだろう。
 まだまだ平和ボケが抜けていない。

「とりあえず様子を見よう。こちらに危害を加えるようなら、殺さない程度に痛めつけて逃がそうか」
「かしこまりました」

 俺は身体を翻し、アリシアに背を向ける。
 本当は彼女の方を見て動向を把握したかったが仕方ない。
 リアがひたすらに鳴き続けているからだ。
 近づく獣が変に敵意をもっても困る。

「ほーら、よしよし、大人しくしとけよー」

 リアの小さな身体を包むように抱きしめ、背中を撫でる。
 背中を撫でられるのも嬉しいらしく、「にゃぁ」と返ってきた。
 声が漏れぬよう、リアの顔を俺の胸に埋めておく。
 呼吸が出来るように、力加減の配慮も忘れない。

「ガルルゥ」「ガルルゥ」

 俺にも気配が伝わってきた。
 気配というか呻き声だけれど。
 距離はかなり近いみたいだ。

 呻き声の位置が緩やかに移動していく。
 人間の徒歩と同レベルの速度だ。
 しばらくして、呻き声が消えた。
 家を通過した辺りの所で。

 数秒後、クチャクチャという音が聞こえ始めた。
 何かを食べているらしい。場所からすると畑に居るようだ。
 普通の畑ならばともかく、我が家の畑は特別製である。
 水をやらねば食べ物は生まれないはずだが……。

「アリシア、様子を見に行こう」
「かしこまりました、マスター」

 俺はリアを抱えながら立ち上がった。
 リアは寝ているにもかかわらず、空気を読んでいる。
 なんと、立ち上がった瞬間に抱きついてきたのだ。
 小さく短い腕を俺の首に回して、ギューッと。
 これならば落ちることもあるまい。

「先頭を頼めるか?」
「もちろんでございます」

 アリシアに続く形で家を出る。
 家を出てすぐに、アリシアが動きを止めた。
 だから俺も立ち止まり、そーっと畑を窺う。

「なんだ、そういうことか」

 畑には痩せこけた野犬が三匹居たのだ。
 そいつらが必死に頬張っているのはトマトである。
 リアが召喚しすぎた為、その場に捨て置いたものだ。

「よほど空腹だったようだな……」

 野犬は俺達に気づくも、食事を中断しなかった。
 数個のトマトを取り合うようにがっついている。

「待っていろ、もっとたくさんやるからな」

 俺は【クラフト】で大量のメシを作ってやることにした。
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