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006 公衆浴場

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 全裸の美女がそこらに立っていて、物珍しそうに俺を見ている。

 元々は人間の男だった俺は、当然ながら興奮する。

「グォッオッオ♪(うへへ)」

 むにゅ。

 スケベ心を全開にして、目の前に居る美女の胸を触る。

 右手を当てて、揉み揉み、揉み揉み。

「あはは、このドラゴン、エッチー!」

「お母さんドラゴンと勘違いしているのかなぁ?」

「きゃー可愛い!」

 思った通り、俺のセクハラはセクハラとして認識されなかった。

「グォッオッオ♪(たまんねぇ!)」

「鳴き声も可愛いー!」

「私も触って触ってー! ほら!」

 別の美女が胸をさらけ出してくる。

 なんとびっくり自分から揉み揉みを所望しているのだ。

 なんだこのパラダイス、なんだこの展開!

「グォッオッオ♪(では遠慮無くー♪)」

 むにゅ、むにゅ。

「ああーん! 可愛いぃぃ!」

 美女のおっぱいを堂々と揉んでニッコリする俺。

 俺におっぱいを揉み揉みされてニッコリする美女。

「アーシャのシロ君は大人気ー♪」

 そんな俺達を見てニッコリするアーシャ。

 誰も損のしないwin-win-winの関係が出来上がっていた。

「ギャオーン♪(バハムート最高!)」

 アーシャにテイムされて良かった、と心から思う俺だった。

 ◇

 風呂を上がると、アーシャが身体を拭いてくれた。

 小さな両手でバスタオルを持ち、俺の身体をワシャワシャと。

「シロ君はすぐに乾いて羨ましいの!」

 俺の身体には毛が生えていない。

 全身を覆うのは白い鱗で、これは水分をよく弾く。

 だから、軽くサッと拭くだけで乾くのだった。

「アーシャは髪の毛が長くてなかなか乾かないの!」

 アーシャの髪は腰のあたりまで伸びている。

 それだけの長さだと、乾かすのが大変そうだ。

「だからこれで乾かすの!
 ドライヤーっていう、魔法の道具だよぉ」

 備え付けのドライヤーを手に取るアーシャ。

 スイッチを入れると、内蔵されている魔法石が反応する。

 それによって、先端の口から温風が吹き出した。

 その風を髪に当てることで、素早く髪を乾かしていく。

 ドライヤーの風に煽られて、アーシャの髪が激しく踊っていた。

 ◇

 公衆浴場を後にしたアーシャは、湯冷めする前に宿屋へ移動した。

 どうやら自分の家を持っていないようだ。

 それ自体は一般的だが、この年頃の子が一人で過ごすのは珍しい。

 というか、アーシャ以外に、こんな子は見たことがなかった。

 普通、彼女のような年頃の子は、両親と共に暮らしている。

 または孤児院だ。

「今日はここがアーシャのお部屋なの♪」

 借りた部屋に入ると、アーシャはベッドにダイブした。

 俺を頭に載せたままのダイブだったので、当然ながら俺は驚愕する。

 大慌てで翼をパタパタさせて、どうにか空中に避難することが出来た。

「ふかふかのベッドは気持ちいいの!」

 ベッドに顔を埋めて、手足をバタバタさせるアーシャ。

 そんな彼女の背中に、俺はゆっくりと着地した。

「うへへぇ♪」

 アーシャのバタバタがよりいっそう激しくなる。

 しばらくの間、彼女は狂ったように暴れていた。

 湯冷めどころか、逆に汗をかきそうな勢いだ。

 というか、実際にかいていた。馬鹿である。

「シロ君、寝るよぉ」

 どうやら眠りに就くようだ。

 アーシャは一度ベッドから出た後、再びベッドに入る。

 今度はダイブするのではなく、スッと布団に身体を潜らせた。

 俺はベッドの上で浮遊しながら、その様を眺める。

「おいで、シロ君!」

 呼ばれたので、ゆっくりとアーシャの胸元に着地する。

 そこで身体を丸めたのだが、すぐにアーシャが持ち上げた。

 天井に向かって、高い高いされるような格好になる。

「シロ君は、アーシャの隣!」

 と思ったら、俺も布団の中に入れられた。

 言葉通り、アーシャの隣に置かれる。

「これからもアーシャのことを守ってなの」

 そう言うと、アーシャがギュッと抱きしめてきた。

 ぎゅーっと、ぎゅーーーっと、ぎゅーーーーーっと。

「グヘェ……」

 結構な力で苦しかった。

 俺が半開きの口から舌を伸ばしてもがく間に――。

「ふにゃぁ……ふにゃぁ……Zzz」

 ――アーシャは眠りに就いていた。

 にんまりとした笑みを浮かべ、心地よさそうな寝息を立てている。

 その顔を見ていると、少しくらいは我慢してやるか、と思えた。
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