破棄された婚約の行方は

第1話：破棄された婚約と出会いの料理人

王子が私を見下ろすようにして言った。

「エリーゼよ、我々の婚約はこれにて破棄とする」

彼の名はアレクサンダー王子。金髪をなびかせ、高潔な青い瞳で私を見つめた。

私は思わず笑みを浮かべてしまった。

「おお、アレクサンダー様。それはどうもありがとうございます」

彼は驚いた顔をし、戸惑っていた。

「お前、喜んでいるのか？」

私はにっこりと笑って答えた。

「ええ、それが真実です。政略結婚に嫌気がさしていましたから」

そんな私の態度に、アレクサンダー様はますます困惑していた。

「まあ、そんなことはどうでもいい。お前にはもう関係ない」

アレクサンダー様はそう言って、堂々と去っていった。

私はほっと胸を撫で下ろし、さっそく新たな人生を歩み始めることにした。

◇

城の庭で、私は偶然一人の男性と出会った。

彼は緑色の瞳と茶色の髪を持ち、筋肉質な体つきで、優しそうな笑顔を浮かべていた。

「こんにちは、エリーゼ様。初めまして、私はリチャードと申します」

彼は軽く一礼して、名前を告げた。

「リチャードさん、初めまして。どのようなご用件でしょうか？」

私は好奇心を抑えながら、彼に尋ねた。

「実は、私はこの城で働いている料理人なんです。エリーゼ様、今日の昼食に特別なお料理を作りましたので、ぜひ召し上がっていただきたくて」

彼は恐縮しながら、そんなことを言った。

「それはどうもありがとうございます。では、ぜひ召し上がらせていただきます」

私は彼の誘いに快く応じ、一緒に食堂へ向かった。

◇

食堂で、リチャードが作った料理を目の前にして、私は感動した。

彩り豊かな野菜や肉が美しく盛り付けられており、香りも素晴らしかった。

「リチャードさん、この料理は本当に素晴らしいです。どこでこんな技術を身につけたのですか？」

私は興味津々で彼に尋ねた。

「ありがとうございます。実は、私は昔、遠い国で修行を積んでいました」

彼は少し照れながら、そう答えた。

その後、私たちはさまざまな話をしながら楽しい時間を過ごした。

食事が終わると、リチャードは私に一つの提案をしてきた。

「エリーゼ様、もしよろしければ、私が今晩開催する秘密のパーティーにお越しいただけませんか？」

私は驚きながら、彼の言葉に興味を持った。

「秘密のパーティー、ですか？どんなものなのでしょうか？」

彼はにっこりと笑って、それはまだ内緒だと言った。

そして、夜になっても私の心の中でそのパーティーのことが鳴り止まなかった。