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016.ユニークスキルの習得
冒険者試験に通過した十一名は、ガラガラの試験場にて、冒険者についての簡単な説明を受けた後に解散となった。解散といっても、合格者の向かう先は決まっている。冒険者ギルドの運営する教会だ。教会で、ユニークスキルを習得する。
ユニークスキルは、冒険者になってから二十四時間以内に習得しなければならない。それ以降だと、習得することができない決まりとなっている。その為、冒険者になると、何よりも先に行うのがユニークスキルの習得だ。
早速、アレン達は教会へやってきた。
「教会に来るの初めてだけど、なんだかすげーな」
高めの天井を眺め、アレンは素直な感想をこぼした
教会は、白と赤の二色で構成されていた。壁や柱は穢れなき純白で、奥にある祭壇へ向かう道やその左右にある椅子は真っ赤だ。椅子よりも一段と明るい赤の絨毯には、一つの染みもついていない。あちらこちらから顔を覗かせるステンドグラスは、非現実的な空間を演出していた。
教会内にはアレン達と神父しかいない。
「他の受験者はどこにいったんだ?」
「別の教会だろうね」
「他にもあるのか」
「ザッカリーは大きいから、いくつかあるのよ」
アレンの質問に答えると、メルは祭壇に居る神父のもとへ歩き始めた。その後ろにアレン達も続く。近づいてくる四人に、神父は視線を向けた。
「ユニークスキルの習得でしょうか?」
笑顔で尋ねてくる神父に、メルが「はい」と短く答える。
「では、習得される方以外、椅子へおかけになってお待ちください」
「わかりました」
神父の言葉に従い、ユミィ以外の三人が祭壇を離れて椅子へ移動する。
最初にユニークスキルを習得するのはユミィだ。その後、ミオ、メル、アレンの順で習得する。これは、教会へ来る前に決めていたことだ。
「冒険者カードをお見せください」
「はーい!」
ユミィは懐から、手のひらサイズのカードを取り出した。
冒険者になると貰える『冒険者カード』だ。これは、冒険者であることを証明する身分証である。また、身分証以外にも様々な機能がある。例えば、銀行に預けたお金の入出金も、冒険者カードで行うことが可能だ。しかも、冒険者カードを使えば、世界九ヶ国のあらゆる銀行で、手数料不要の取引が可能である。
便利な反面、再発行不可なので、紛失しないように気を付けなければならない。
「確認しました。では、明鏡の間へどうぞ」
祭壇の隣にある扉を、神父が手で案内する。
ユミィは神父に一礼した後、案内された部屋へと入っていった。
「試験場で説明を受けたけど、念のため、もう一度詳しくユニークスキルについて説明しておくわね」
メルの言葉にアレンが頷く。隣では、ミオが嬉しそうに鼻歌を歌っている。
メルは「まずは基礎説明からね」と前置きし、話し始めた。
「ユミィの入っていった部屋が『明鏡の間』と呼ばれるところで、中には『願いの池』と呼ばれる小さな池があるの。その池を覗き込みながら、覚えたいスキルの【効果】や【制約】を念じると、池の水面にスキルの情報が表示されるの。具体的には、【スキル名】【消費SP】【効果】【制約】の四項目ね。表示されたスキルの情報に満足できたら、池の水を手ですくって飲み込む。それで、スキルがされるわ」
メルはアレンの目を見て、「ここまでで、何か質問ある?」と尋ねた。
アレンは首を横に振り、「大丈夫、続けて」と先を促す。
「ユニークスキルは、習得できる数や効果に制限がない代わりに、別の制限があるの。それが【スキルポイント】ね。スキルポイントは略して【SP】と呼ばれるわ。
SPは一人一〇〇ポイントと決まっていて、ユニークスキルの習得にはSPを消費するわけ。つまり、【消費SP】が一〇のスキルなら最大で十個まで習得可能だし、【消費SP】が一〇〇のスキルであれば、一つ習得した時点でSPがなくなるので、他のスキルは習得できなくなる。
既に察しているとは思うけど、スキルの効果が強力であればあるほど、【消費SP】は高くなるの。で、それを低く抑える為に必要なのが――」
メルの言葉を遮り、アレンが言う。「【制約】か」
メルは「そう」と頷いた。
「スキルに【制約】をかけることで、同じ効果でも【消費SP】を低く抑えることができるの。おそらく一番多い制約は、『場所の制約』ね。森でのみ発動可能といったように、どこそこでのみ発動可能にする制約よ。最初から使用場所をピンポイントで決めているからこそできる制約ね。制約として強力な上に、使い勝手は維持されたままで、効果も落ちない」
「なるほど」
「でも、今のは一番使われる制約ってだけで、それがいいってわけじゃないの。大事なのは、どういう状況でそのスキルを使うかってことを、習得前から明確にしておくこと」
アレンは頭を強く掻きながら「難しいな」とため息をつく。
それに対し、メルは笑って答えた。
「こうやって口頭で説明されてもイメージしにくいよね。でも、実際はそんなに難しくないと思うよ。何度でも考え直しができるから」
「そういえば、考え直しも可能だとか言ってたな」
「うん。池の水面に表示された情報を見て、気に入らなかったらすくった水を飲まずに池へ戻せばいいの。それで水面のスキル情報が消えるから」
「じゃあ、最初に色々念じて試してみるのもアリなんだな」
「そういうこと。特にアレンの場合、ユニークスキルについては何も考えてなかったんだから、時間をかけて試すといいよ。その為に、習得の順を一番最後にしたわけだしね」
メルは優しく微笑むと、ピノを左の掌に乗せ、右手の人差し指で身体を撫でた。
◇
ユニークスキルの習得が順調に進んでいく。既に習得を終わらせたミオとユミィは、椅子に腰かけニコニコしながら『明鏡の間』や『願いの池』の感想を話し合っている。外が夕暮れから夜へ変わった頃、メルの習得が終わり、アレンの番がやってきた。
「なんだか緊張するな」
「私も自分の番が来た時は緊張したよぅ!」とミオ。
「入ってしまえばなんともないんだけどね」とユミィが笑った。
アレンは「行ってくる」と三人に声をかけ、椅子から立ち上がった。ゆっくりと祭壇へ向かって歩いて行く。そして、三人に倣って、神父に冒険者カードを見せた。
「確認しました。では、明鏡の間へどうぞ」
「はい」
祭壇の横にある扉へ向かって、アレンは歩き出す。緊張と興奮から、心臓はいつもよりも激しいリズムを刻んでいた。
「時間は気になさらず、ゆっくりとスキルの習得を行ってください」
背後から聞こえる神父の声に、アレンは背中を向けたまま「わかりました」と答えると、扉を開き、明鏡の間へと足を踏み入れた。
「おお……」
明鏡の間を見渡し、アレンが感嘆の声を漏らす。
そこは、全体が青い光に満たされた神秘的な空間だった。ふと目が覚めてここにいれば、十人中十人が洞窟だと答えるような場所である。奥には『願いの池』があるものの、他には何もない。一つの窓すらないのだ。
ひとしきり感動した後、アレンは池まで歩き始めた。
「やっぱ、俺には戦闘スキルしかねーな」
池の前で正座し、アレンは一人で笑った。
戦闘系のユニークスキルを習得する人間はそうそういない。戦闘系はノーマルスキルで十分な上に、ワープのような移動系ほか、発想次第で役立つスキルがいくらでもあるからだ。
それを理解した上で、アレンは戦闘系のスキルを習得するつもりでいた。
「ここで念じればいいんだよな」
アレンは目を瞑ってユニークスキルを念じてみることにした。まずは、【消費SP】の限界に挑戦するかのように、滅茶苦茶な効果を持つスキルを、一切の【制約】なしで想像してみる。
「どうだ」
念じ終わった後、アレンは目を開き、水面を覗き込む。
そこには、スキルの情報が書かれていた。
【スキル名】人類滅亡
【消費SP】一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
【効果】全世界の人間が死ぬ
【制約】なし
アレンは表情を変えることなく「なるほど」と呟き、池の水をすくって表示されているスキル情報へとかけた。すると、水面に浮かんでいたスキル情報は綺麗さっぱりと消えた。
「次は制約を試してみるか」
アレンは再び目を瞑ると、先程と同じ滅茶苦茶な【効果】に対し、いくつかの強烈な【制約】をかしてみた。その後、カッと目を見開き、水面を確認する。
【スキル名】人類滅亡
【消費SP】一〇〇〇〇
【効果】全世界の人間が死ぬ
【制約】
1.効果の適用は自分が名前を知っている人間に限る。
2.発動すると自分も死ぬ
「これが制約の力か。確かに消費SPが大きく下がったな」
満足すると、アレンはスキル情報を消した。
アレンは自分の頬を両手でパンパンと叩いた後、「よし、やるか!」と気合を入れた。ここからは、自分の理想とするスキルを習得する為に制約を付けていくこととなる。
自分の順番が回ってくるまでの間に、アレンは覚えたいスキルをある程度決めていた。あとは、どうやってイメージしているスキルを最大限の力で発揮できるようにするかだ。
「どうだ!」
習得したいと考えている内の一つを【制約】なしでイメージした後、そーっと水面を覗き込む。
【消費SP】五〇〇
「たけぇな。でも、制約なしじゃこんなもんか」
アレンはすぐさまスキル情報を消し、予め想定していた【制約】を加えてみる。
【消費SP】一五〇
先程とは違い、今度は驚きのあまり少し飛び跳ねてしまう。制約を加えることで、消費SPを五〇まで抑えられるとアレンは考えていた。ところが、蓋を開けてみれば、消費SPは一五〇もある。想定の三倍だ。これではスキルの習得自体が不可能である。
「どうしたらいいんだ」
初っ端から躓く想定外の事態に、アレンは頭を抱える。
アレンには、覚えようとしているスキルが三つあった。このままでは、三つどころか一つすら覚えられない。
仕方なく、アレンは制約を増やしていった。制約が一つ増える度、消費SPは少しずつ減っていく。そして、最終的には目標であった50まで落とすことができた。
だが――。
「これではダメだ。使い物にならない」
制約が多すぎて、自身の望む効果とは程遠いスキルになったのだ。目標のSPだったとしても、使い物にならなければ意味がない。消費SPも大事だが、最重要なのは、自分が想定するシーンでそのスキルが活きることだ。
「他に制約はないのか、使い勝手を変えない制約が……」
水面に映る『【消費SP】一五〇』の文字と睨めっこしながら、アレンはひたすらに制約を考えた。ここから使い勝手を変えず、なおかつ、消費SPを三分の一まで落とす、そんな奇跡的な制約を。
「先に他のスキルからいくか? いや、ダメだ」
アレンが躓いている最初のスキルは、絶対に外せないスキルである。他の二つとは違い、このスキルだけは外すことが出来ない。なぜならこれは、自身の力では覆すことが困難な状況に陥った時の為に備えたスキルだからだ。それ故に、アレンはこのスキルを絶対に覚えておきたかった。だが、それだけの効果を持ったスキルとなると、どうしても消費SPは跳ね上がる。
「どうせこのスキルを使う場面に陥ったら、他のスキルなんて使わないんだし、いっそのこと他は諦めるか?」
そう自問した時――アレンに電流が走った。
雷を脳天に打ち付けられたような、圧倒的衝撃。
「もしかして――」
アレンは大慌てて新たな制約を付け加えた。
その制約とは、『使用回数を数回消費する』というものだ。
通常、ユニークスキルは日に三度使用することが出来る。だが、中には日に一度しか使う予定のないスキルも存在する。そういうスキルには、『一日に一度しか使用できない』という制約を課すことで消費SPを下げることが一般的である。アレンもそれを試してみたが、それでは制約が弱すぎた。そのスキル自体は一日に一回しか使用できなくても、他のスキルは二回使用できる。だが、消費回数自体を増やすのであれば、実質的には『一日に一度しか使わない』ということであっても、意味は大きく異なってくる。
「どうだ!」
【消費SP】五〇
アレンは思わず「うおおお!」と叫び、その場でぐるぐると転がりまわった。喜びの回転である。そして、迷わず池の水をすくって飲み込んだ。
使用回数の制約には、純粋に消費SPを消費回数で割る効果があった。一度の使用で使用回数を二消費する場合、消費SPは二分の一、つまり半分となる。アレンのように、一度で使用回数をマックスの三消費する場合、消費SPは三分の一まで下がった。
「これで、生存率は大幅に上がるぞ!」
このスキルには、使用回数以外にも、二つの制約を課している。これらも、使用回数の制約同様に厳しい制約である。しかも、使用回数の制約とは違い、スキルの効果自体に影響を及ぼすものだ。それでも、消費SPは一〇〇を下回ることはなかった。それほどまでに、アレンの覚えたいスキルは強力である。そんなスキルを、アレンはものにすることが出来たのだ。
「よし、残りもサクッと覚えるか」
二個目のスキルはそれほど苦労しなかった。頭を抱える程、元の消費SPが高くなかったからだ。それでも、制約がなければ、消費SPが二〇〇を超えるレベルではある。しかし、一つ目の制約で消費SPが六〇まで低下し、さらに、『使用回数を二回消費する』という二つ目の制約によって、消費SPはアレンの想定していた三〇へと抑えることができた。使用回数の消費を三回ではなく二回にしたのは、三個目のスキルとの併用を考えていたからだ。それに、三〇まで消費SPが落ちたことで、それ以上制約を強める必要がなかった。
三個目のスキルにいたっては、二個目よりも楽だった。制約なしでも消費SPが二〇しか必要にならなかったからだ。アレン自身、「一〇か二〇程度だろうな」と思っていたので、思った通りの形である。仮に消費SPが二〇を超えていた場合、アレンは『一日に一度しか使用できない』という制約を付けることによって問題を解決するつもりでいた。スキルの性質上、このスキルは一日に一度しか使用することがないからだ。
「これでちょうど一〇〇だな」
覚えたいと思っていたスキルを全て習得した時点で、アレンはSPを使い切った。これ以上は、新たにユニークスキルを習得することはできない。
「戻るか」
アレンは立ち上がると、ゆっくりした足取りで、出口へと歩き出した。
「お疲れ様です。PTメンバーの方々は……」
明鏡の間からでたアレンに言葉をかけると、神父は視線を椅子へ移した。
「Zzz」「Zzz」「Zzz」
神父の視線の先では、メル達が椅子にもたれかかって眠っていた。
ミオは口を開きたらたらと涎を垂らして心地良さそうだ。ユミィはメルの膝の上に突っ伏している。そしてメルは、顔を下に向けて眠りながら、ユミィの頭を無意識に撫で続けていた。メルの右肩の上に居るピノも、身体を丸め、長い尻尾で顔を隠して眠っている。
アレンが明鏡の間へ入ってから、既に四時間が経過していた。夕日が沈み訪れた夜も、今では完全に深まりきっていた。集中しすぎて、アレンは時間を忘れていたのだ。
「待たせてごめん、終わったよ」
眠っている三人に声をかけるも、誰も目を覚まさない。冒険者試験の疲れも相まって、完全に眠りこくっている。
そんな三人を見てどうしようか悩むアレンに、神父が笑顔で近づいてきた。
「アレン様も、今日はこちらで眠ってはいかがですか? 教会は二十四時間開いておりますから、何も問題はございませんよ」
「わかりました。ではお言葉に甘えさせていただきます」
アレンは神父に一礼すると、メルの隣に腰を下ろし、目を瞑った。
冒険者試験に通過した十一名は、ガラガラの試験場にて、冒険者についての簡単な説明を受けた後に解散となった。解散といっても、合格者の向かう先は決まっている。冒険者ギルドの運営する教会だ。教会で、ユニークスキルを習得する。
ユニークスキルは、冒険者になってから二十四時間以内に習得しなければならない。それ以降だと、習得することができない決まりとなっている。その為、冒険者になると、何よりも先に行うのがユニークスキルの習得だ。
早速、アレン達は教会へやってきた。
「教会に来るの初めてだけど、なんだかすげーな」
高めの天井を眺め、アレンは素直な感想をこぼした
教会は、白と赤の二色で構成されていた。壁や柱は穢れなき純白で、奥にある祭壇へ向かう道やその左右にある椅子は真っ赤だ。椅子よりも一段と明るい赤の絨毯には、一つの染みもついていない。あちらこちらから顔を覗かせるステンドグラスは、非現実的な空間を演出していた。
教会内にはアレン達と神父しかいない。
「他の受験者はどこにいったんだ?」
「別の教会だろうね」
「他にもあるのか」
「ザッカリーは大きいから、いくつかあるのよ」
アレンの質問に答えると、メルは祭壇に居る神父のもとへ歩き始めた。その後ろにアレン達も続く。近づいてくる四人に、神父は視線を向けた。
「ユニークスキルの習得でしょうか?」
笑顔で尋ねてくる神父に、メルが「はい」と短く答える。
「では、習得される方以外、椅子へおかけになってお待ちください」
「わかりました」
神父の言葉に従い、ユミィ以外の三人が祭壇を離れて椅子へ移動する。
最初にユニークスキルを習得するのはユミィだ。その後、ミオ、メル、アレンの順で習得する。これは、教会へ来る前に決めていたことだ。
「冒険者カードをお見せください」
「はーい!」
ユミィは懐から、手のひらサイズのカードを取り出した。
冒険者になると貰える『冒険者カード』だ。これは、冒険者であることを証明する身分証である。また、身分証以外にも様々な機能がある。例えば、銀行に預けたお金の入出金も、冒険者カードで行うことが可能だ。しかも、冒険者カードを使えば、世界九ヶ国のあらゆる銀行で、手数料不要の取引が可能である。
便利な反面、再発行不可なので、紛失しないように気を付けなければならない。
「確認しました。では、明鏡の間へどうぞ」
祭壇の隣にある扉を、神父が手で案内する。
ユミィは神父に一礼した後、案内された部屋へと入っていった。
「試験場で説明を受けたけど、念のため、もう一度詳しくユニークスキルについて説明しておくわね」
メルの言葉にアレンが頷く。隣では、ミオが嬉しそうに鼻歌を歌っている。
メルは「まずは基礎説明からね」と前置きし、話し始めた。
「ユミィの入っていった部屋が『明鏡の間』と呼ばれるところで、中には『願いの池』と呼ばれる小さな池があるの。その池を覗き込みながら、覚えたいスキルの【効果】や【制約】を念じると、池の水面にスキルの情報が表示されるの。具体的には、【スキル名】【消費SP】【効果】【制約】の四項目ね。表示されたスキルの情報に満足できたら、池の水を手ですくって飲み込む。それで、スキルがされるわ」
メルはアレンの目を見て、「ここまでで、何か質問ある?」と尋ねた。
アレンは首を横に振り、「大丈夫、続けて」と先を促す。
「ユニークスキルは、習得できる数や効果に制限がない代わりに、別の制限があるの。それが【スキルポイント】ね。スキルポイントは略して【SP】と呼ばれるわ。
SPは一人一〇〇ポイントと決まっていて、ユニークスキルの習得にはSPを消費するわけ。つまり、【消費SP】が一〇のスキルなら最大で十個まで習得可能だし、【消費SP】が一〇〇のスキルであれば、一つ習得した時点でSPがなくなるので、他のスキルは習得できなくなる。
既に察しているとは思うけど、スキルの効果が強力であればあるほど、【消費SP】は高くなるの。で、それを低く抑える為に必要なのが――」
メルの言葉を遮り、アレンが言う。「【制約】か」
メルは「そう」と頷いた。
「スキルに【制約】をかけることで、同じ効果でも【消費SP】を低く抑えることができるの。おそらく一番多い制約は、『場所の制約』ね。森でのみ発動可能といったように、どこそこでのみ発動可能にする制約よ。最初から使用場所をピンポイントで決めているからこそできる制約ね。制約として強力な上に、使い勝手は維持されたままで、効果も落ちない」
「なるほど」
「でも、今のは一番使われる制約ってだけで、それがいいってわけじゃないの。大事なのは、どういう状況でそのスキルを使うかってことを、習得前から明確にしておくこと」
アレンは頭を強く掻きながら「難しいな」とため息をつく。
それに対し、メルは笑って答えた。
「こうやって口頭で説明されてもイメージしにくいよね。でも、実際はそんなに難しくないと思うよ。何度でも考え直しができるから」
「そういえば、考え直しも可能だとか言ってたな」
「うん。池の水面に表示された情報を見て、気に入らなかったらすくった水を飲まずに池へ戻せばいいの。それで水面のスキル情報が消えるから」
「じゃあ、最初に色々念じて試してみるのもアリなんだな」
「そういうこと。特にアレンの場合、ユニークスキルについては何も考えてなかったんだから、時間をかけて試すといいよ。その為に、習得の順を一番最後にしたわけだしね」
メルは優しく微笑むと、ピノを左の掌に乗せ、右手の人差し指で身体を撫でた。
◇
ユニークスキルの習得が順調に進んでいく。既に習得を終わらせたミオとユミィは、椅子に腰かけニコニコしながら『明鏡の間』や『願いの池』の感想を話し合っている。外が夕暮れから夜へ変わった頃、メルの習得が終わり、アレンの番がやってきた。
「なんだか緊張するな」
「私も自分の番が来た時は緊張したよぅ!」とミオ。
「入ってしまえばなんともないんだけどね」とユミィが笑った。
アレンは「行ってくる」と三人に声をかけ、椅子から立ち上がった。ゆっくりと祭壇へ向かって歩いて行く。そして、三人に倣って、神父に冒険者カードを見せた。
「確認しました。では、明鏡の間へどうぞ」
「はい」
祭壇の横にある扉へ向かって、アレンは歩き出す。緊張と興奮から、心臓はいつもよりも激しいリズムを刻んでいた。
「時間は気になさらず、ゆっくりとスキルの習得を行ってください」
背後から聞こえる神父の声に、アレンは背中を向けたまま「わかりました」と答えると、扉を開き、明鏡の間へと足を踏み入れた。
「おお……」
明鏡の間を見渡し、アレンが感嘆の声を漏らす。
そこは、全体が青い光に満たされた神秘的な空間だった。ふと目が覚めてここにいれば、十人中十人が洞窟だと答えるような場所である。奥には『願いの池』があるものの、他には何もない。一つの窓すらないのだ。
ひとしきり感動した後、アレンは池まで歩き始めた。
「やっぱ、俺には戦闘スキルしかねーな」
池の前で正座し、アレンは一人で笑った。
戦闘系のユニークスキルを習得する人間はそうそういない。戦闘系はノーマルスキルで十分な上に、ワープのような移動系ほか、発想次第で役立つスキルがいくらでもあるからだ。
それを理解した上で、アレンは戦闘系のスキルを習得するつもりでいた。
「ここで念じればいいんだよな」
アレンは目を瞑ってユニークスキルを念じてみることにした。まずは、【消費SP】の限界に挑戦するかのように、滅茶苦茶な効果を持つスキルを、一切の【制約】なしで想像してみる。
「どうだ」
念じ終わった後、アレンは目を開き、水面を覗き込む。
そこには、スキルの情報が書かれていた。
【スキル名】人類滅亡
【消費SP】一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
【効果】全世界の人間が死ぬ
【制約】なし
アレンは表情を変えることなく「なるほど」と呟き、池の水をすくって表示されているスキル情報へとかけた。すると、水面に浮かんでいたスキル情報は綺麗さっぱりと消えた。
「次は制約を試してみるか」
アレンは再び目を瞑ると、先程と同じ滅茶苦茶な【効果】に対し、いくつかの強烈な【制約】をかしてみた。その後、カッと目を見開き、水面を確認する。
【スキル名】人類滅亡
【消費SP】一〇〇〇〇
【効果】全世界の人間が死ぬ
【制約】
1.効果の適用は自分が名前を知っている人間に限る。
2.発動すると自分も死ぬ
「これが制約の力か。確かに消費SPが大きく下がったな」
満足すると、アレンはスキル情報を消した。
アレンは自分の頬を両手でパンパンと叩いた後、「よし、やるか!」と気合を入れた。ここからは、自分の理想とするスキルを習得する為に制約を付けていくこととなる。
自分の順番が回ってくるまでの間に、アレンは覚えたいスキルをある程度決めていた。あとは、どうやってイメージしているスキルを最大限の力で発揮できるようにするかだ。
「どうだ!」
習得したいと考えている内の一つを【制約】なしでイメージした後、そーっと水面を覗き込む。
【消費SP】五〇〇
「たけぇな。でも、制約なしじゃこんなもんか」
アレンはすぐさまスキル情報を消し、予め想定していた【制約】を加えてみる。
【消費SP】一五〇
先程とは違い、今度は驚きのあまり少し飛び跳ねてしまう。制約を加えることで、消費SPを五〇まで抑えられるとアレンは考えていた。ところが、蓋を開けてみれば、消費SPは一五〇もある。想定の三倍だ。これではスキルの習得自体が不可能である。
「どうしたらいいんだ」
初っ端から躓く想定外の事態に、アレンは頭を抱える。
アレンには、覚えようとしているスキルが三つあった。このままでは、三つどころか一つすら覚えられない。
仕方なく、アレンは制約を増やしていった。制約が一つ増える度、消費SPは少しずつ減っていく。そして、最終的には目標であった50まで落とすことができた。
だが――。
「これではダメだ。使い物にならない」
制約が多すぎて、自身の望む効果とは程遠いスキルになったのだ。目標のSPだったとしても、使い物にならなければ意味がない。消費SPも大事だが、最重要なのは、自分が想定するシーンでそのスキルが活きることだ。
「他に制約はないのか、使い勝手を変えない制約が……」
水面に映る『【消費SP】一五〇』の文字と睨めっこしながら、アレンはひたすらに制約を考えた。ここから使い勝手を変えず、なおかつ、消費SPを三分の一まで落とす、そんな奇跡的な制約を。
「先に他のスキルからいくか? いや、ダメだ」
アレンが躓いている最初のスキルは、絶対に外せないスキルである。他の二つとは違い、このスキルだけは外すことが出来ない。なぜならこれは、自身の力では覆すことが困難な状況に陥った時の為に備えたスキルだからだ。それ故に、アレンはこのスキルを絶対に覚えておきたかった。だが、それだけの効果を持ったスキルとなると、どうしても消費SPは跳ね上がる。
「どうせこのスキルを使う場面に陥ったら、他のスキルなんて使わないんだし、いっそのこと他は諦めるか?」
そう自問した時――アレンに電流が走った。
雷を脳天に打ち付けられたような、圧倒的衝撃。
「もしかして――」
アレンは大慌てて新たな制約を付け加えた。
その制約とは、『使用回数を数回消費する』というものだ。
通常、ユニークスキルは日に三度使用することが出来る。だが、中には日に一度しか使う予定のないスキルも存在する。そういうスキルには、『一日に一度しか使用できない』という制約を課すことで消費SPを下げることが一般的である。アレンもそれを試してみたが、それでは制約が弱すぎた。そのスキル自体は一日に一回しか使用できなくても、他のスキルは二回使用できる。だが、消費回数自体を増やすのであれば、実質的には『一日に一度しか使わない』ということであっても、意味は大きく異なってくる。
「どうだ!」
【消費SP】五〇
アレンは思わず「うおおお!」と叫び、その場でぐるぐると転がりまわった。喜びの回転である。そして、迷わず池の水をすくって飲み込んだ。
使用回数の制約には、純粋に消費SPを消費回数で割る効果があった。一度の使用で使用回数を二消費する場合、消費SPは二分の一、つまり半分となる。アレンのように、一度で使用回数をマックスの三消費する場合、消費SPは三分の一まで下がった。
「これで、生存率は大幅に上がるぞ!」
このスキルには、使用回数以外にも、二つの制約を課している。これらも、使用回数の制約同様に厳しい制約である。しかも、使用回数の制約とは違い、スキルの効果自体に影響を及ぼすものだ。それでも、消費SPは一〇〇を下回ることはなかった。それほどまでに、アレンの覚えたいスキルは強力である。そんなスキルを、アレンはものにすることが出来たのだ。
「よし、残りもサクッと覚えるか」
二個目のスキルはそれほど苦労しなかった。頭を抱える程、元の消費SPが高くなかったからだ。それでも、制約がなければ、消費SPが二〇〇を超えるレベルではある。しかし、一つ目の制約で消費SPが六〇まで低下し、さらに、『使用回数を二回消費する』という二つ目の制約によって、消費SPはアレンの想定していた三〇へと抑えることができた。使用回数の消費を三回ではなく二回にしたのは、三個目のスキルとの併用を考えていたからだ。それに、三〇まで消費SPが落ちたことで、それ以上制約を強める必要がなかった。
三個目のスキルにいたっては、二個目よりも楽だった。制約なしでも消費SPが二〇しか必要にならなかったからだ。アレン自身、「一〇か二〇程度だろうな」と思っていたので、思った通りの形である。仮に消費SPが二〇を超えていた場合、アレンは『一日に一度しか使用できない』という制約を付けることによって問題を解決するつもりでいた。スキルの性質上、このスキルは一日に一度しか使用することがないからだ。
「これでちょうど一〇〇だな」
覚えたいと思っていたスキルを全て習得した時点で、アレンはSPを使い切った。これ以上は、新たにユニークスキルを習得することはできない。
「戻るか」
アレンは立ち上がると、ゆっくりした足取りで、出口へと歩き出した。
「お疲れ様です。PTメンバーの方々は……」
明鏡の間からでたアレンに言葉をかけると、神父は視線を椅子へ移した。
「Zzz」「Zzz」「Zzz」
神父の視線の先では、メル達が椅子にもたれかかって眠っていた。
ミオは口を開きたらたらと涎を垂らして心地良さそうだ。ユミィはメルの膝の上に突っ伏している。そしてメルは、顔を下に向けて眠りながら、ユミィの頭を無意識に撫で続けていた。メルの右肩の上に居るピノも、身体を丸め、長い尻尾で顔を隠して眠っている。
アレンが明鏡の間へ入ってから、既に四時間が経過していた。夕日が沈み訪れた夜も、今では完全に深まりきっていた。集中しすぎて、アレンは時間を忘れていたのだ。
「待たせてごめん、終わったよ」
眠っている三人に声をかけるも、誰も目を覚まさない。冒険者試験の疲れも相まって、完全に眠りこくっている。
そんな三人を見てどうしようか悩むアレンに、神父が笑顔で近づいてきた。
「アレン様も、今日はこちらで眠ってはいかがですか? 教会は二十四時間開いておりますから、何も問題はございませんよ」
「わかりました。ではお言葉に甘えさせていただきます」
アレンは神父に一礼すると、メルの隣に腰を下ろし、目を瞑った。
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並外れた技術力で彼女を修理したクリスは、彼を主人と認めた彼女と共にダンジョンを脱出する。
そして離れ離れになった姉を探す為、カムナの追い求める『アメノヌボコ』を探す為、姉の知人にして元女騎士のフレイヤの協力を得て、自ら結成したパーティーと再び未知の世界へと挑むのだった。
その過程で、彼は自ら封印した『解体術』を使う決意を固める。
誰かの笑顔の為に「直し」、誰かを守る為に「壊す」。
ひと癖ある美少女に囲まれたクリスの新たな技術士人生の幕が今、上がるのであった。
一方、クリスを追放した『高貴なる剣』は、今まで一同を支えていた彼の力が常軌を逸したものだと気づく。
彼女達は自称Aランク探索者から一転、破滅への道を転げ落ちてゆくのであった。
●一話~百二話…クリス・オーダー結成編(ざまぁ多め)
●百三話~百六十七話…仲間の過去編(シリアス中心)
●百六十七話~現在…スローライフ編(のんびりドタバタ)
※書籍版とWEB版では一部内容が異なります。ご了承ください。
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