31 / 63
第031話 ガルデン包囲戦②
しおりを挟む
魔王に頼んだことは二つ。
一つ目は、非戦闘種族であるドワーフに作業をさせること。
ドワーフ族には族長がおらず、魔王の命令によってのみ動く。
その際には、させたい作業を予め伝える必要があった。
『問題ない。受け入れよう』
俺がドワーフに頼みたいことは以下の二つ。
一.フィラデル大陸本土にあるゴブリン村の支部を拡張。
二.ワープゲートの大きさの変更。
現在の支部は、大人数が滞在出来るスペースがない。
螺旋状のスロープを下りた先にポツンとワープゲートがあるだけ。
数でいえば、二〇体程度のゴブリンしか収容できないのだ。
それを本部と同じ大きさに拡張してもらうというのが最初の頼み。
次に、ワープゲートを大きく縦にも横にも大きくしてもらうこと。
現在は一体分のゴブリンがくぐれる程度の大きさしかない。
その為、大人数で移動するには一列になる必要があるのだ。
これでは面倒なので、横幅をゴブリン十体分に広げてもらった。
加えて、縦も大きくして、大型モンスターも通れるようにしてもらう。
二つ目の提案は、戦闘を行う他種族の協力だ。
こちらについては快諾……というわけにはいかなかった。
『魔王の力を使えば、任意の族長達と【グループ交信】を行うことが可能じゃ。それを使い、お主が希望する種族の族長と交渉する機会を設けてやろう。出来ることはそれだけじゃ』
要するに、協力するよう命令してはくれなかったわけだ。
だが、そうなることは予め想定していた。
魔王の対応については、族長就任時に長老から説明を受けたからだ。
魔王こと女神の性格からして、俺だけ贔屓しないことも想像できた。
なので、交渉ということになっても支障はきたしていない。
『我がサイクロプス族はその案を受け入れよう』
『リザードナイト族も受け入れよう』
『サラマンダー族も同じく』
『ピクシー族もかまわなくてよ』
『デュラハン族も乗ろう』
等々、俺が協力を求めた種族は例外なく協力の意を表明したのだ。
結果、今回の戦争には約二〇の種族が参戦することが確定した。
ちなみに、参戦する種族の【階級】はE又はDである。
彼らが協力することは想定していたことだ。
むしろ、協力してくれなかったら驚愕していただろう。
なぜなら、俺の出した条件が極めて良いからだ。
成功すればノーリスクで大量のモンスターポイントを得られるし、失敗してもそれほどの被害がない。
ローリスクハイリターンなので、乗らない手はない。
『新進気鋭の族長であるゴブレス殿の手腕、期待しておりますぞ』
どこかの族長が言った。
他の者も、俺の戦いぶりが気になるようだ。
俺の活躍は、既に全種族が知っているからな。
このネームバリューは交渉でも役に立ってくれた。
落ちこぼれと呼ばれていた頃のゴブリン族とは違うのだ。
今ではゴブリンを再評価する流れが起きている。
――そして。
準備の開始から約一ヶ月が経過。
街の緊張が緩み始めた頃、全ての準備が整った。
一つ目は、非戦闘種族であるドワーフに作業をさせること。
ドワーフ族には族長がおらず、魔王の命令によってのみ動く。
その際には、させたい作業を予め伝える必要があった。
『問題ない。受け入れよう』
俺がドワーフに頼みたいことは以下の二つ。
一.フィラデル大陸本土にあるゴブリン村の支部を拡張。
二.ワープゲートの大きさの変更。
現在の支部は、大人数が滞在出来るスペースがない。
螺旋状のスロープを下りた先にポツンとワープゲートがあるだけ。
数でいえば、二〇体程度のゴブリンしか収容できないのだ。
それを本部と同じ大きさに拡張してもらうというのが最初の頼み。
次に、ワープゲートを大きく縦にも横にも大きくしてもらうこと。
現在は一体分のゴブリンがくぐれる程度の大きさしかない。
その為、大人数で移動するには一列になる必要があるのだ。
これでは面倒なので、横幅をゴブリン十体分に広げてもらった。
加えて、縦も大きくして、大型モンスターも通れるようにしてもらう。
二つ目の提案は、戦闘を行う他種族の協力だ。
こちらについては快諾……というわけにはいかなかった。
『魔王の力を使えば、任意の族長達と【グループ交信】を行うことが可能じゃ。それを使い、お主が希望する種族の族長と交渉する機会を設けてやろう。出来ることはそれだけじゃ』
要するに、協力するよう命令してはくれなかったわけだ。
だが、そうなることは予め想定していた。
魔王の対応については、族長就任時に長老から説明を受けたからだ。
魔王こと女神の性格からして、俺だけ贔屓しないことも想像できた。
なので、交渉ということになっても支障はきたしていない。
『我がサイクロプス族はその案を受け入れよう』
『リザードナイト族も受け入れよう』
『サラマンダー族も同じく』
『ピクシー族もかまわなくてよ』
『デュラハン族も乗ろう』
等々、俺が協力を求めた種族は例外なく協力の意を表明したのだ。
結果、今回の戦争には約二〇の種族が参戦することが確定した。
ちなみに、参戦する種族の【階級】はE又はDである。
彼らが協力することは想定していたことだ。
むしろ、協力してくれなかったら驚愕していただろう。
なぜなら、俺の出した条件が極めて良いからだ。
成功すればノーリスクで大量のモンスターポイントを得られるし、失敗してもそれほどの被害がない。
ローリスクハイリターンなので、乗らない手はない。
『新進気鋭の族長であるゴブレス殿の手腕、期待しておりますぞ』
どこかの族長が言った。
他の者も、俺の戦いぶりが気になるようだ。
俺の活躍は、既に全種族が知っているからな。
このネームバリューは交渉でも役に立ってくれた。
落ちこぼれと呼ばれていた頃のゴブリン族とは違うのだ。
今ではゴブリンを再評価する流れが起きている。
――そして。
準備の開始から約一ヶ月が経過。
街の緊張が緩み始めた頃、全ての準備が整った。
0
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる