58 / 103
エインズワース辺境伯
消せない記憶
しおりを挟む
翌朝、ラウルは朝陽が昇りきる前に目を覚ました。たった数刻しか眠っていないはずだが、これまで毎晩のように襲い掛かってきていた悪夢を見ることもなく、心地よい疲労感と多幸感の中で眠れたのは数十年ぶりだった。
それをもたらしてくれたかけがえのない存在が、生まれたままの姿で自分の腕の中にいることを確かめるようにそっとフローラの頬を撫でた。
誰かを愛する日が来るとは思いもしなかった
ラウルは自虐的に笑うと、フローラの額に口づけた。フローラが身じろぎして、深く息を吐いた。
その体を引き寄せて、ぴったりと自分の体に寄り添わせるとラウルは再びまぶたを閉じた。
「あの宝石、鑑定士が言ってたんですけど、なんかの餞別か、形見分けみたいな感じかもって言ってました。1個1個が小さいですしね。これは報告書には書きませんでしたけど」
ヴィクトルがいつかフローラが唯一持っていた宝石についてのことをラウルにだけ報告したときのことを思い出していた。
もし、フローラが嫁いだ先で酷い目に遭ったり、夫が死んだりして、その宝石だけを持たされて出てきたのだとしたら、その鑑定士の言葉は一致するだろうと思っていた。
そして、ラウルはそうであってほしいと思っていた。酷い過去なら思い出さなくていい。もし、夫がいても、故人であるならば、フローラを堂々と迎えることができると。
フローラも恐らく昨夜の出来事で気づいているだろう。処女の出血がなかったということは、婚姻をしていた可能性があることに。
ラウルは自分の考えが卑怯であることは重々わかっていた。それでも、もはやフローラを手放すことはできないし、この手で守り抜いてやりたいと思っている。
もし、フローラが同じように望んでくれるのなら、辺境伯の地位をかけてもそれを実現してやりたいと。
「…ラウル…?」
ラウルはフローラが目を覚ましたことに気づき、抱え込んでいた腕の力を緩めた。
そっとフローラがラウルの頬に手を添える。
「嫌な夢でも見られました?難しいお顔をされています」
「いや。なんでもない。それより、体はきつくないか?」
フローラは恥ずかしそうに視線をそらし、小さく頷いた。ラウルが体を引き寄せて額や頬に口づけていく。
そのまま首筋に唇が滑ってきたことにフローラは驚いて、ラウルの体をぐっと押した。
「な、なにを」
「まだ起きるには早い」
「で、でも、今日は城に帰りませんと」
「フローラはゆっくり馬車に乗って帰ってくればいい。馬であちこちするのは疲れただろう」
「そ、そういう問題では」
フローラの小さな抗議はあっという間にラウルに吞み込まれ、冷めたはずの熱が再び燃え上がるのを感じていた。
フローラが激しい情事の後に再び落ちるように眠りについたのを見届けると、ラウルは寝台から降りた。
壁にかけられていたガウンを羽織ると、静かに部屋を出た。
メレルが廊下の離れた場所で控えていたのを確認すると、手を挙げた。メレルは音もなくすぐさまラウルのもとに駆け寄り、湯の準備ができていることを伝えた。
ラウルは頷くと、フローラは目覚めるまで寝かしておくように伝え、帰りの馬車の手配を指示した。
湯を浴び、身支度を整えると、まだ部屋で寝ているフローラに口づけした。そっと部屋を出ると既に準備の整っていたドーシュにまたがり、邸宅を後にした。
早朝だったことと、一人で馬を走らせたことから、行きの半分ほどの行程で城まで戻ることができた。門兵が門を開け、中に入るとドーシュを任せて、城の中へとそのまま進んだ。
まっすぐに執務室に向かうと、既にジャンとヴィクトルは仕事を始めていた。
「おはようございます、閣下」
「おはようございます、閣下」
「ああ、昨日は何もなかったか」
「はい、つつがなく。そちらに決裁を頂く書類があります」
ラウルがマントや剣を外して、ヴィクトルに渡す。ジャンはお茶の準備を伝えるべく部屋を出て行った。
ラウルが執務机につくと、目の前にヴィクトルが立ったまま動かない。不審に思って顔を上げると、ヴィクトルがにやけた顔をしているのをラウルは冷たい目で睨みつけた。
「なんだ」
「俺に褒美をください」
「なんのだ」
「閣下が想いを遂げられるよう手を回した褒美です」
「っっ」
思わず机の上で手を握りしめたが、ヴィクトルは全てお見通しといった目でにこにこと笑顔を浮かべている。
「ちゃんと乗り心地のいい城の馬車を向かわせましたから、ご安心ください」
それだけ言うとヴィクトルは自分の席に戻った。ラウルはヴィクトルは勘がいいとは思っていたが、その能力を見誤っていたと自分の評価能力を見直すことにした。
昼を過ぎても、夕方に近い時刻になっても一向にフローラを乗せた馬車が戻る気配がなく、最初はヴィクトルも「閣下、無理させたんじゃないでしょうね」と軽口を叩いていたのに、だんだんとからかいの口調ではなく「…まさか、立てなくなるほど…?」と真剣に心配をし始めたせいで、ラウルもじっと座っていられなくなった。
「わー、待ってください!2日連続は困ります!」
今にも馬房に急ごうとするラウルを必死に引き留めていると、執務室のドアがノックされた。
ジャンが開けると、一人の騎士が紙を持って立っていた。それをジャンが受け取り、ラウルに手渡した。
丸められた手の平よりも小さい紙にメレルの家の紋章が押してあった。
「伝書鳩飛ばしてきたんですね、メレルのじーさん」
「ヴィクトルさん、ほんとにその呼び方直しておかないと、うっかり本人の前で口が滑りますよ」
「いーって、もう何回も口滑らせてるから」
「だから、そういうのを直したほうがって話を」
ヴィクトルとジャンが言いあっていると、ラウルが突然執務室から駆け出していきそうになり、慌てて二人がドアの前に立ちふさがった。
「どうされたんですか、閣下!」
「フローラが倒れた!」
「へっ?」
「ええっ?」
「そこをどけ!」
二人を押しのけようとするラウルを、二人がかりで必死に押し留め「落ち着いてください」「手紙を見せてください」と文字通り押し問答をして、なんとかラウルを執務机まで戻すことに成功した。
ラウルから手渡された手紙に二人が目を通し、哀しげに視線を落とすと、両手を組んで椅子に座っているラウルを見た。
「…仕方ないじゃないですか。元気そうに見えても、まだあの事故から2か月ですよ。馬車に乗るのが怖くなるのも理解できます」
「そうですよ。大けがで済んだのが幸いなくらいで、御者は亡くなるほどの事故でしたから。フローラさんも覚えていないだけで、心はあの時の恐怖心を覚えているんでしょうね」
「そんなことはわかっている。気づきもせずに馬車で帰れなどと言った自分に腹を立てただけだ」
「それも仕方ないですよ。なんせ、閣下は女心なんて一切気にせず何十年も過ごしてきた方ですからね!そんな一朝一夕で習得されちゃ、日々腕に磨きをかけてる俺の努力が報われないですよ!」
「誰でも口説くのを努力と言うのはちがうと思いますよ、ヴィクトルさん」
「好きな女に一声もかけられない自分を棚に上げて説教すんな」
「もういい、ヴィクトル、俺のマントと剣を取れ」
「ジャン!!」
「わかってます!」
ラウルはヴィクトルとジャンが準備してくれるものと思っていたが、ヴィクトルはラウルのマントと剣をつかむとジャンに渡し、ジャンがそのまま執務室を飛び出して行った。
あっけにとられていると、ヴィクトルが執務机に未決裁の書類を積み上げた。
「今日は何がなんでもここにいていただきます!」
「しかし、フローラが」
「倒れたその日に連れ帰るとか正気ですか?閣下や俺達のような頑丈な肉体を持ってないことぐらい、昨日散々確かめたでしょう?!ゆっくり休ませてあげてください。明日、別の奴を迎えに行かせます」
「俺が行く」
「だめです」
「しかし、馬車に乗れない以上、誰かと馬に乗らなければならないだろう」
「閣下…なんですか、その年甲斐もない嫉妬心…」
ラウルが粘っても、ヴィクトルは頑として譲らなかった。仕事に関して決して甘い考えを持たない主君であることはわかっているが、恋に落ちた人間がどのように変化するかをヴィクトルはよく理解していた。
「仕事を自分のために放り投げたと知ったら、フローラさん、どう思いますかね…?」
「ぐっ…」
ラウルはただでさえ、領主としての自分の振る舞いに気にかけていたフローラのことを思い出し、渋々席に戻った。
ヴィクトルが机の前に立ち、小声で告げた。
「閣下、今から俺が提案することが一番閣下とフローラさんのためになると思いますが、この情報を提供することで、その者の今後に何も影響を与えないことを約束してください」
「よくわからんが、それが解決策となるなら、約束しよう」
「ロドリゴを迎えにやります」
「ロドリゴ?第三騎士団の弓がうまい奴だろう?それがどうして適任なんだ」
「ロドリゴは女を愛せません」
「…わかった。そして、そのことは口外しないし、今後にも何の支障もない。俺は誰が誰を好きになろうが、そんなことは構わん」
「知ってます。でも、一応確認しといただけです。じゃあ、フローラさんの迎えの件はそれで対応しますんで、閣下はどうぞお続けください」
ヴィクトルが敬礼をして執務室を下がると、交替でマントと剣を抱えたジャンが部屋に戻って来た。
そして、それらを元の場所戻すと自分の席についた。
全く気の合わなそうな補佐官二人の見事な連携ぶりにラウルはため息をついて、書類に手を伸ばした。
倒れたという情報しかわからないフローラのことが気になって仕方ないが、責務を全うするために、作業は補佐官二人を帰した後も深夜まで続いた。
それをもたらしてくれたかけがえのない存在が、生まれたままの姿で自分の腕の中にいることを確かめるようにそっとフローラの頬を撫でた。
誰かを愛する日が来るとは思いもしなかった
ラウルは自虐的に笑うと、フローラの額に口づけた。フローラが身じろぎして、深く息を吐いた。
その体を引き寄せて、ぴったりと自分の体に寄り添わせるとラウルは再びまぶたを閉じた。
「あの宝石、鑑定士が言ってたんですけど、なんかの餞別か、形見分けみたいな感じかもって言ってました。1個1個が小さいですしね。これは報告書には書きませんでしたけど」
ヴィクトルがいつかフローラが唯一持っていた宝石についてのことをラウルにだけ報告したときのことを思い出していた。
もし、フローラが嫁いだ先で酷い目に遭ったり、夫が死んだりして、その宝石だけを持たされて出てきたのだとしたら、その鑑定士の言葉は一致するだろうと思っていた。
そして、ラウルはそうであってほしいと思っていた。酷い過去なら思い出さなくていい。もし、夫がいても、故人であるならば、フローラを堂々と迎えることができると。
フローラも恐らく昨夜の出来事で気づいているだろう。処女の出血がなかったということは、婚姻をしていた可能性があることに。
ラウルは自分の考えが卑怯であることは重々わかっていた。それでも、もはやフローラを手放すことはできないし、この手で守り抜いてやりたいと思っている。
もし、フローラが同じように望んでくれるのなら、辺境伯の地位をかけてもそれを実現してやりたいと。
「…ラウル…?」
ラウルはフローラが目を覚ましたことに気づき、抱え込んでいた腕の力を緩めた。
そっとフローラがラウルの頬に手を添える。
「嫌な夢でも見られました?難しいお顔をされています」
「いや。なんでもない。それより、体はきつくないか?」
フローラは恥ずかしそうに視線をそらし、小さく頷いた。ラウルが体を引き寄せて額や頬に口づけていく。
そのまま首筋に唇が滑ってきたことにフローラは驚いて、ラウルの体をぐっと押した。
「な、なにを」
「まだ起きるには早い」
「で、でも、今日は城に帰りませんと」
「フローラはゆっくり馬車に乗って帰ってくればいい。馬であちこちするのは疲れただろう」
「そ、そういう問題では」
フローラの小さな抗議はあっという間にラウルに吞み込まれ、冷めたはずの熱が再び燃え上がるのを感じていた。
フローラが激しい情事の後に再び落ちるように眠りについたのを見届けると、ラウルは寝台から降りた。
壁にかけられていたガウンを羽織ると、静かに部屋を出た。
メレルが廊下の離れた場所で控えていたのを確認すると、手を挙げた。メレルは音もなくすぐさまラウルのもとに駆け寄り、湯の準備ができていることを伝えた。
ラウルは頷くと、フローラは目覚めるまで寝かしておくように伝え、帰りの馬車の手配を指示した。
湯を浴び、身支度を整えると、まだ部屋で寝ているフローラに口づけした。そっと部屋を出ると既に準備の整っていたドーシュにまたがり、邸宅を後にした。
早朝だったことと、一人で馬を走らせたことから、行きの半分ほどの行程で城まで戻ることができた。門兵が門を開け、中に入るとドーシュを任せて、城の中へとそのまま進んだ。
まっすぐに執務室に向かうと、既にジャンとヴィクトルは仕事を始めていた。
「おはようございます、閣下」
「おはようございます、閣下」
「ああ、昨日は何もなかったか」
「はい、つつがなく。そちらに決裁を頂く書類があります」
ラウルがマントや剣を外して、ヴィクトルに渡す。ジャンはお茶の準備を伝えるべく部屋を出て行った。
ラウルが執務机につくと、目の前にヴィクトルが立ったまま動かない。不審に思って顔を上げると、ヴィクトルがにやけた顔をしているのをラウルは冷たい目で睨みつけた。
「なんだ」
「俺に褒美をください」
「なんのだ」
「閣下が想いを遂げられるよう手を回した褒美です」
「っっ」
思わず机の上で手を握りしめたが、ヴィクトルは全てお見通しといった目でにこにこと笑顔を浮かべている。
「ちゃんと乗り心地のいい城の馬車を向かわせましたから、ご安心ください」
それだけ言うとヴィクトルは自分の席に戻った。ラウルはヴィクトルは勘がいいとは思っていたが、その能力を見誤っていたと自分の評価能力を見直すことにした。
昼を過ぎても、夕方に近い時刻になっても一向にフローラを乗せた馬車が戻る気配がなく、最初はヴィクトルも「閣下、無理させたんじゃないでしょうね」と軽口を叩いていたのに、だんだんとからかいの口調ではなく「…まさか、立てなくなるほど…?」と真剣に心配をし始めたせいで、ラウルもじっと座っていられなくなった。
「わー、待ってください!2日連続は困ります!」
今にも馬房に急ごうとするラウルを必死に引き留めていると、執務室のドアがノックされた。
ジャンが開けると、一人の騎士が紙を持って立っていた。それをジャンが受け取り、ラウルに手渡した。
丸められた手の平よりも小さい紙にメレルの家の紋章が押してあった。
「伝書鳩飛ばしてきたんですね、メレルのじーさん」
「ヴィクトルさん、ほんとにその呼び方直しておかないと、うっかり本人の前で口が滑りますよ」
「いーって、もう何回も口滑らせてるから」
「だから、そういうのを直したほうがって話を」
ヴィクトルとジャンが言いあっていると、ラウルが突然執務室から駆け出していきそうになり、慌てて二人がドアの前に立ちふさがった。
「どうされたんですか、閣下!」
「フローラが倒れた!」
「へっ?」
「ええっ?」
「そこをどけ!」
二人を押しのけようとするラウルを、二人がかりで必死に押し留め「落ち着いてください」「手紙を見せてください」と文字通り押し問答をして、なんとかラウルを執務机まで戻すことに成功した。
ラウルから手渡された手紙に二人が目を通し、哀しげに視線を落とすと、両手を組んで椅子に座っているラウルを見た。
「…仕方ないじゃないですか。元気そうに見えても、まだあの事故から2か月ですよ。馬車に乗るのが怖くなるのも理解できます」
「そうですよ。大けがで済んだのが幸いなくらいで、御者は亡くなるほどの事故でしたから。フローラさんも覚えていないだけで、心はあの時の恐怖心を覚えているんでしょうね」
「そんなことはわかっている。気づきもせずに馬車で帰れなどと言った自分に腹を立てただけだ」
「それも仕方ないですよ。なんせ、閣下は女心なんて一切気にせず何十年も過ごしてきた方ですからね!そんな一朝一夕で習得されちゃ、日々腕に磨きをかけてる俺の努力が報われないですよ!」
「誰でも口説くのを努力と言うのはちがうと思いますよ、ヴィクトルさん」
「好きな女に一声もかけられない自分を棚に上げて説教すんな」
「もういい、ヴィクトル、俺のマントと剣を取れ」
「ジャン!!」
「わかってます!」
ラウルはヴィクトルとジャンが準備してくれるものと思っていたが、ヴィクトルはラウルのマントと剣をつかむとジャンに渡し、ジャンがそのまま執務室を飛び出して行った。
あっけにとられていると、ヴィクトルが執務机に未決裁の書類を積み上げた。
「今日は何がなんでもここにいていただきます!」
「しかし、フローラが」
「倒れたその日に連れ帰るとか正気ですか?閣下や俺達のような頑丈な肉体を持ってないことぐらい、昨日散々確かめたでしょう?!ゆっくり休ませてあげてください。明日、別の奴を迎えに行かせます」
「俺が行く」
「だめです」
「しかし、馬車に乗れない以上、誰かと馬に乗らなければならないだろう」
「閣下…なんですか、その年甲斐もない嫉妬心…」
ラウルが粘っても、ヴィクトルは頑として譲らなかった。仕事に関して決して甘い考えを持たない主君であることはわかっているが、恋に落ちた人間がどのように変化するかをヴィクトルはよく理解していた。
「仕事を自分のために放り投げたと知ったら、フローラさん、どう思いますかね…?」
「ぐっ…」
ラウルはただでさえ、領主としての自分の振る舞いに気にかけていたフローラのことを思い出し、渋々席に戻った。
ヴィクトルが机の前に立ち、小声で告げた。
「閣下、今から俺が提案することが一番閣下とフローラさんのためになると思いますが、この情報を提供することで、その者の今後に何も影響を与えないことを約束してください」
「よくわからんが、それが解決策となるなら、約束しよう」
「ロドリゴを迎えにやります」
「ロドリゴ?第三騎士団の弓がうまい奴だろう?それがどうして適任なんだ」
「ロドリゴは女を愛せません」
「…わかった。そして、そのことは口外しないし、今後にも何の支障もない。俺は誰が誰を好きになろうが、そんなことは構わん」
「知ってます。でも、一応確認しといただけです。じゃあ、フローラさんの迎えの件はそれで対応しますんで、閣下はどうぞお続けください」
ヴィクトルが敬礼をして執務室を下がると、交替でマントと剣を抱えたジャンが部屋に戻って来た。
そして、それらを元の場所戻すと自分の席についた。
全く気の合わなそうな補佐官二人の見事な連携ぶりにラウルはため息をついて、書類に手を伸ばした。
倒れたという情報しかわからないフローラのことが気になって仕方ないが、責務を全うするために、作業は補佐官二人を帰した後も深夜まで続いた。
2
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
ボンクラ婚約者の愛人でぶりっ子な悪役令嬢が雇った殺し屋に、何故か溺愛されていました
蓮恭
恋愛
「分かった。アンタを殺すのはやめよう。」
思わぬ言葉を発する男に、私はとても戸惑いました。
「貴方、ドロシー嬢の放った刺客なのでしょう?そのようなことできっこないわ。」
もう自暴自棄になっても致し方ないほどに理解が追いつかない状況なのです。
「できるさ。俺はアンタを気に入ったから、あの女の依頼はキャンセルだ。」
婚約者である公爵令息ジョシュア様に色目を使うドロシー伯爵令嬢。
日々蔑ろにされていても私はジョシュア様をお慕いしているフリをしなければならないのです。
でももう日々の演技にもいい加減疲れてまいりました。
そんな時に私が邪魔になったドロシー嬢は刺客を放ったのです。
*作者の好きなザマアと婚約破棄ものです。
今回は家族から大切に溺愛されている箱入り令嬢のお話にしてみました。
『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる