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あなたの想いに応えたいから

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アマリアは公爵邸の広い図書室の中で、テーブルにうず高く積まれた本の中で、頭を抱えていた。

義姉のクリスティから、本格的に公爵夫人になるための教育が始まったのだ。



まずは、2週間後にある家臣の夫人らを集めたクリスティ主催のお茶会で、夫人らにアマリアをお披露目するということで、家臣の名前と爵位、家族構成に婚姻による家同士の関係性や派閥、またそれぞれの主たる特産や税収、領民の数などを完璧に覚えなければならないのだ。



当然、公爵領のことも頭に入れなければならないうえに、会話にのぼるであろう流行についても知らなくてはならないと言われ、ますます頭を悩ませていた。





「とにかく、ひとつずつやるしかないわ。大丈夫。これまでだってやってきたじゃない」



アマリアは自分自身を奮起させて、本を開き、そのひとつひとつに目を通し始めた。



侍女らがお茶や軽食を準備したり、休憩を促しても「もう少ししてから」「あと少しでキリがいいところだから」と言ってはまた集中して自分の世界に入り込んでしまい、そっと様子を見にくる使用人たちは心配そうに見守っていた。



やっと立ち上がったかと思うと、資料を探すだけだったり、お花を摘みに行ってすぐ戻って机に向かったりするだけなので、侍女たちは何か用事を言いつけられないか、ここから離れる別のことをなさらないかと無言の圧力をアマリアにかけていた。



そんな使用人たちの動きは全く気づかずに、アマリアはひたすら覚える作業を続けた。





「奥様、昼食のお時間です」

「奥様、そろそろお昼を召し上がりにならないと…」

「奥様、どうかお願いですから、何か召し上がってください…!」



と段々と切羽詰まる使用人達に根負けして食堂に移ったとき、夕食に近い時間になっていた。しかも、その手には本が1冊しっかりと握り込まれており、食事中も何か物思いにふけっては、本を開いて何かを確かめるような状態で、使用人達を驚かせた。





社交デビューしたばかりの16歳であり、遊んだり華やかなことに関心の大半を占めてもおかしくはない年頃である。

教育を適当にして、自分のそばに知識のあるものを控えさせてその場を済ませる令嬢もたくさんいる。

しかし、アマリアは決して妥協せず、与えられた課題に必死に取り組み、課せられた責任を理解してそれに応えようとしている。

アマリアの情報は公爵家の使用人達は共有していたものの、その健気な姿は全ての者の心を強く打った。

そして、この奥様に全力でお仕えしようと改めて誓っていた。





食後の紅茶を待っている間に、アマリアはエルザに声をかけた。



「あの、家臣のことをちゃんと覚えられているか答え合わせというか、確かめたいのだけど、クリスティ様には最終の確認にお願いしたいから、その前に練習というか付き合ってくれる人で誰か適任な人はいないかしら?」



「家臣のことを把握し、奥様の記憶の照合ができる者、という理解でよろしいでしょうか?」



「そう!そうなの、きちんと覚えられているか確かめたいの」



「執事長も適任と思いますが、私も把握してしておりますし、奥様のそばにおりますのでわざわざ呼び出す必要もなく、効率的かと思いますがいかがでしょうか?」



「エルザは全部覚えているの?!」



「はい、私は公爵邸で生まれ育ちましたので、自然に皆様のことは耳に入りますし、母からも話を聞いたりしますので」



「まぁ!それは頼りになるわ!きっとヘンドリック様はエルザのそういうところも理解して、私の専属にしてくださったのね!嬉しいわ!じゃあ、この後早速なんだけど」



「お言葉ですが、奥様、本日からお肌のお手入れに更なるお時間をいただきます。今から湯殿にお越しくださいますようお願い致します」



「えっ?!夜にあんなにしてもらってるのに?」



「もう夜に近いお時間です。家臣とはいえ、奥様のお披露目のようなものですから。お手入れに念には念を入れなくてはなりません」



「でもね、私、まだ全然覚えられていないのよ…?」



「奥様、まだ初日でございます。初日で全てを覚える必要はございません」



「でも、時間がないの…私は優秀ではないから、頑張ることしか成果を出す方法はないのよ…」



伏し目がちに小さく言った言葉に、食堂に控えていた使用人達はそれぞれに決心していた。

旦那様とも、クリスティ様とも全く違う方法でアマリアを守らなければならないと。



エルザはあくまで淡々と、頷いて、アマリアに提案した。



「承知いたしました。それでは、湯殿とマッサージをしている間に口頭での確認を致しましょう。それでしたら、時間も無駄になりませんし、奥様のお手入れにも支障は出ません」



「まぁ、それはいいアイディアね、早速そうしましょう!」





嬉しそうにそう答えると、香りの良い紅茶をいそいそと飲み干し、本をまた抱えて食堂を後にした。

エルザはそばにいた別の侍女に、リラックス効果の上がる香油の準備と、湯上がりに飲む紅茶の種類を睡眠を促すものに変えるよう指示した。



そうして、湯殿で体や髪を洗われている間はエルザと今日覚えたことの確認を口頭でしていたアマリアだったが、湯上がりに紅茶を飲み、マッサージの段階になるとうとうとし始め、仕上がりの段階ではすっかり寝入ってしまっていた。

アマリアに薄い寝間着を着せ、エルザはひょいとアマリアを横抱きにして、アマリアの部屋へと運び、そっとベッドに寝かせた。

エルザは制服の上では細身に見えるが、体は少しの隙もなく鍛え上げられており、侍女でありながら護衛ができるように訓練された存在だった。





夜になり、仕事を終えて帰ってきたヘンドリックと、同様に皇女の教育指導を終えて帰ってきたクリスティは、1日のアマリアの過ごし方を執事長とエルザから聞いて顔を見合わせた。



「アマリアは…健気すぎる…聞いてはいたが…そこまでとは…」



口元をおさえ、愛しいアマリアの様子を想像しては目を閉じた。



「私が一度に課題を与え過ぎたわ。全量がわかれば良いかと思ったけれど、アマリアには1日の量を細かく決めて課題として与えましょう。それに、過度に無理をする傾向があるから、人と会う予定や別の用事を入れて、勉強だけの時間で1日が費やされないように練り直さなくてはならないわね。予定も無理なく、負担にならないものをうまく取り入れなければ…」



クリスティはそう言いながら、課題の内容や量と、予定表を何度も見比べては細かく書き込んでいた。



「ヘンドリック、あなたもできるだけ晩餐に間に合うよう帰ってきなさい。晩餐のための準備と言えば、今日のように切り上げられるわ。私もできるだけ、昼食か晩餐を共にして、あの子の食生活が乱れないようにしましょう。アマリアは確か精神的な負担がかかると食が細くなったことが過去にあったわね。料理長に、あの子の胃に負担の少ない料理に切り替えるように指示を出しましょう」



「わかりました、姉上。お気遣いありがとうございます」



「アンドリューにも薬草の指示をして。今夜のようによく眠れるような紅茶を夜は必ず飲むようにするから、その薬草を一定量確保しなければならないわ。エルザ、香油の管理もしっかりね。月の障りの前後では、香油も効果がいい時と悪い時があるわ、数種類用意して、体調に合わせて変えて頂戴」



「承知いたしました」



執事長とエルザは頭を下げて、その指示を迅速に対応するべく退室した。



「ヘンドリックも閨のことは、ほどほどになさいね」



「それは約束できかねますが…」



ほとんど即答で返ってきた言葉に、クリスティは小さく嘆息し、再び手元の書類に目を落とした。

初日だけでアマリアが覚えた量は、クリスティの予想を遥かに超えており、課題は数日でこなしてしまうのではないかと思えるほどだった。

しかし、自分を追い詰めるようなやり方はクリスティの望んでいたものではなかった。

明日からどのように指導をするか、クリスティの構想は深夜まで続いた。





ヘンドリックがいつものように身支度を終え、アマリアの部屋に迎えに行った時、いつもとは様子が異なっていた。

ベッドにアマリアの姿がなかったのだ。

すっと背中に嫌な汗が流れた。しかし、すぐに燭台に残った一本の小さな灯りが目に入り、暖炉の前のソファへと近づくと、ガウン姿のアマリアがソファに座ったまま眠っていた。

ほっとしたが、その膝の上とソファ、そしてソファの前のテーブルに本が何冊も広げられており、ヘンドリックは表情を固くした。

アマリアに触れようとした瞬間、びくっと体を震わせて、アマリアが目を覚ました。

ヘンドリックが持っていた灯りのまぶしさに目を細め、その存在に気づくと慌てて立ち上がった。



「おかえりなさいませ、ヘンドリック様」



アマリアの膝とソファからバサバサと本が滑り落ち、慌てて本を拾い上げた。そして、胸元に大事そうに本を抱えるともう一度ヘンドリックを見上げて、にっこりと微笑んだ。

それが余計にヘンドリックの胸を締め付けてならなかった。



「先に休んでいたと思っていたんだけど、目が覚めたのかい?」



アマリアの赤くなった目元にそっと手を添え、優しく微笑みかける。すると、アマリアは恥ずかしそうに目をそらした。



「お出迎えもできず申し訳ありません。また早くに眠ってしまったみたいなんですが、皆様のことをしっかり覚えられているか気になって目が覚めてしまって、それで続きを読んでいたのですが、また眠ってしまったみたいで…」



「アマリア、そんなにいきなり無理をしてはいけないよ?」



するとアマリアはふるふると首を振って、ヘンドリックを見上げた。



「だめです、ヘンドリック様。その…覚えていらっしゃるでしょう?私、デビューの日、ヘンドリック様のお顔とお名前をしっかり覚えていなくて、あんな失礼なことをしてしまいました…。私、しっかり覚えていたはずなんです。でも、当日意識してきちんと挨拶をしていなかったせいで、あの夜にお会いした方々のほとんどを覚えられていなくて…私はあの時、ちゃんと自分の立場を理解していなかったと痛感したんです。それに、今度のお茶会はヘンドリック様の婚約者として皆様にお会いするのですから、あのような失敗は許されません」



強いまなざしで見つめ返してくるアマリアに、ヘンドリックはこれまでとは全く異なる胸の昂ぶりを感じていた。

本を持つアマリアごと、そっと抱き寄せ、片手にぎゅっと力を込めた。もう片方の手で持つ灯りが揺らめく。



「ありがとう、アマリア。でもね、誰でも失敗はするし、私たちの臣下やその夫人でアマリアのことを蔑むような人たちはいないから、安心してほしい。たとえ何があっても、私も姉上もそばでアマリアを守るから」



「ありがとうございます、ヘンドリック様。でも私‥‥その…」



「?」



言いよどむアマリアの顔を見下ろすと、空色の瞳がまっすぐにヘンドリックを見上げていた。



「私…ヘンドリック様の思いに、少しでもお応えしたいんです」



この時、胸に去来した感覚を何と表現すればいいのか。

息をすることさえ忘れてしまいそうな、苦しさに近い思いが全身を駆け巡る。



「アマリア…アマリア…ありがとう…」



やっとそれだけなんとか絞り出すとアマリアを腕の中にもう一度きつく閉じ込めた。

アマリアもヘンドリックの胸に頬を寄せ、静かに目を閉じ、心地よい感覚に満たされていた。



「あの…ですから、今夜は先にお休みになってください。その…お茶会までは、どうぞ私のことはお気になさらずにお部屋でゆっくりお休みください」



「それはだめだよ、アマリア」



ヘンドリックはさっとアマリアの腕の中の本を取り上げて、テーブルに置き、細い腰に腕を回して続き扉へと歩き始めた。



「ヘンドリック様っ」



「アマリアが一人起きているのをわかっていて、気楽に休めるような男ではないよ、私は。それに、アマリアがこの邸宅にいる以上、君が休む場所は私の腕の中だとしっかり覚えておいて」



甘いささやきに頬を赤らめ、アマリアは何も言えなくなってしまう。

やがて、扉からヘンドリックの部屋へと移り、ベッドまでやってくると、そっとアマリアのガウンを脱がせた。今夜はペールミントの膝下まである寝間着でスリットが大胆に入っており、アマリアの白い脚が動き合わせて現れては隠れる。

目の毒にしかならないそれに触れるのをかろうじてこらえ、ヘンドリックは自身のガウンも取り去り、アマリアをに横になるように優しく言った。

こうして一緒にベッドに入るのは初めてだったが、アマリアを腕の中に抱いて寝ることはまるで違和感もなく、これまでどうやって一人で寝ていたかをふと思い出そうとして、無駄なことと思い直してやめた。

アマリアの額にキスをして、しっかりその華奢な体を抱きしめると、アマリアの体からすっと力が抜けた。

やがてアマリアの規則正しい寝息が聞こえてきたのを確かめてから、ヘンドリックも眠りについた。

少しずつ、そして確実に二人の距離が縮まった夜だった。
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