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4×100mRの練習はそれぞれ1回ずつやることになった。とりあえず、予選と同じ組みで走ることになったのだ。自分は最終組であるため、先に走る組の様子を眺めていた。まあ、隣には煩い奴がいる。

「なあ、休日遊ぼうぜ?」

「無理です。」

「なんでだよ?俺と遊びたくねえの?」

自信満々に答えるカランにもう呆れて何も言えなくなってくる。

「俺って人気なんだからな?」

まあ、納得出来る部分はある。もうすぐ伯爵令息になるということから、家柄は申し分はない。しかも、ここに居るっていうことは運動も万全なのだろう。何よりもこの整った容姿は、嫌でもイケメンだと認めるしかなかった。ムカつくけど…

「なら、他の人を誘えよ。」

まだカランは何か言ってこようとしていたが、どうやら走順が回ってきたらしい。舌打ちをして立ち上がったが、ギリギリまでデートをしようと誘ってきやがった。

ようやく煩い奴が消えたと思い気を緩むと、反対側に座っていた男が声を掛けてきた。

「ごめんね、カランが。」

「……いえ。」

声を掛けてきた人物は物腰が柔らかそうな人だという印象を受けた。

「急に話しかけてごめんね。」

「大丈夫です。」

「俺はカランの先輩に当たるんだけど、今年で3回生の「では、最終組も並んで下さい!」

教師から招集が掛かったので、アルフは隣の男にお辞儀をして会話を終わらせた。2個年上の先輩ならば今後関わることもないと思ったため、特に話したいとは思わなかった。


アルフは室長からバトンを受けて100mを走り終えると、1着でゴールをした。バトンを貰う頃には結構な差がついており、スタート以外は軽く流して走った。これなら余裕で決勝に進めそうだと確信出来るレベルだ。

アルフは暑さから額に伝う汗を拭うと始めに並んだ位置へ腰を下ろした。それから少ししてから1走から3走まで走ったメンバーが戻ってきた。全員が揃うと教員からの話が軽く行われて、そのまま解散となった。

イニスとブラッド、室長とともに教室に向かおうとする際に後方にいるカランが視界に映った。何やら同じく赤い模様を身につけた同級生たちに囲まれているようだった。アルフはその姿を見て、本当に彼は人気者だったのかと納得することが出来た。

まあ、自分にはもう関わることはないと思うとそのまま言葉を交わすことなく教室に足を運んだのだ。
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