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掟を布いたのは、組織として統率するためだけではなかった。盗みの失敗率を下げるため、綿密な計画をとらせるためのものでもあった。
俺が盗みの技術を教え、銀行から貴族の家などを相手にするために、身体的な訓練。そして、人の注意を逸らす技術を教え込んでいく。
そして、一か月が経ち、ようやく、訓練の成果を出すための実地試験となるわけだが、その中でも選りすぐりのゴロツキを用意してきた。
カンナはもちろんだが、筋肉ダルマのマッシュに、やせぎすのオルガ。
マッシュにはその筋力を活かして運搬を担当してもらう。
オルガには、スリの才能があったために、不測の事態が起きたときのために、警備のかく乱を担当してもらうことにした。
この日のために銀行の間取りまで潜入して下調べをして、全てを頂くために計画を立てた。
作戦はこうだ。
警備兵の交代が4時間ごと。その交代の隙を狙って、俺とオルガが警備兵を縛りあげてなりすます。
そして、カンナが宝石を預け、金庫に持っていくまで待機をする。
この金庫は厳重で、二人の警備兵と分厚い金属の扉によって施錠されている。ダイアル式のため、通常の鍵開けでは通用しないだろう。
だから、俺たちは、鍵開けを行員に任せることにした。
金庫が開けば、不意打ちで襲い掛かり、オルガの腕力で行員の手足を拘束させる。
次に俺がマッシュとコンタクトを取り、マッシュに行員になりすまさせ、カンナの対応をさせる。俺とオルガで金庫内の物を運び出し、カンナが金庫から預けた物を下ろしたという形で、堂々と金庫の中身を外に待機させた馬車に詰め込んでいくという計画だった。
盗みは予定通りに進み、服を着替えれば、それらしく変装ができた。
怪しまれた時のためにマッシュを待機させていたが、これも正解だった。
行員に怪しまれることもあったが、少し騒いで気を引かせ、俺たちはその隙に奥へと侵入することができた。
カンナの持っている黄色のダイアが行員によって運ばれ、金庫のロックが解除された。
その瞬間に、行員を後ろから羽交い絞めにして下着で縛り上げて素早く無力化をした。
マッシュがシャンデリアから降りてきて、すぐさま、行員の服に着替えた。
袋に詰め込んで運び出していくものを、堂々と正面玄関からオルガとマッシュが付き添いをしてカンナの馬車に詰め込んでいく。
全てを運び終えた後に、俺は何かが起きたときにすぐにサポートができるように、裏口から別のルートを頼って逃げ出した。
家に帰れば、部屋いっぱいの宝石に、紙幣に、建物の権利書など、俺たちはすぐさまそれらを山分けにして、遊びに使って散財をした。
酔いつぶれた次の日には、新聞は俺たち怪盗の噂で持ち切りになり、世間は、一気に騒ぎだしていた。
『怪盗。またもや銀号破り。彼らは街の英雄なのか?』
そういう見出しがでているのは、俺たちがそれからも、次々に、同じ手口で他の銀行を襲い始めたからだった。
俺たち怪盗が相手にするのは、決まって金持ちの物ばかり、盗んだものはすぐに使ってしまうので、街は潤い、勝手に、民衆からは義賊のように思われていたのだった。
そうして、俺たちの活躍が広がり、志願して仲間に入ってくる奴らも増えてくると、一気に、組織も大きくなり始めてしまった。
組織が大きくなってくると、部下の質も下がってくるのが当然で、末端の者たちにも気を遣う必要が出てくるのだ。
部下が捕まらないように警察に賄賂を送ったり、捕まった仲間は必ず救出するように動いていく。
そうしていると、いつの間にやら、仲間は必ず助けなければならないという暗黙の掟が誕生し、組織の結束力は、より強固になっていた。
俺が盗みの技術を教え、銀行から貴族の家などを相手にするために、身体的な訓練。そして、人の注意を逸らす技術を教え込んでいく。
そして、一か月が経ち、ようやく、訓練の成果を出すための実地試験となるわけだが、その中でも選りすぐりのゴロツキを用意してきた。
カンナはもちろんだが、筋肉ダルマのマッシュに、やせぎすのオルガ。
マッシュにはその筋力を活かして運搬を担当してもらう。
オルガには、スリの才能があったために、不測の事態が起きたときのために、警備のかく乱を担当してもらうことにした。
この日のために銀行の間取りまで潜入して下調べをして、全てを頂くために計画を立てた。
作戦はこうだ。
警備兵の交代が4時間ごと。その交代の隙を狙って、俺とオルガが警備兵を縛りあげてなりすます。
そして、カンナが宝石を預け、金庫に持っていくまで待機をする。
この金庫は厳重で、二人の警備兵と分厚い金属の扉によって施錠されている。ダイアル式のため、通常の鍵開けでは通用しないだろう。
だから、俺たちは、鍵開けを行員に任せることにした。
金庫が開けば、不意打ちで襲い掛かり、オルガの腕力で行員の手足を拘束させる。
次に俺がマッシュとコンタクトを取り、マッシュに行員になりすまさせ、カンナの対応をさせる。俺とオルガで金庫内の物を運び出し、カンナが金庫から預けた物を下ろしたという形で、堂々と金庫の中身を外に待機させた馬車に詰め込んでいくという計画だった。
盗みは予定通りに進み、服を着替えれば、それらしく変装ができた。
怪しまれた時のためにマッシュを待機させていたが、これも正解だった。
行員に怪しまれることもあったが、少し騒いで気を引かせ、俺たちはその隙に奥へと侵入することができた。
カンナの持っている黄色のダイアが行員によって運ばれ、金庫のロックが解除された。
その瞬間に、行員を後ろから羽交い絞めにして下着で縛り上げて素早く無力化をした。
マッシュがシャンデリアから降りてきて、すぐさま、行員の服に着替えた。
袋に詰め込んで運び出していくものを、堂々と正面玄関からオルガとマッシュが付き添いをしてカンナの馬車に詰め込んでいく。
全てを運び終えた後に、俺は何かが起きたときにすぐにサポートができるように、裏口から別のルートを頼って逃げ出した。
家に帰れば、部屋いっぱいの宝石に、紙幣に、建物の権利書など、俺たちはすぐさまそれらを山分けにして、遊びに使って散財をした。
酔いつぶれた次の日には、新聞は俺たち怪盗の噂で持ち切りになり、世間は、一気に騒ぎだしていた。
『怪盗。またもや銀号破り。彼らは街の英雄なのか?』
そういう見出しがでているのは、俺たちがそれからも、次々に、同じ手口で他の銀行を襲い始めたからだった。
俺たち怪盗が相手にするのは、決まって金持ちの物ばかり、盗んだものはすぐに使ってしまうので、街は潤い、勝手に、民衆からは義賊のように思われていたのだった。
そうして、俺たちの活躍が広がり、志願して仲間に入ってくる奴らも増えてくると、一気に、組織も大きくなり始めてしまった。
組織が大きくなってくると、部下の質も下がってくるのが当然で、末端の者たちにも気を遣う必要が出てくるのだ。
部下が捕まらないように警察に賄賂を送ったり、捕まった仲間は必ず救出するように動いていく。
そうしていると、いつの間にやら、仲間は必ず助けなければならないという暗黙の掟が誕生し、組織の結束力は、より強固になっていた。
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