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とりあえず商売
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「分かった。仕事あるか聞いてあげるからついてきなさい」
と、女の子が本気で俺を心配した様子でそう言いました。
「スラムの俺なんかに仕事なんてあるのか? それだったら他のスラムの人間にも仕事を紹介してやった方が良いんじゃないか?」
「スラムの人間はまとも働こうとしないから貧乏なのよ。仕事なんていくらでもあるわ」
「ふーん」
「じゃあ来て」
逃げる隙を失った俺は、とりあえず女の子について行くことにしました。というより、女の子は俺の腕を離そうとしてくれません。
というより、この女の子はいったいなんなのでしょうか? 見ず知らずの俺のためにここまで動こうとして。その癖きつい口調のくせに、可愛らしい大きなリボンを頭に付けて、服だって透き通るような水色で、後ろ姿がなんとも可愛らしく見えます。そう言えば顔もなんだか可愛かった気がするし、これはボーイミーツガールというやつでしょうか? なーんて、馬鹿らしい考えを俺はしていましたとさ。めでたいめでいたい。頭がめでたい。
そして、女の子について行った先には、なんと、小さなパン屋でした。
パン屋の主人が俺の顔を見て、
「不採用」
わお! 主人は俺の顔だけを見て判断したようです! 面接もへったくれもありません!
その次に連れていかれたのは、工務店でした。
「使いもんになさそうだな。やる気はあるのか?」
と聞かれましたが、当然全くないわけで、
「うーん。微妙」
なんて言ったら金槌が飛んできました。
なので、仕方なくありますと言いました。
「中に入りな」
と親方が言うのでついていくと、っと、その前に女の子にお礼を言わなくてはなりません。人間、礼節を失ったら本当に終わりです。
いや、もう既に、何もかも失った気もしますが、ここでせめて挽回しましょう。
「まあ、お嬢ちゃん。ありがとうな」
「良いのよ。今度は死のうとするんじゃないよ」
まだ15歳くらいだというのに、女の子が優しくそう言うので、俺もしばらくはここで生きていようかなと思いました。
いや、もう、俺27で能力も無いし、こんな世界で別に死んでも良いんだけどね?
と、ふと、身だしなみ用の鏡が置いてあったので、見てみると、なんと、俺、16歳くらいになっていました。
「へ? 俺高校生?」
「なにやってる。早く来い」
「はい!」
まあ、付いて行きますと、おっちゃんは、古い服を押し入れから引っ張り出してきて、俺にくれました。
「季節外れだけど着れるだろ」
「ありありのあーりがとう」
とふざけて言うと、怖い目でギロッと睨まれました。なので、俺は小さく謝りました。
それからここで働くことになりましたが、カンナの砥ぎの練習をしたり、のこぎりを研いだり、材料を運んで仕事をすることになりましたとさ。
あー、働きたくねー。
まあ、お金はもらえるわけで、一か月でだいたい生きるのに必要な分はもらえたのでした。
それまでは、倉庫で寝泊まりをしていましたが、ようやく、家が借りれるようになったのです。
普段の生活は、親方の奥さんに面倒を見てもらっていたのですが、この人がなんとも優しい人だったのです。ご飯も寝どこも、洗濯もしてくれます。実の母のことをおもいだします……。
「あんた。ちゃんと飯食べなさいよ! ほら、チーズとバターよ。今朝作ったばかりだから美味しいわよ!」
「はい……。美味しいです……」
なんということでしょう。もう、社会人になって失敗した俺にとっては、涙が出てしまうほど優しさを感じてしまったのです。世の中には、こんな親切な人がいたのですね……。
「あんた、今までどこで何をして暮らしてたんだい?」
「社畜をやって、お金の欲しさから人に散々迷惑をかけて生きてました。俺は必要とされない人間でした……」
俺が涙ながらにそう言うと、奥さんは、俺を憐れむように見ました。
「あんた……。今は反省してるんだろ? じゃあ、良いじゃないか。大人だって失敗するんだから、今度は、あんたがそういう人たちを救ってあげられるように頑張りな。だから、今は私の飯を食べて元気になるんだよ!」
「はい……」
今は亡き、母さんのことを思い出して、ますます俺は泣いてしまいます。
俺は、少し、本気でこの世界でやり直してみようかなと思うようになりました。
「じゃあ、ここでの生活をするためにも、色々と教えなきゃね。チーズは作れるかい?」
「分からないです」
「良いかい? パンとチーズと水さえあれば生きていける。チーズを作るには、飲む用の牛乳だとチーズが作れないから、ちゃんと無調整の牛乳を使うんだ。あとで、古くなったバター器をあげるよ」
「ありがとうございます……。この恩は、きっと返せるようになります」
「うん。よく言った」
おばさんは、とても包容力があり、俺の心まで包み込んでくれるほどでした。俺は改心して、どうにかこの世界で、社会貢献をしてこうかと考えるようにもなりました。
生活を続けていくうちに、この世界は、なんとも、生活の水準が高いことを知りました。
基本的に、魔法というものがあるので、物の保存なんて簡単ですし、運送も、魔法を使って素早く運んでいます。
なので、みんな食べることも働くことも、それほど困っておらず、みんなが自分の生活リズムで働きやすいように働いていました。
そんな中、子どもに人気のキャンディーというものを知りました。
俺はまだ、悪い奴といえば悪い奴なので、ひと箱1、16個入りのキャンディーに味が一種類しか入っていないことを見て、12種類の味を全部買って一種類ずつの味を入れたケースを作って子供に売りさばきました。いわゆる転売というやつです。
まあ、少し値段はつけましたが、それでも、子どもたちは凄い勢いで買ってくれました。転売というのは、買い尽くしてしまうことに問題がありますが、こういう量を考えたことなら、まだ悪くはないのかもしれません(笑)(笑)
ですが、俺がやりたいことのためには、もっとお金が必要なのです。俺には経営経済の知識があります。チートが無い俺でも、この知識が使えれば、この技術の発達していない世界であれば、お金を沢山手に入れて、世の中をよくすることができるかもしれません。そう妄想したのです。
ある日、毎週、牛乳を配送してくる十代くらのお兄ちゃんと、世間話をすることがありました。
「それだけの量、大変だな」
「もう慣れたものですからそうでもないですよ」
「その牛乳、毎回全員分の家まで運んでるのか?」
「そうですよ」
「じゃあ、もっと簡単に売れる方法なら、俺知ってますよ」
「ほんとう?」
「ええ。パン屋がそこにあるでしょう? そこで売るんですよ」
「パン屋はパンを売るところであって、牛乳なんて売ってたら変だよ」
「いや。パンと牛乳は食事においてセットなところがあります。わざわざ家に戻るよりも、仕事をしに行くタイミングで買ったりと、実はその方が簡単に買えるから便利なんですよ」
「そうかな……。でも、そう言われるとそんな気も……」
ここで、みなさんは、牛乳とパンを一緒に売るなんて普通でしょ? 何が無双だよと馬鹿にして思うかもしれません。けれども、この1927年のセブン●レブンの元となる氷小売販売店が初めにしたのですよ。人間の歴史から見れば、一世代が丸々変わるつい最近のできごとでなのです。
つまり、中世、ルネサンス期にそんな発想が全くあるわけないので、この手法は必ず成功します。
ちなみにですが、現代のドラッグストアが、薬を売ってるのに、食べ物とかトイレットペーパーとかも売ってスーパーみたいになっているのはこの手法と同じことなのです。
「じゃあ、俺に売らせてもらえませんか? お金なら俺が払って買うので」
「うーん。まあ、じゃあ、買ってくれるなら良いよ?」
俺の目論見通りにパン屋の前で牛乳を売りますと、50個が一気に売れました。
運んだ50本が全部売れて、それでもまだ欲しいという人たちが現れたので、また仕入れます。
「凄いよ! どんどん売れてくよ!」
「ちょっと、この量は売れすぎだな。少し値段を上げて需要と供給の曲線をちゃんと適正にする必要があるな……」
そうして、値段を三割上げて、ようやく適正価格で売ることができました。
「君、商売の才能があるんだね!」
「そうでもないですよ。これは、ただの知識です。俺が知っているセブン●レブンというお店がありまして、それが、元は色々な物を売ったりとしてきたからで、そもそも、こういうのは雑貨屋という形態でもありまして、アメリカの開拓時代にはあらゆる物が必要だったので、どんな物でも売れば売れるし、近くて便利だと買ってくれるのです」
ちなみに、この知識。リアルで本当ですよ。
「へえー……」
感心した様子の牛乳配達のお兄ちゃんも、実は16歳なので、俺と意気があうことも多くありました。
と、女の子が本気で俺を心配した様子でそう言いました。
「スラムの俺なんかに仕事なんてあるのか? それだったら他のスラムの人間にも仕事を紹介してやった方が良いんじゃないか?」
「スラムの人間はまとも働こうとしないから貧乏なのよ。仕事なんていくらでもあるわ」
「ふーん」
「じゃあ来て」
逃げる隙を失った俺は、とりあえず女の子について行くことにしました。というより、女の子は俺の腕を離そうとしてくれません。
というより、この女の子はいったいなんなのでしょうか? 見ず知らずの俺のためにここまで動こうとして。その癖きつい口調のくせに、可愛らしい大きなリボンを頭に付けて、服だって透き通るような水色で、後ろ姿がなんとも可愛らしく見えます。そう言えば顔もなんだか可愛かった気がするし、これはボーイミーツガールというやつでしょうか? なーんて、馬鹿らしい考えを俺はしていましたとさ。めでたいめでいたい。頭がめでたい。
そして、女の子について行った先には、なんと、小さなパン屋でした。
パン屋の主人が俺の顔を見て、
「不採用」
わお! 主人は俺の顔だけを見て判断したようです! 面接もへったくれもありません!
その次に連れていかれたのは、工務店でした。
「使いもんになさそうだな。やる気はあるのか?」
と聞かれましたが、当然全くないわけで、
「うーん。微妙」
なんて言ったら金槌が飛んできました。
なので、仕方なくありますと言いました。
「中に入りな」
と親方が言うのでついていくと、っと、その前に女の子にお礼を言わなくてはなりません。人間、礼節を失ったら本当に終わりです。
いや、もう既に、何もかも失った気もしますが、ここでせめて挽回しましょう。
「まあ、お嬢ちゃん。ありがとうな」
「良いのよ。今度は死のうとするんじゃないよ」
まだ15歳くらいだというのに、女の子が優しくそう言うので、俺もしばらくはここで生きていようかなと思いました。
いや、もう、俺27で能力も無いし、こんな世界で別に死んでも良いんだけどね?
と、ふと、身だしなみ用の鏡が置いてあったので、見てみると、なんと、俺、16歳くらいになっていました。
「へ? 俺高校生?」
「なにやってる。早く来い」
「はい!」
まあ、付いて行きますと、おっちゃんは、古い服を押し入れから引っ張り出してきて、俺にくれました。
「季節外れだけど着れるだろ」
「ありありのあーりがとう」
とふざけて言うと、怖い目でギロッと睨まれました。なので、俺は小さく謝りました。
それからここで働くことになりましたが、カンナの砥ぎの練習をしたり、のこぎりを研いだり、材料を運んで仕事をすることになりましたとさ。
あー、働きたくねー。
まあ、お金はもらえるわけで、一か月でだいたい生きるのに必要な分はもらえたのでした。
それまでは、倉庫で寝泊まりをしていましたが、ようやく、家が借りれるようになったのです。
普段の生活は、親方の奥さんに面倒を見てもらっていたのですが、この人がなんとも優しい人だったのです。ご飯も寝どこも、洗濯もしてくれます。実の母のことをおもいだします……。
「あんた。ちゃんと飯食べなさいよ! ほら、チーズとバターよ。今朝作ったばかりだから美味しいわよ!」
「はい……。美味しいです……」
なんということでしょう。もう、社会人になって失敗した俺にとっては、涙が出てしまうほど優しさを感じてしまったのです。世の中には、こんな親切な人がいたのですね……。
「あんた、今までどこで何をして暮らしてたんだい?」
「社畜をやって、お金の欲しさから人に散々迷惑をかけて生きてました。俺は必要とされない人間でした……」
俺が涙ながらにそう言うと、奥さんは、俺を憐れむように見ました。
「あんた……。今は反省してるんだろ? じゃあ、良いじゃないか。大人だって失敗するんだから、今度は、あんたがそういう人たちを救ってあげられるように頑張りな。だから、今は私の飯を食べて元気になるんだよ!」
「はい……」
今は亡き、母さんのことを思い出して、ますます俺は泣いてしまいます。
俺は、少し、本気でこの世界でやり直してみようかなと思うようになりました。
「じゃあ、ここでの生活をするためにも、色々と教えなきゃね。チーズは作れるかい?」
「分からないです」
「良いかい? パンとチーズと水さえあれば生きていける。チーズを作るには、飲む用の牛乳だとチーズが作れないから、ちゃんと無調整の牛乳を使うんだ。あとで、古くなったバター器をあげるよ」
「ありがとうございます……。この恩は、きっと返せるようになります」
「うん。よく言った」
おばさんは、とても包容力があり、俺の心まで包み込んでくれるほどでした。俺は改心して、どうにかこの世界で、社会貢献をしてこうかと考えるようにもなりました。
生活を続けていくうちに、この世界は、なんとも、生活の水準が高いことを知りました。
基本的に、魔法というものがあるので、物の保存なんて簡単ですし、運送も、魔法を使って素早く運んでいます。
なので、みんな食べることも働くことも、それほど困っておらず、みんなが自分の生活リズムで働きやすいように働いていました。
そんな中、子どもに人気のキャンディーというものを知りました。
俺はまだ、悪い奴といえば悪い奴なので、ひと箱1、16個入りのキャンディーに味が一種類しか入っていないことを見て、12種類の味を全部買って一種類ずつの味を入れたケースを作って子供に売りさばきました。いわゆる転売というやつです。
まあ、少し値段はつけましたが、それでも、子どもたちは凄い勢いで買ってくれました。転売というのは、買い尽くしてしまうことに問題がありますが、こういう量を考えたことなら、まだ悪くはないのかもしれません(笑)(笑)
ですが、俺がやりたいことのためには、もっとお金が必要なのです。俺には経営経済の知識があります。チートが無い俺でも、この知識が使えれば、この技術の発達していない世界であれば、お金を沢山手に入れて、世の中をよくすることができるかもしれません。そう妄想したのです。
ある日、毎週、牛乳を配送してくる十代くらのお兄ちゃんと、世間話をすることがありました。
「それだけの量、大変だな」
「もう慣れたものですからそうでもないですよ」
「その牛乳、毎回全員分の家まで運んでるのか?」
「そうですよ」
「じゃあ、もっと簡単に売れる方法なら、俺知ってますよ」
「ほんとう?」
「ええ。パン屋がそこにあるでしょう? そこで売るんですよ」
「パン屋はパンを売るところであって、牛乳なんて売ってたら変だよ」
「いや。パンと牛乳は食事においてセットなところがあります。わざわざ家に戻るよりも、仕事をしに行くタイミングで買ったりと、実はその方が簡単に買えるから便利なんですよ」
「そうかな……。でも、そう言われるとそんな気も……」
ここで、みなさんは、牛乳とパンを一緒に売るなんて普通でしょ? 何が無双だよと馬鹿にして思うかもしれません。けれども、この1927年のセブン●レブンの元となる氷小売販売店が初めにしたのですよ。人間の歴史から見れば、一世代が丸々変わるつい最近のできごとでなのです。
つまり、中世、ルネサンス期にそんな発想が全くあるわけないので、この手法は必ず成功します。
ちなみにですが、現代のドラッグストアが、薬を売ってるのに、食べ物とかトイレットペーパーとかも売ってスーパーみたいになっているのはこの手法と同じことなのです。
「じゃあ、俺に売らせてもらえませんか? お金なら俺が払って買うので」
「うーん。まあ、じゃあ、買ってくれるなら良いよ?」
俺の目論見通りにパン屋の前で牛乳を売りますと、50個が一気に売れました。
運んだ50本が全部売れて、それでもまだ欲しいという人たちが現れたので、また仕入れます。
「凄いよ! どんどん売れてくよ!」
「ちょっと、この量は売れすぎだな。少し値段を上げて需要と供給の曲線をちゃんと適正にする必要があるな……」
そうして、値段を三割上げて、ようやく適正価格で売ることができました。
「君、商売の才能があるんだね!」
「そうでもないですよ。これは、ただの知識です。俺が知っているセブン●レブンというお店がありまして、それが、元は色々な物を売ったりとしてきたからで、そもそも、こういうのは雑貨屋という形態でもありまして、アメリカの開拓時代にはあらゆる物が必要だったので、どんな物でも売れば売れるし、近くて便利だと買ってくれるのです」
ちなみに、この知識。リアルで本当ですよ。
「へえー……」
感心した様子の牛乳配達のお兄ちゃんも、実は16歳なので、俺と意気があうことも多くありました。
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