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思い出話
しおりを挟む仕事を早めに切り上げた帰り道。
コンビニで煙草とライターを買った。
外で火をつける。
1口吸って、やっぱりむせた。禁煙成功してたのに。
初めて吸ったのは貰い煙草だった。憧れの先輩が喫煙者で、煙草を吸っている時間も惜しくて、私も吸うようになったんだっけ。
それが何となく習慣づいて、気付けば私も喫煙者になってた。
2口目でクラっときた。ああ、この感覚久しぶり。気持ちいい。
1番一緒に煙草を吸ったのは彼だったな。人生で1番ヘビースモーカーだった時期。歩いていて喫煙所を見つけると必ず寄って、新しいとこ見つけて喜んで。
すごく楽しかった。
3,4口目でクラクラしてきて、とうとう灰皿の隣にしゃがんだ。やっぱり3年ぶりの10mgはキツかったかな。
彼とは旅行も遠出もしなかったし、おしゃれなとこも行かなかった。行ったのはゲームセンター、居酒屋、ラーメン屋くらい。あと、ラブホテル。どこにも行かなかったし特別なことは何もしなかったけど、酔った状態で背の高い彼と歩いたネオン街は今年見たイルミネーションよりも綺麗だったし、わくわくした。彼に会うときはいつも酔っていて、心拍数が高くてドキドキしてて、本当にクラクラしてた。
すごく好きだった。
彼の1番にはなれなかったけど。
あ、もう終わっちゃう。短くなった煙草の火を消すのに少し手こずって、慌ててジュッと火を消した。自然と2本目に火をつけていた。
あと、もう一本だけ。
夜の冷たい空に煙が溶けていく。フゥーッと白い息を吐いた。そうだ。冬だから。全部寒いせいだよね。
残りの18本は鞄の中にしまおうか悩んで、ごみ箱に捨てた。
「ただいまー。」
「おかえり、ご馳走用意しておいたよ。あれ、煙草臭いよ」
「あ、そうなの。知り合いにあって思い出話してきたの。うわあ、すごい!ありがとう!結婚1周年、おめでとう。これからもよろしくね」
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