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7◆クリア視点
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その日俺は変な視線を感じた。
その視線は夜になると消えはしたけれど、翌日俺は学園長室まで呼び出しをくらった。
ルネとくるようにと言われて、とりあえず行くことにする。
学園長室では知らない男がソファーに座っていて、俺とルネはその男の対面になるソファーに座るように言われた。
そして、その男が誰なのか学園長から紹介を受ける。
その男は、魔王陛下の側近だった。
「吾輩はランス・アリアス。ルネ様を探しておりました」
「ルネを?」
「?」
ルネはきょとんとしており、学園長は何故か表情が青ざめている。
もしかしてルネは、すごい立場の子だったのかもしれない。
そのルネを召喚してしまった俺ってもしかして、不敬罪で首が飛ぶんだろうか?
ひぇっ!!
「実はこれは公表されていないことなのですが、ルネ様は魔王陛下のご子息なんです。突如行方不明になった息子を、魔王陛下はとても心配しています。王妃様も心配のあまり寝込んでます」
「パパとママ?」
「はい、ルネ様のパパとママです」
これは間違いない。
俺の命のカウントダウンが始まっている。
だって、魔王陛下に睨まれて生きていけるわけがない。
間違いなく処刑される。
………短い命だった。
俺が走馬灯のようなものを見ていると、ルネが困惑したようにランスに声をかけた。
「僕、パパがいたってこと以外何も思い出せないの。パパの顔も朧気で、あんまり思い出せないの。ママのことは何もわからない。そんな僕がパパとママの所に帰っても、パパとママを傷つけるだけなんじゃないかな………」
その瞳は悲しそうで、本当は会いたいだろうに両親を傷つけることを恐れて遠慮してしまっている。
そんなルネにランスは、優しい微笑みを向けた。
「たとえ記憶を忘れていても、魔王陛下にとっても王妃様にとってもルネ様は大切な息子でございます。心配されているお二人にどうかお会いください」
「………クリアお兄ちゃん、会ってもいい?」
「もちろんだよ。魔王陛下も王妃様もルネに早く会いたいはずだよ。会っておいで」
「!うん。クリアお兄ちゃん、ありがとう」
ルネは照れたように微笑んで、ランスに連れられて魔王城に行った。
俺は、この時はまたルネに会えると思っていたんだ。
その視線は夜になると消えはしたけれど、翌日俺は学園長室まで呼び出しをくらった。
ルネとくるようにと言われて、とりあえず行くことにする。
学園長室では知らない男がソファーに座っていて、俺とルネはその男の対面になるソファーに座るように言われた。
そして、その男が誰なのか学園長から紹介を受ける。
その男は、魔王陛下の側近だった。
「吾輩はランス・アリアス。ルネ様を探しておりました」
「ルネを?」
「?」
ルネはきょとんとしており、学園長は何故か表情が青ざめている。
もしかしてルネは、すごい立場の子だったのかもしれない。
そのルネを召喚してしまった俺ってもしかして、不敬罪で首が飛ぶんだろうか?
ひぇっ!!
「実はこれは公表されていないことなのですが、ルネ様は魔王陛下のご子息なんです。突如行方不明になった息子を、魔王陛下はとても心配しています。王妃様も心配のあまり寝込んでます」
「パパとママ?」
「はい、ルネ様のパパとママです」
これは間違いない。
俺の命のカウントダウンが始まっている。
だって、魔王陛下に睨まれて生きていけるわけがない。
間違いなく処刑される。
………短い命だった。
俺が走馬灯のようなものを見ていると、ルネが困惑したようにランスに声をかけた。
「僕、パパがいたってこと以外何も思い出せないの。パパの顔も朧気で、あんまり思い出せないの。ママのことは何もわからない。そんな僕がパパとママの所に帰っても、パパとママを傷つけるだけなんじゃないかな………」
その瞳は悲しそうで、本当は会いたいだろうに両親を傷つけることを恐れて遠慮してしまっている。
そんなルネにランスは、優しい微笑みを向けた。
「たとえ記憶を忘れていても、魔王陛下にとっても王妃様にとってもルネ様は大切な息子でございます。心配されているお二人にどうかお会いください」
「………クリアお兄ちゃん、会ってもいい?」
「もちろんだよ。魔王陛下も王妃様もルネに早く会いたいはずだよ。会っておいで」
「!うん。クリアお兄ちゃん、ありがとう」
ルネは照れたように微笑んで、ランスに連れられて魔王城に行った。
俺は、この時はまたルネに会えると思っていたんだ。
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