魔王の息子なのに勇者に誘拐されて監禁されてしまったショタ

勇者はショタコン

僕は魔王の息子のシトラ。

ちなみに三兄弟の末っ子で、今年で5歳である。

家族に愛され毎日平和に暮らしていたけれど、今は愛する家族と離ればなれになってしまった。

理由は、勇者サフランに誘拐されて監禁されてしまったからだ。

勇者が拉致監禁なんて許されるのかと思うけど、世の中バレなかったら罪には問えないのだ。

「むぅ……勇者はぎるてぃ………」

呂律が幼さ故に上手く回らないのがもどかしいね。

「ふふっ、シトラ君……はぁはぁ。辛辣なのも可愛いね」

「はぁはぁするな誘拐犯」

色男なイケメン勇者だけど、女も男もきっと選り取り見取りなんだろうけれど、誘拐犯である事実は覆らない。

圧倒的ギルティだ。

だが、5歳児にできることなんて特にない。



監禁生活何日目。

父が僕を助けに来きてくれた。

「俺の息子返せ！」

怒鳴る父の剣幕に、ちょっとビビる僕。

流石魔王なだけあると思った。

「シトラ君は私の嫁になるんだ！」

嫁になる気はない。

むしろ僕が嫁をもらう側なんだけど………。

複雑な気持ちで僕は2人の喧嘩を見守った。

父の攻撃で壁に穴が開いて、勇者の攻撃で扉が吹っ飛んだ。

2人が打ち合うと窓ガラスが飛び散り、家の中がどんどん荒らされていく。

勇者の家なのに、この惨状が勇者にはみえていないのだろうか？

ちなみに、僕は2人が張った結界により無傷だったりする。

「おのれ勇者！ショタコンが！イエスショタノータッチという言葉を知らないのか！？」

「私は純粋に○○ピーを○○ピーして○○ピーしたいだけだ！」

「このど変態がぁーーーっ！！」

僕には勇者が何を言っていたのかわからない。

だけど父の怒りが限界突破して、建物が吹き飛んでしまった。

余程のことを言っていたのだろうね。

もはや更地になってしまった元勇者宅で、父の最強火力の拳が勇者の顔面を凹ませる。

「ぐほーーーっ！！」

倒れてピクとも動かなくなった勇者。

………死んだかもしれないけど、変態は死なないってよく聞くからたぶん勇者は生きている。



「シトラ、怖い思いをしたな。よしよし」

僕は父に抱っこされて帰宅する。

そして、また家族に愛されて毎日を過ごす。

変わったことと言えば、しょっちゅう勇者が僕に求婚しにくるようになったことかな？

だけど、家族に全力で妨害されて追い返されている。

「せめてシトラが大人になるまで待て！」

「ショタじゃないと味わえない栄養素があるんだよ！シトラ君ーーーっ！♡」



醜い争いをBGMにして、僕は優雅に3時のオヤツをもしゃもしゃと食べてスクスクと育つのだ。