メンタルつよつよな僕が婚約者から最初に貰った物は立派な鞭でした

7◆仮説

ミリアナについてだが、ライラックは気になる発言をある日聞いてしまった。

珍しくライラックがギルバートと別行動をしていたのだが、ミリアナの独り言を聞いてしまったのだ。

「もう！なんでよ！？前はあんなに上手くいったのに、力が発動しない！バグなのかしら？」

隠れていたライラックは、意味はわからなくても引っかかりはした。

前は上手くとは、まさかあの夢の世界だろうか？

違うことかもしれないし考えすぎかもしれないが、警戒はするべきだろう。



仮説として、もしもあの夢が実際にあった世界なのだとしたら。

あの世界のライラックは何者かと取引をして、世界が巻き戻ったと考えることができるかもしれない。

だが、そんな取引をするのは古来より人ならざる存在だ。

そして、そういった存在は必ず重い代償を望む。

あくまで仮説だが、もしもあのライラックが取引をしたなら……何を差し出したのか？

………そして、もう一つの仮説。

ミリアナの気になる発言から考えられる仮説だが、ミリアナもあの世界の夢をみているのではないだろうか？

もしくは、記憶として経験しているのではないか？

まるで経験したような物言いがライラックは気になるのだ。

そして、何らかの理由でミリアナの何かが無力化されているのだとしたら、それは何故？

………全ては根拠のない仮説。

頭の片隅にその仮説をしまい、夢の二の舞い回避にライラックは思いを馳せる。