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赤道直下のドタバタ
エレガントな午後のエレガントな口説き?
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ヤミと早朝の会議を終えたミラグロスは午前中で業務を切り上げ午後にはアーカイブ・ライブラリーへと足を運んだ。
例の猫の伝説についてうろ覚えな部分を資料を確認してはっきりさせるためである。
やはりヒカリは帰ってこなかったが、この事実は組織には伏せミラグロスとモデスタとヤミが極秘調査をすることになっていた。
モデスタとヤミは別行動で外の調査だ。
最初は猫=ヒカリ説に半信半疑だったミラグロスも、七信三疑ぐらいの気持ちに傾いてきていた。
猫伝説に関する資料を検索しながらもミラグロスの気分は浮き足立った感じ。
「猫という生き物は存外可愛らしいものだな。あー、もしもあの猫がヒカリだとしたら、こうモフモフしたい……!」
自分らしくもない緊張感を欠いた姿をもう一人の自分が見つけてしまったようで、ミラグロスは自分の頬を自分で軽くはたいた。
「いかん!いかん!いかん!いかん!私は頼もしいサイバーパトロールだぞ。生まれる時代がちがっていたら孤高な騎士だろう。あー、それにしてもあのヒカリがあの猫だったら、それはニャンとも言えニャイ、にゃんごとなきことかな……」
モデスタからミラグロスに連絡が入った。
「ナンパ師風の見たこともない男がこの間のねずみ事件のことをかぎまわっているようです」
同時刻、ヤミは猫とガマズミを連れて軽く散歩に出た。
なにかヒントでも見つかればいいけど。
「お姉ちゃんを元に戻してくれる運命の人は誰なんでしょうね」
「ニャー」
ガマズミのゆっくりしたペースに合わせてヤミもゆっくり歩く。猫もゆっくり歩く。
ゆっくり歩いていたら不意に声をかけられた。
「ナンパ?ある国ではナンパは死刑ですよ」
「ナンパで死刑?そんなわけないでしょ。パリではナンパは禁止になったけど死刑は廃止してなかった?そもそもナンパってそんな重い罪?いや、そもそもナンパじゃないんだけど……」
「失礼。死刑なんて野蛮な刑が存続するのは今やジャポンだけでしたわね」
細身ですらっと背が高く、立ち姿だけはやけに真っ直ぐな、でも(ヤミの主観では)チャラそうな男がヤミに声をかけたのだった。
「いやこれは失礼。我が輩の名はジャック。ジャック・オー・ランタンでござる。つい先日のことであるが貴女によく似た女性とひょんなことから知り合ったもので、つい声をかけてしまったのだ……」
ヤミは、昔の映画に端役で出ているような男が好き、逆に言うとそうじゃないのは嫌い。
好例が目の前の(ヤミの主観では)チャラそうな男性である。
ヤミは疑いの眼差しを向ける。
「私が知り合いに似てた?そういうナンパ手法ってありますよね?女性を口説くにしてももっとエレガントじゃなきゃ」
「エレガント?これでも品位と礼節は欠かさないようにしているつもりですがダメですか?ってそもそもナンパじゃないんですよ。詳しくは言えませんがある事件を追ってまして……」
どうやら本当に下心がなさそう、ヤミの警戒がとけそうになったときだった。
「ニャ、ニャー!」
猫がジャックと名乗る男の懐に弧を描くようにいきなりダイブしていった。
「うわー!びっくりした!」
「ミー、トゥー。私もびっくり。猫ちゃん急にどうしたのさ」
例の猫の伝説についてうろ覚えな部分を資料を確認してはっきりさせるためである。
やはりヒカリは帰ってこなかったが、この事実は組織には伏せミラグロスとモデスタとヤミが極秘調査をすることになっていた。
モデスタとヤミは別行動で外の調査だ。
最初は猫=ヒカリ説に半信半疑だったミラグロスも、七信三疑ぐらいの気持ちに傾いてきていた。
猫伝説に関する資料を検索しながらもミラグロスの気分は浮き足立った感じ。
「猫という生き物は存外可愛らしいものだな。あー、もしもあの猫がヒカリだとしたら、こうモフモフしたい……!」
自分らしくもない緊張感を欠いた姿をもう一人の自分が見つけてしまったようで、ミラグロスは自分の頬を自分で軽くはたいた。
「いかん!いかん!いかん!いかん!私は頼もしいサイバーパトロールだぞ。生まれる時代がちがっていたら孤高な騎士だろう。あー、それにしてもあのヒカリがあの猫だったら、それはニャンとも言えニャイ、にゃんごとなきことかな……」
モデスタからミラグロスに連絡が入った。
「ナンパ師風の見たこともない男がこの間のねずみ事件のことをかぎまわっているようです」
同時刻、ヤミは猫とガマズミを連れて軽く散歩に出た。
なにかヒントでも見つかればいいけど。
「お姉ちゃんを元に戻してくれる運命の人は誰なんでしょうね」
「ニャー」
ガマズミのゆっくりしたペースに合わせてヤミもゆっくり歩く。猫もゆっくり歩く。
ゆっくり歩いていたら不意に声をかけられた。
「ナンパ?ある国ではナンパは死刑ですよ」
「ナンパで死刑?そんなわけないでしょ。パリではナンパは禁止になったけど死刑は廃止してなかった?そもそもナンパってそんな重い罪?いや、そもそもナンパじゃないんだけど……」
「失礼。死刑なんて野蛮な刑が存続するのは今やジャポンだけでしたわね」
細身ですらっと背が高く、立ち姿だけはやけに真っ直ぐな、でも(ヤミの主観では)チャラそうな男がヤミに声をかけたのだった。
「いやこれは失礼。我が輩の名はジャック。ジャック・オー・ランタンでござる。つい先日のことであるが貴女によく似た女性とひょんなことから知り合ったもので、つい声をかけてしまったのだ……」
ヤミは、昔の映画に端役で出ているような男が好き、逆に言うとそうじゃないのは嫌い。
好例が目の前の(ヤミの主観では)チャラそうな男性である。
ヤミは疑いの眼差しを向ける。
「私が知り合いに似てた?そういうナンパ手法ってありますよね?女性を口説くにしてももっとエレガントじゃなきゃ」
「エレガント?これでも品位と礼節は欠かさないようにしているつもりですがダメですか?ってそもそもナンパじゃないんですよ。詳しくは言えませんがある事件を追ってまして……」
どうやら本当に下心がなさそう、ヤミの警戒がとけそうになったときだった。
「ニャ、ニャー!」
猫がジャックと名乗る男の懐に弧を描くようにいきなりダイブしていった。
「うわー!びっくりした!」
「ミー、トゥー。私もびっくり。猫ちゃん急にどうしたのさ」
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