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恋の分断現象

時空の歪み

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「ちょっと友達と呑みに来てたんだけどー」 
「そっか」
「そっか、じゃないでしょ。相変わらず素っ気ないんだから」
 マールの少しハスキーな声は大きく店中に響き渡るようだった。
 ちなみにマールは既婚だ。
 突然、マールはマサキのもとを去り間もなくほかの男と結婚した。
 なぜマールは去ったのか。マサキには納得できなかった。
「ちょ、お前さ、なんで突然いなくなったりしたの?」
「なんでいなくなった?時空の歪み的な?そんで私だけタイムスリップして未来へ、みたいな?」
 マサキの"マジレス"はマールにのらりくらりとスルーされた。
「時空の歪みに吸い込まれてタイムスリップとかゲームじゃないんだからさ、酔ってるの?」
「酔ってないよ、まだ酢の物しか食べてない」
 マールはまたしてもおどけてみせた。見知らぬ誰かが立ち話する二人を邪魔臭そうに避けてトイレにはいった。
「ほら、酢の物にはアルコール入ってんだよ。酔ってんだよ」
「入ってるわけないじゃん!酢の物だよ。お酢はアルコールではありません!」
 ハイボールとマールの態度がマサキの脳を幻惑しているのか。マサキは自分でも発言が不明瞭になりつつあるのを自覚した。
「あ、電話だわー」
 マールのケイタイが鳴った。マールはそのまま店を出てどこかに行ってしまった。

 マサキが席に戻ると、こちらはこちらで雰囲気がかたくなっていた。神妙そうにうつむくトキヤ。せっかく運ばれてきた焼き鳥や刺し身もほとんど手付かずで残っている。
「マサキ、悪いな。トキヤが勇気を出して俺に相談してくれたことがあるんだ。どうしても二人きりで話したいんだわ」 
 ヒロシ先輩は壱万円札を財布から取りだしマサキに渡した。
「マサキ、さっきちらっと見たけど、あれ前の彼女か?メールでもくれたらお前の話も聞くで」
 たまにヒロシ先輩がえせ関西弁をつかうのは照れ隠しだ。
「マサキさん。今日はあんまし話せなかったけど、またよろしくお願いいたします。今夜は先輩をお借りします」
 トキヤの仕種に"女の子"を感じた気がした。そして先輩はトキヤを連れて店を出ていった。
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