上 下
209 / 283
第四章 世界中が敵

第206話 全滅!?

しおりを挟む
(【スキルスナッチ】!)


分裂体を消滅させたS級魔族へ向かってノーモーションで【スキルスナッチ】を放つロック。


しかし…!


スキルを奪うことは叶わなかった。

明らかに避ける動作をした後、ロックが気付いた時には目の前にまで迫っていた。


「くっ…!」


斧による強力な一撃がロックを襲う。

【深淵の闇】によりダメージは受けないが、一撃でものすごい量のダメージが蓄積する。

しかも、[武技]ではない、通常の攻撃だ。

ティナやミラの援護があるため、ロックを相手にしながら[武技]を使うのは簡単ではないらしい。

しかし、持ってあと2~3発か…?


次の攻撃が来る瞬間に再び【スキルスナッチ】を発動する。

だが、やはり距離をとって避けられた。


魔族やボスモンスターたちにはロックの【スキルスナッチ】の脅威が伝えられていた。

ノーモーションとはいえ、発動するには集中が必要となる。

ある程度以上の実力者なら1対1で向き合っていれば、気付くことは難しくない。

ただ、【バーサーカー】を使った状態でそこまで判断ができるのはこのS級魔族の他にはいないだろう。


3度目の斧による攻撃を喰らう。

[武技]ではないため耐えられているが、それでもあと一撃といったところ。

一か八か、闇玉をカウンターで放つ。


その闇玉を当然のように避けるS級魔族。

闇玉を放つことで大きな隙ができたロック。

[武技]による一撃を急所にもらってしまった。

ティナとミラの援護があるが、その後も続けて2発の攻撃を受ける。


闇玉を放ったことで、ダメージ量はリセットされているが、闇玉を使うことによるデメリットは思った以上に大きいようだ。

またすぐにでも闇玉を放ってダメージをリセットしなければ、もう持たない。

再び闇玉を放とうとするロック。


その隙を見逃してくれる相手であればこれほど苦戦していないだろう。

ロックのダメージ許容量を超えるであろう一撃を繰り出してくるS級魔族。


……その一撃は振り抜かれることはなかった。


「ロック、大丈夫か!?」

ロックの限界を察知したファルクの[武技]により、ロックはS級魔族の斧をもらわずに済んだ。

「ありがとうございま…」


お礼を伝える間もなく、S級魔族が再度攻撃を仕掛けてくる。

ロックを守るようにファルクが立ちはだかる。


「オラっ!」


ファルクが槍で薙ぎ払うように迎撃するが、S級魔族はその槍を軽々と弾き、ファルクに襲いかかる。

ロックが闇玉で狙うが、やはり当たらない。


「ぐほっ…。」

S級魔族は闇玉を躱しながらファルクを蹴り飛ばす。

ティナとミラの援護をいなしながら、S級魔族がロックに迫る。

ロックも応戦するが、一方的に攻撃を受ける。

ダメージがどんどん蓄積していく。

あと一撃で許容量を超える、そのタイミングでファルクが復帰した。

回復し、シールドを掛け直したのだが、一撃でシールドが破壊され、HPも大きく削られた。


「【豪龍化】!」

フォースドラゴンに変身することでHPを倍に増やし、ロックの壁となるファルク。

それでも一撃分の時間しか稼げない。

一撃もらい瀕死になったファルクを、今度はロックが庇おうとする。

S級魔族の斧は無慈悲に振り下ろされる。


ドゴッ…!


振り下ろされた斧が命中したのはロックでもファルクでもなかった。


ティナとミラだった。

2人がかりで命を刈り取るべく振われた斧を止めた。

2人のシールドは破壊され、さらにダメージを受けている。


S級魔族は範囲攻撃の[武技]を放つための予備動作に入った。

止められるものはもう誰もいない。

斧が振り切られた後には硬直したロックと3人の死体が残ることになる。


4人はそれぞれが身を挺して仲間を救うために身体を動かす。

止められないなら、せめて仲間を救うために1人で受け止めようと。


その時、…異変が起きた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

魔力即時回復スキルでダンジョン攻略無双 〜規格外のスキルで爆速レベルアップ→超一流探索者も引くほど最強に〜

Josse.T
ファンタジー
悲運な貯金の溶かし方をした主人公・古谷浩二が100万円を溶かした代わりに手に入れたのは、ダンジョン内で魔力が無制限に即時回復するスキルだった。 せっかくなので、浩二はそれまで敬遠していたダンジョン探索で一攫千金を狙うことに。 その過程で浩二は、規格外のスキルで、世界トップレベルと言われていた探索者たちの度肝を抜くほど強くなっていく。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

無能を装って廃嫡された最強賢者は新生活を満喫したい!

えながゆうき
ファンタジー
 五歳のときに妖精と出会った少年は、彼女から自分の置かれている立場が危ういことを告げられた。  このままではお母様と同じように殺されてしまう。  自分の行く末に絶望した少年に、妖精は一つの策を授けた。それは少年が持っている「子爵家の嫡男」という立場を捨てること。  その日から、少年はひそかに妖精から魔法を教えてもらいながら無能者を演じ続けた。  それから十年後、予定通りに廃嫡された少年は自分の夢に向かって歩き出す。  膨大な魔力を内包する少年は、妖精に教えてもらった、古い時代の魔法を武器に冒険者として生計を立てることにした。  だがしかし、魔法の知識はあっても、一般常識については乏しい二人。やや常識外れな魔法を使いながらも、周囲の人たちの支えによって名を上げていく。  そして彼らは「かつてこの世界で起こった危機」について知ることになる。それが少年の夢につながっているとは知らずに……。

処理中です...