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第四章 世界中が敵
第168話 大臣と将軍と、皇帝。
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2022/02/23
リベリウスという名前を重複させてしまったので、『フィデルア』に置き換えました…。
-------------------------------------------------
「ここにいる男に会いに行け。」
「…一体誰ですか?」
「情報が漏れるかもしれんから、これ以上は行って確かめるんじゃ。」
「…わかりました。
ありがとうございます!」
「気をつけてな…。
あのジジイにもよろしく伝えてくれ。」
「はい…。
では、失礼します。」
ロックは深くお辞儀をして、部屋をでた。
「…いろんなことが起こりすぎて、目眩がするわい。」
「…お察しします。」
「ひとまず、この男の処分をしてもらおうかの。」
「では…。」
「うむ。
皇帝のところに行こう。」
将軍を連れて、大臣とオーガンは皇帝の間へと向かった。
「失礼いたします。」
「…おお、ジョセか。
どうした?」
「以前から申しておりました不正に関する件等で、ご報告したいことがありまして。」
「ほう。
申してみよ。」
「はっ。
オーガン。」
拘束したガウス将軍を引き連れたオーガンが入ってくるのを見て、皇帝が目をしかめる。
「ジョセ。
これはどういうことだ。」
「ご覧の通り、ガウス将軍が一連の不正を働いておりました。
私の【真実の眼】で証拠をお示しいたします。」
そして、大臣は一連の不正やスキル持ちの処分の件を質問し、将軍の罪を明らかにした。
「なんと…。
まさかガウスがこのようなことをしていたとは…。
気付かずに全権を任せてしまっていた…。
このままでは国内の信頼だけでなく、他国との関係にも影響を与えていただろう。
ジョセ、この度の働き、感謝する。」
「いえ、臣として当たり前のことです。」
「だがジョセよ。
お主の魔力では、ガウスに【真実の眼】は使えなかったのではないか?」
「…それについてもお話ししたいことが…。」
ジョセ大臣は、指名手配中のロックが侵入してきたこと、【真実の眼】で冤罪だと確認したこと、将軍のスキルを奪い、そのスキルを与えられたことで将軍の魔力を上回ったことを説明した。
「…侵入者を逃したと?」
皇帝の雰囲気が変わった。
「…申し訳ございません。」
「…まあそやつのおかげで、ガウスの悪事を暴けた、ということだな。」
「おっしゃる通りで。」
「追跡ができなくなったと聞いているが、奴らはどこにいるんだ?」
「それは聞いておりません。」
「…なぜ聞かんかった?」
「身の潔白をこちらが証明してやれない以上、彼らの立場としては居場所は言えないでしょう。」
「……。」
「ところで、彼の話によると、なんと魔王城へ行き、魔王と戦ったらしいです。」
「…なに?
それは本当か?」
「はい。
そこで得た情報では、魔王を倒しても魔族が消滅するだけでモンスターは消滅しないそうです。」
「…魔王側がそんな情報を漏らすことがあり得るか?」
「それは考えにくいですが、少なくとも彼は嘘はついておりませんでした。
さらに、魔王を従える存在がおり、魔王よりも圧倒的な強さだったと…。」
「…それも嘘はついていなかった、と…。」
「…はい。」
「それが本当なら、由々しき事態だな。
まずはガウスの処罰、そしてギルドをどうにかせねば…。」
「相手がフィデルアとなれば、中立の機関であるギルド自体を敵に回しかねません。
対策を立てなければなりませぬ。」
「そうだな。
厄介なことになった。
しかし、このまま真相が明らかにならなければ、より深刻な状況になるところであった。
ジョセよ、改めて感謝する。」
「滅相もございません。」
「いや、本当に助かった。
衛兵!
ガウスを厳重に監視の上、牢獄に捉えておけ!
スキルがないならA級数人いればよいだろう。」
「「はっ!」」
ガウス将軍は皇帝の間にいた衛兵とオーガンに連行されていった。
皇帝とジョセ大臣はしばらく今後の対応について話し合い、それからジョセは皇帝に挨拶をして部屋を出た。
そして、自室に戻ったジョセは椅子に腰掛け、大きく息を吐いた。
「ふう…。
いっぺんに色んなことが起こりすぎじゃわい…。
どうしたもんか…。」
思案にふけっていると、部屋の外から争うような声が聞こえてきた。
「次はなんじゃ…。」
やれやれといった感じで椅子から立ち上がった時、部屋の扉が勢いよく開いた。
「お主は!
なぜ!?」
そこには、連行されたはずの将軍が立っていた。
その手に血に濡れた剣を握って。
「…!
衛兵!
オーガン!!」
助けを呼ぶ大臣。
スキルがないとはいえ、ステータスには大きな差がある両者。
しかも、ジョセには戦闘に有利なスキルが少ない。
ガウス将軍は言葉を発さず、ジョセとの距離を詰める。
【中級特殊魔法】のシールドを展開するジョセ。
遠くからオーガンの声が聞こえる。
こっちに向かっているようだ。
しかし、ジョセを助けるにはあまりに距離がありすぎた。
ズシュッ
「ガウス、貴…さま…!」
シールドはガウスの攻撃に数秒しか耐えられず、壊れた。
ガウスの持っていた剣が、身を守る術を失ったジョセを貫いた。
そして、ダメ押しとばかりに、抜いた剣で斬り裂いた。
「大臣!」
遅れてオーガンたちがやってきた。
ガシャーン!
ガウスは窓を突き破り城外へと逃亡した。
「クソッ!
追えーー!!
…大臣!
ジョセ大臣!!
回復できるやつをよべー!!」
しかし、すでに大臣は息を引き取っていた。
しばらくして、ガウス将軍が世界中に大臣殺害犯として指名手配された。
連行の際にガウスを手助けをした衛兵がおり、その衛兵も指名手配となった。
同時に、ガウスの行ってきた不正が明らかとなり、バルキア帝国は混乱状態に。
だが、皇帝の手腕によりその混乱はすぐ収まり、改めて皇帝に対する支持が上がったのであった。
リベリウスという名前を重複させてしまったので、『フィデルア』に置き換えました…。
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「ここにいる男に会いに行け。」
「…一体誰ですか?」
「情報が漏れるかもしれんから、これ以上は行って確かめるんじゃ。」
「…わかりました。
ありがとうございます!」
「気をつけてな…。
あのジジイにもよろしく伝えてくれ。」
「はい…。
では、失礼します。」
ロックは深くお辞儀をして、部屋をでた。
「…いろんなことが起こりすぎて、目眩がするわい。」
「…お察しします。」
「ひとまず、この男の処分をしてもらおうかの。」
「では…。」
「うむ。
皇帝のところに行こう。」
将軍を連れて、大臣とオーガンは皇帝の間へと向かった。
「失礼いたします。」
「…おお、ジョセか。
どうした?」
「以前から申しておりました不正に関する件等で、ご報告したいことがありまして。」
「ほう。
申してみよ。」
「はっ。
オーガン。」
拘束したガウス将軍を引き連れたオーガンが入ってくるのを見て、皇帝が目をしかめる。
「ジョセ。
これはどういうことだ。」
「ご覧の通り、ガウス将軍が一連の不正を働いておりました。
私の【真実の眼】で証拠をお示しいたします。」
そして、大臣は一連の不正やスキル持ちの処分の件を質問し、将軍の罪を明らかにした。
「なんと…。
まさかガウスがこのようなことをしていたとは…。
気付かずに全権を任せてしまっていた…。
このままでは国内の信頼だけでなく、他国との関係にも影響を与えていただろう。
ジョセ、この度の働き、感謝する。」
「いえ、臣として当たり前のことです。」
「だがジョセよ。
お主の魔力では、ガウスに【真実の眼】は使えなかったのではないか?」
「…それについてもお話ししたいことが…。」
ジョセ大臣は、指名手配中のロックが侵入してきたこと、【真実の眼】で冤罪だと確認したこと、将軍のスキルを奪い、そのスキルを与えられたことで将軍の魔力を上回ったことを説明した。
「…侵入者を逃したと?」
皇帝の雰囲気が変わった。
「…申し訳ございません。」
「…まあそやつのおかげで、ガウスの悪事を暴けた、ということだな。」
「おっしゃる通りで。」
「追跡ができなくなったと聞いているが、奴らはどこにいるんだ?」
「それは聞いておりません。」
「…なぜ聞かんかった?」
「身の潔白をこちらが証明してやれない以上、彼らの立場としては居場所は言えないでしょう。」
「……。」
「ところで、彼の話によると、なんと魔王城へ行き、魔王と戦ったらしいです。」
「…なに?
それは本当か?」
「はい。
そこで得た情報では、魔王を倒しても魔族が消滅するだけでモンスターは消滅しないそうです。」
「…魔王側がそんな情報を漏らすことがあり得るか?」
「それは考えにくいですが、少なくとも彼は嘘はついておりませんでした。
さらに、魔王を従える存在がおり、魔王よりも圧倒的な強さだったと…。」
「…それも嘘はついていなかった、と…。」
「…はい。」
「それが本当なら、由々しき事態だな。
まずはガウスの処罰、そしてギルドをどうにかせねば…。」
「相手がフィデルアとなれば、中立の機関であるギルド自体を敵に回しかねません。
対策を立てなければなりませぬ。」
「そうだな。
厄介なことになった。
しかし、このまま真相が明らかにならなければ、より深刻な状況になるところであった。
ジョセよ、改めて感謝する。」
「滅相もございません。」
「いや、本当に助かった。
衛兵!
ガウスを厳重に監視の上、牢獄に捉えておけ!
スキルがないならA級数人いればよいだろう。」
「「はっ!」」
ガウス将軍は皇帝の間にいた衛兵とオーガンに連行されていった。
皇帝とジョセ大臣はしばらく今後の対応について話し合い、それからジョセは皇帝に挨拶をして部屋を出た。
そして、自室に戻ったジョセは椅子に腰掛け、大きく息を吐いた。
「ふう…。
いっぺんに色んなことが起こりすぎじゃわい…。
どうしたもんか…。」
思案にふけっていると、部屋の外から争うような声が聞こえてきた。
「次はなんじゃ…。」
やれやれといった感じで椅子から立ち上がった時、部屋の扉が勢いよく開いた。
「お主は!
なぜ!?」
そこには、連行されたはずの将軍が立っていた。
その手に血に濡れた剣を握って。
「…!
衛兵!
オーガン!!」
助けを呼ぶ大臣。
スキルがないとはいえ、ステータスには大きな差がある両者。
しかも、ジョセには戦闘に有利なスキルが少ない。
ガウス将軍は言葉を発さず、ジョセとの距離を詰める。
【中級特殊魔法】のシールドを展開するジョセ。
遠くからオーガンの声が聞こえる。
こっちに向かっているようだ。
しかし、ジョセを助けるにはあまりに距離がありすぎた。
ズシュッ
「ガウス、貴…さま…!」
シールドはガウスの攻撃に数秒しか耐えられず、壊れた。
ガウスの持っていた剣が、身を守る術を失ったジョセを貫いた。
そして、ダメ押しとばかりに、抜いた剣で斬り裂いた。
「大臣!」
遅れてオーガンたちがやってきた。
ガシャーン!
ガウスは窓を突き破り城外へと逃亡した。
「クソッ!
追えーー!!
…大臣!
ジョセ大臣!!
回復できるやつをよべー!!」
しかし、すでに大臣は息を引き取っていた。
しばらくして、ガウス将軍が世界中に大臣殺害犯として指名手配された。
連行の際にガウスを手助けをした衛兵がおり、その衛兵も指名手配となった。
同時に、ガウスの行ってきた不正が明らかとなり、バルキア帝国は混乱状態に。
だが、皇帝の手腕によりその混乱はすぐ収まり、改めて皇帝に対する支持が上がったのであった。
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