162 / 283
第四章 世界中が敵
第159話 来訪者
しおりを挟む
4人は孤児院に戻ることもできず、人気のない場所で野営をすることとなった。
「一体なんなの!?」
ミラが憤っている。
「ミラ、落ち着いて?」
「状況を整理しよう。
僕たちには、僕の育ての親だった2人、看守、イーザさん、リッチェルさんの殺人容疑がかかっている。
もちろんそんなことはしていない。
それなのに、ブレスレットの色が「ブラック」になってしまっている。」
「意味わかんねえな。
それに、なんでイーザとリッチェルのことをバルキアの連中が知ってるんだ?
そんなに早い伝達方法があるなんて聞いたことねえぞ?」
「いつもはどんな伝達方法なんですか?」
「伝書鳩だな。
速い飛行速度の大型の鳩なんだが、それでも俺の5分の1くらいのスピードだ。」
「冒険者の情報なんかも全部その伝書鳩が伝えるんですか?
すごい情報量になりそうですけど…。」
「俺も詳しくは知らねえけど、冒険者の個人情報はまた別の方法を使ってるらしいな。」
「その別の方法でイーザさん、リッチェルさんのことを知ったのかな?」
「…わからねえな。
それに、俺らがギルドに来るのをわかってたみたいだった。
冒険者たちだけじゃなく、将軍までいたからな。」
「となると…、私たちが着く前から情報は伝わっていたということね。」
「ロック、育ての親が殺されちまったって…、その…、大丈夫なのか?」
ファルクがロックを気遣う。
「…なんともないわけじゃありませんが、実は、その育ての親に僕は一度殺されかけてるんです。
その罪で牢獄に入っていたので、冷たい様ですけど、…大丈夫です。」
「…お前も苦労してんだな…。」
「それよりも、この状況をどうするかです。
当然冤罪なわけですが、誰が僕たちを陥れたのか。」
「リーザさんとリッチェルさんのことを知ってるのは、アルカトルで話をした3人、そしてギルドマスターが情報を伝えたであろう人たちね。」
「だが、アルカトルからバルキアに情報を伝えるだけの時間はないはずだ。」
「ファルクさんの知らない伝達方法があるとか?」
「…まあ、そういうことになるよな。
実際にバルキアの連中が知ってたんだから。」
「じゃあ、アルカトルで魔王城での話を知った人の誰かが関わっているということね。」
「いや、まだ他にもいる。」
「ロック、それは誰?」
「魔王と、あの黒いローブの男だ。」
3人の顔が引き攣る。
「…バルキアと繋がってると…?」
「可能性はあると思う。
少なくとも、アルカトルのギルドマスターやアメリアさん、セアラさんは違う。」
「…まあな。
俺もずっと一緒に戦ってきたが、ロックたちのしてくれたことは俺たちにとって本当にありがたいことだ。
陥れるメリットがねえ。」
「…でも、ギルドマスターはロックの秘密が世界を混乱させることをかなり危惧してたわね。」
「確かにな…。
だが、その脅威を敵に回すようなことをするとは思えん。」
「魔王を倒しちゃダメだって言ってるのに、倒しに行ったからかな!?」
「それもあり得るね。
その話を広めたのはバルキアの皇帝とギルドマスターだったよね。
魔王を倒そうとしている僕たちを止めようとしている…?」
「その時はギルマスにはなってなかったがな。」
「そのために、わざわざ看守とロックの育ての親を殺したのかしら…?」
「それに、なんでブレスレットの色が黒くなってるのぉ…?」
「「「「う~ん……。」」」」
どれだけ考えても、頭がこんがらがるばかり。
「一旦整理しよう!
僕たちが狙われてる理由で思い当たるのは、
・世界を混乱させるスキル
・魔王を倒そうとしている
の2つ。
世界を混乱させるスキルで困るのは、
・各国の偉い人?
魔王を倒そうとして困るのは、
・魔王と黒いローブの男
・皇帝とギルドマスター?」
「とりあえず、バルキアの将軍やギルドに追われてる時点で、世界中が敵に回るな…。」
「人間に危害を加えるわけにもいかないし…。」
「あ!
誰かがこっちにやってくる!」
ミラが【気配察知】で何者かの接近を感知した。
「何人!?」
「…1人!
すんごい速いよ!」
「どうする、ロック?
逃げるか?」
「ミラ、どのくらいの強さ!?」
「A級だと思う!」
「僕らを捕まえるつもりなら、1人じゃ来ないはず。
警戒を怠らないで、話をしてみましょう。」
「いつでも飛べるように、変身はしとくぞ。
…ていうかなんでここがわかるんだ。
【気配察知】で探知できるような距離じゃないはずだ。」
そう言いながら、ファルクはフォースドラゴンへと変身した。
それから大した時間もかからず、その「誰か」はやってきた。
「…こんばんは。」
正気をあまり感じられないクマのできた目、やつれた身体の、存在感の薄い男がやってきた。
「一体なんなの!?」
ミラが憤っている。
「ミラ、落ち着いて?」
「状況を整理しよう。
僕たちには、僕の育ての親だった2人、看守、イーザさん、リッチェルさんの殺人容疑がかかっている。
もちろんそんなことはしていない。
それなのに、ブレスレットの色が「ブラック」になってしまっている。」
「意味わかんねえな。
それに、なんでイーザとリッチェルのことをバルキアの連中が知ってるんだ?
そんなに早い伝達方法があるなんて聞いたことねえぞ?」
「いつもはどんな伝達方法なんですか?」
「伝書鳩だな。
速い飛行速度の大型の鳩なんだが、それでも俺の5分の1くらいのスピードだ。」
「冒険者の情報なんかも全部その伝書鳩が伝えるんですか?
すごい情報量になりそうですけど…。」
「俺も詳しくは知らねえけど、冒険者の個人情報はまた別の方法を使ってるらしいな。」
「その別の方法でイーザさん、リッチェルさんのことを知ったのかな?」
「…わからねえな。
それに、俺らがギルドに来るのをわかってたみたいだった。
冒険者たちだけじゃなく、将軍までいたからな。」
「となると…、私たちが着く前から情報は伝わっていたということね。」
「ロック、育ての親が殺されちまったって…、その…、大丈夫なのか?」
ファルクがロックを気遣う。
「…なんともないわけじゃありませんが、実は、その育ての親に僕は一度殺されかけてるんです。
その罪で牢獄に入っていたので、冷たい様ですけど、…大丈夫です。」
「…お前も苦労してんだな…。」
「それよりも、この状況をどうするかです。
当然冤罪なわけですが、誰が僕たちを陥れたのか。」
「リーザさんとリッチェルさんのことを知ってるのは、アルカトルで話をした3人、そしてギルドマスターが情報を伝えたであろう人たちね。」
「だが、アルカトルからバルキアに情報を伝えるだけの時間はないはずだ。」
「ファルクさんの知らない伝達方法があるとか?」
「…まあ、そういうことになるよな。
実際にバルキアの連中が知ってたんだから。」
「じゃあ、アルカトルで魔王城での話を知った人の誰かが関わっているということね。」
「いや、まだ他にもいる。」
「ロック、それは誰?」
「魔王と、あの黒いローブの男だ。」
3人の顔が引き攣る。
「…バルキアと繋がってると…?」
「可能性はあると思う。
少なくとも、アルカトルのギルドマスターやアメリアさん、セアラさんは違う。」
「…まあな。
俺もずっと一緒に戦ってきたが、ロックたちのしてくれたことは俺たちにとって本当にありがたいことだ。
陥れるメリットがねえ。」
「…でも、ギルドマスターはロックの秘密が世界を混乱させることをかなり危惧してたわね。」
「確かにな…。
だが、その脅威を敵に回すようなことをするとは思えん。」
「魔王を倒しちゃダメだって言ってるのに、倒しに行ったからかな!?」
「それもあり得るね。
その話を広めたのはバルキアの皇帝とギルドマスターだったよね。
魔王を倒そうとしている僕たちを止めようとしている…?」
「その時はギルマスにはなってなかったがな。」
「そのために、わざわざ看守とロックの育ての親を殺したのかしら…?」
「それに、なんでブレスレットの色が黒くなってるのぉ…?」
「「「「う~ん……。」」」」
どれだけ考えても、頭がこんがらがるばかり。
「一旦整理しよう!
僕たちが狙われてる理由で思い当たるのは、
・世界を混乱させるスキル
・魔王を倒そうとしている
の2つ。
世界を混乱させるスキルで困るのは、
・各国の偉い人?
魔王を倒そうとして困るのは、
・魔王と黒いローブの男
・皇帝とギルドマスター?」
「とりあえず、バルキアの将軍やギルドに追われてる時点で、世界中が敵に回るな…。」
「人間に危害を加えるわけにもいかないし…。」
「あ!
誰かがこっちにやってくる!」
ミラが【気配察知】で何者かの接近を感知した。
「何人!?」
「…1人!
すんごい速いよ!」
「どうする、ロック?
逃げるか?」
「ミラ、どのくらいの強さ!?」
「A級だと思う!」
「僕らを捕まえるつもりなら、1人じゃ来ないはず。
警戒を怠らないで、話をしてみましょう。」
「いつでも飛べるように、変身はしとくぞ。
…ていうかなんでここがわかるんだ。
【気配察知】で探知できるような距離じゃないはずだ。」
そう言いながら、ファルクはフォースドラゴンへと変身した。
それから大した時間もかからず、その「誰か」はやってきた。
「…こんばんは。」
正気をあまり感じられないクマのできた目、やつれた身体の、存在感の薄い男がやってきた。
0
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
無能を装って廃嫡された最強賢者は新生活を満喫したい!
えながゆうき
ファンタジー
五歳のときに妖精と出会った少年は、彼女から自分の置かれている立場が危ういことを告げられた。
このままではお母様と同じように殺されてしまう。
自分の行く末に絶望した少年に、妖精は一つの策を授けた。それは少年が持っている「子爵家の嫡男」という立場を捨てること。
その日から、少年はひそかに妖精から魔法を教えてもらいながら無能者を演じ続けた。
それから十年後、予定通りに廃嫡された少年は自分の夢に向かって歩き出す。
膨大な魔力を内包する少年は、妖精に教えてもらった、古い時代の魔法を武器に冒険者として生計を立てることにした。
だがしかし、魔法の知識はあっても、一般常識については乏しい二人。やや常識外れな魔法を使いながらも、周囲の人たちの支えによって名を上げていく。
そして彼らは「かつてこの世界で起こった危機」について知ることになる。それが少年の夢につながっているとは知らずに……。
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える
ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─
これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる