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第三章 魔王の真実

第125話 アルカトル防衛戦11

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冒険者とモンスターが戦っている戦場から少し離れた森の中。

グリフォンから1人の魔族が降り立った。


「まずい…。
 まずいぞ!!」

「どうした!?」

「このままじゃアイツを連れて帰るのは無理だ!
 全然ダメージ受けてないぞ!」

「なに?!
 あっちの主力2人を【乗り移り】で操る作戦は失敗したのか!?」

「いや…、それは1度成功したんだが…、別のS級冒険者がきて乗り移ってた鵺がやられた。」

「例のやつはそこにいなかったのか?!」

「いや、いたんだよ。
 それで確かに倒したんだが…、アイツ【分裂】を使ってるみたいで、どれが本体かわからないんだ!」

「【分裂】!?
 そんな情報はなかったぞ…?」

「しかも、モンスターは弱体化して、冒険者の何人かは明らかに強くなってる。
 アイツは何か得体の知れないスキルを持ってるぞ…。」

「わざわざ6人で来ていつもの倍近くモンスターを扇動したのに失敗したら…、どんな目に遭うか…。」

「待て…。
 例のやつがこっちに近づいてきてるぞ。」

「なに?!
 何人だ!?」

「アイツと分裂体3匹、Aランクが2匹だな。」

「ど、どうする…!?」

ここには魔族たちの他に、A級モンスターが5体いる。

冒険者を連れ去るときに同行させるため、いつも数体待機させている。

「分裂体はスキルが使えないからなんとでもなるだろう。
 残りの2人もAランクなら対応できる。
 要はアイツをなんとかすればいいだけだ。
 向こうからやってきてくれるなんて、好都合だ。」

「そうだな。
 向こうも【気配察知】を使って近づいてきてるんだろう。
 捕まえる準備を整えよう。」



----------------



「動きが止まったよ。」

ロックたちはミラの【気配察知】を頼りにグリフォンに乗った魔族を追いかけていた。

「あっちにも【気配察知】を使える魔族がいるとしたら、追跡はもうバレてるか、少なくともこれ以上近づくと気付かれるわね。」

「お互いの位置はどちらも把握してるという前提で、対応を考えないといけないね。」


ロックたちは対策を立てながら、魔族たちの元へ近づいた。

「全部で11体いる!」

「魔族は6人だったから、A級モンスターが5体いるってことか。
 異常個体がいる可能性も高いね。」

「グリフォンは間違いなくいるから、【光輝の壁】と【上級特殊魔法】もあるはずね。
 さすがにMPを使い果たしてるってこともないでしょうし。」

「あっ!
 10体になった!」

「【隠密】かしら?」

「うん。
 どこかに隠れてなんらかのスキルを使ってくるつもりだね。」

「でも…、行くしかないよね!」

「そうだね…。
 ティナ、ミラ。
 2人は絶対に、僕が守るよ。」

「ロック…。
 ありがとう。
 でも、何度も言うけど、私たちはただ守られる存在じゃないわ。
 私だって2人を守りたい。」

「わたしもだよー!!」

「…うん、ごめん。
 そうだよね。
 絶対に3人とも生きて帰ろう。」

「「うん!」」



さらに進んでいくと、魔族とモンスターたちが待ち構えていた。

「来たな。
 半殺しにして、魔王様のところへ連れて行ってやろう。」

すでに臨戦態勢のようだ。

話をする余地はなさそうである。


魔族との戦闘が始まった。


「いやだよー!!
 こっちがやっつけてやるんだから!
 [ダークネス]!」

相手が多数のため、唯一複数対象にかけられる状態異常魔法を唱えるミラ。

「くっ!」

魔族・モンスターの数体が暗闇状態となる。

「[ハイキュア]。」

回復魔法を使える魔族が状態異常を治していく。


その隙をついてロックが魔族に突っ込む。

「分裂体か!」

「[エッジストーム]!」

魔族が魔法を放つ。

風の刃が広範囲を切り刻みながらロックたちに迫る。

魔族に単身突っ込んでいったロックは風に切り刻まれるが、高い耐久力で耐え切る。

しかし、この魔族は【魔力チャージ】を持っており、すでに最大威力の2倍までタメていたため、かなりHPが削られた。

ティナとミラが直撃すれば即死するほどの威力。

刃の嵐は止まらず、後方にいるティナやミラたちにも襲いかかる。

かなりのスピードでかつ広範囲な嵐であるため、避けるのは非常に難しい。

ティナとミラはロックの後ろに避難する。

「それで避けられると思ったのか!?
 そのまま切り刻まれてしまえ!」
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