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第三章 魔王の真実

第94話 戦場への出兵要請

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宿に帰ると、宿の主人が慌てた様子で駆け寄ってきた。

「お帰りなさい!
 さっき軍の人が来て、帰ったら軍本部に来てくれって…。
 将軍がお呼びみたいですよ!」

「軍本部!?」

「将軍…、なんでしょうね…。」



3人は恐る恐る軍の本部を訪ねた。


「すみません、軍の本部に来るように言われていたロックと申しますが…。」

軍の門を警備する軍人に声を掛ける。

「む?
 誰からの呼び出しだ?」

「将軍からです…。」

「将軍!?
 いったい…」

声をかけた軍人がそう言いかけところで、別の軍人が走ってくる。

「あー、すみません!
 ロックさんですよね?!
 将軍がお待ちです、どうぞ!」

「あ、はい…。」

後からきた軍人に案内され、軍本部基地の中へ入っていった。


「よく来てくれたな。」

「先日はお世話になりました。
 今日はどういったご用件でしょうか?」

「まあ、そうかしこまらなくていいぞ。
 聞いたところによると、S級モンスター倒したそうだな!?」

「は、はい。」

「無限ガエルも倒したと聞いたぞ?
 本当か?」

「苦労しましたが、なんとか倒せました。」

「あれから数日しか経ってないが…、またかなり強くなったんじゃないか??」

「そうですね。
 わかるのですか?」

「なんとなく雰囲気がな。
 それで用件だが、単刀直入に言おう。

 …魔族の防衛戦に出兵してほしい。」

「え?!」

「驚くことでもあるまい。
 ロックはBランクだし、ギルマスが出兵要請があるだろうと伝えたと言っておったぞ。」

「い、いや、確かに聞きましたけど、こんなに早いとは…。」

「何か予定があるのか?」

「モンスター生息域に行って、訓練を積みたいな、と…。
 それと装備を揃えるための資金を集めを。」

【アイテムボックス】のスキルを奪りにいくとはさすがに言えない。

「それなら、防衛戦でもできるぞ。
 敵は向こうからやってきてくれるし、素材を運ぶ手間も省ける。
 成果に応じて素材の売却益から報奨金が出るからな。」

「…なるほど。」

(そう考えれば、貴重なスキル枠を【アイテムボックス】で埋めるメリットはあまりなくなるかもしれないな。)

「…パーティで話し合ってからお返事させてもらってもいいですか?」

「…わかった。
 ちなみに今回行ってもらう予定なのはアルカトル王国だ。
 馬車で大体140日くらいだな。」

「敵の強さや数はどんなものなんでしょうか?」

「魔族1人あたり1回の侵攻でA級モンスターが20~30匹、B級モンスター以下がその10倍くらいだな。
 魔族も無制限に引き連れて来れるわけじゃないらしく、強さも自分のレベル以下のモンスターに限られるようだ。
 魔族は大体1~3人でやってくる。
 アルカトル、サンジャータ、フォーレン以外はB級モンスターまでしか侵攻してこない。
 強い魔族は近いところに投入してるんだろうな。」

「魔族はどうやって大陸を渡ってきてるんですか?」

「移動に特化した飛龍というモンスターがいてな。
 そいつに乗ってくるから、どの国も見張りを立てている。
 それから侵攻までに1~2日かかるから、攻めてくるタイミングがわかるのはせめてもの救いだな。」

「…わかりました。
 では、一旦失礼させていただきます。」

「明日の朝、宿に返事を聞きにいかせる。
 …急がせて悪いが、実はこれは皇帝からの直々の指示でな。
 推薦したのは私だが、初めてのことで私も困惑している。
 悪いが、前向きに検討して欲しい。」

「皇帝が…。
 …わかりました。
 では、明日の朝までに結論を出します。」

3人は将軍の部屋を後にした。



そして、宿に戻ってきた。

「どうしようか。」

「行くべきだと思うわ。
 魔族によってどんな被害があるのか身をもって知るべきだし、私たちが今後どうするべきかを考えるためにも。」

「そうだよね。
 ただ、このタイミングで行くべきかどうか、それが悩ましいと思って。
 僕はともかく、2人はまだCランクだから危険だと思うんだ。」

「大丈夫!!
 スキルもパワーアップしたし!!」

「他にも強い冒険者がいるわけだし、この調子ならすぐBランクになるわよ。」

先日エシアドの崖で、ミラが2度も【起死回生】を発動する事態になったことが、ロックを躊躇わせている。

「ロック。
 私たちを信じて。」

「そうだよ!
 大丈夫だから!」

「…うん。」


翌朝、3人は宿を訪れた将軍の使いに出兵することを伝えた。
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