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街の灯り2

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父は、あなたとの結婚を受け入れた時、私に、
「王族とのつながるために、愛のない結婚をしろ。
公務だけをしっかりしろ」と言われた。

私は地位より愛され、家族になりたかったの。
本当は断りたかったの。
初めから愛人のいるところに嫁ぐって考えられなくて、、、
でもあの父に逆らうことができなかった。

嫁ぐ日もね。
誰も見送りをしてくれなかったのよ。
姉の婚約者が来ていますからと使用人から聞いただけ。

だから、メイカと2人であなたの元へ行った。
今は、あなたはそんな人じゃないことはわかってる。でも、あの時は、違ったから、

初めての挨拶の時も側妃を連れて私の前で仲良くしてる姿を見せつけて、、、

ベットとソファしかないただ広い部屋に
案内され、王太子の隣の部屋は、側妃が使ってるからと言われた。

クローゼットを開けると普通なら用意されているドレスやアクセサリーが全くなかった。

また、、ここでも私は愛されない。
せめて、職務だけはしないと私は本当に捨てられる。必要ない子になってしまう、、、と思ってた。
だから、どんなに仕事をふられてもやり遂げた。

私はここでいつも、街の灯りを眺めていた。灯りがあるのは、幸せな家族いることを意味を示すから。
みんなが幸せになるために頑張ろうって、、
それで、孤児院と修道院に逃げ込める場所を作りたかったの。

それに、シンスが私と向き合うと言われた時も、まだ、心の底から信じられなかったの。
裏切られたら、私は王妃を辞めて、修道院に行けばいいと思ったの。だから、私の居場所を作ろうとしていた。

今は、もう、、そんな思いないよ。

だから、今日シンスに見てもらえてよかった。

シリアルは、独り言のように話をした。
シンスは、全て頷いて聴いてくれた。

「シリ。ごめんな。。俺は、、、」

「本当に、シンスを責めてるんじゃないのよ。
シンスのところに来て良かったよ。初めは辛かったけど、今は、すごく幸せなの。
でも、こわいの。私なんかが幸せになってもいいのか?
愛を知らない私が、シンスを幸せに出来るか?今すごく怖いの。」

「シリ。大丈夫。何も考えなくていい。
ずっと笑っていてほしい。
俺の隣に居たらいい。
シリアルが、夜、俺の腕の中で、眠ってくれてるのが、一番幸せなんだ。
俺のそばにいてほしい。」

「ありがとう。シンス様。」
涙が流れた。

「シリアル。帰ろう。」

馬車に乗り込むとシンス様は、私を抱きしめてキスをしてくれた。
いつも以上に暖かった。




「ねえ。シンスは、私が倒れた時、なんでガーベラとチェリーを持ってきてくれたの?」

「ガーベラは、元気が出るお花なんだよ。祖母に教えてもらってたんだ。体調が悪い時にガーベラを見ると元気が出るって。
チェリーは、食べやすくないかな?一口で食べれるし、種も無いし、甘酸っぱいし、小さいから、たくさん食べれるかなと思って、、、、」

「そう。シンスは、あの時から、優しかったんだね。私の好きな花はガーベラ。好きな果物はチェリーなのよ。」

「そうか。気に入ってもらえてよかったよ。」


全てを打ち明けたシリアルは、シンス様を心の底から、信じることができた。
シンス様のためにより良い国を作ることを決意した。




☆☆☆☆☆
次回からは、メイカsideになります。
















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