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15帰国

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ルーセントとマリーンは、クレスタを置いてサウジランドに向かっていた。

「うふふっ。王太子妃を1人置いてきて良かったのですか?」

「しばらくあの顔を見なくて済むならいいじゃないか?
地味で可愛くないしな。」

「私が癒してあげますわ。」

「ああ。」

「あのっ。さっき、メイド達が噂していたんですけど、帝国で評判の宿屋があるそうなんです。
帰り道にあるそうなので、行ってみたいです。」

「そうだな。別に急がないし、予定より早く帰って来たから、ゆっくりと帰ればいいだろ。」



サウジランドの国境に来て、
「あそこみたいです。サウジランド内だったんですね。すぐそこです。」

「ほんとだな。マリーンが、好きそうだな。」

「泊まっていきましょ。あなたの後継を産まないとね。正妃の代わりに。。」

その宿屋を泊まるように手配した。
2人は、お酒を飲み、そのまま熱い夜を過ごした。





次の日の夕方、王宮に帰ってきた。


「なぜ、こんなに早く帰ってきたんだ?
滞在は2週間であっただろう。」

「つまらなかった。帝国のくせに、食事も合わないし、飽きてきた。港町も臭いし、見る必要がないですよ。」

「遊びに行ったわけじゃないぞ。わかっておるのか?」

「もちろんです。王太子妃が、報告書を出しますよ。」

「そのクレスタはどこに?」

「後から来ます。」 

「後からとは、一緒に帰ってこなかったのか?」 

「帰国する日の朝、1人トロトロしていて、なかなか来なかった。
1人のわがままで、帰国に支障が出るので、1人で帰ってくるように言いました。」

「クレスタを1人置いてきた意味がわかっているのか?」

「わかってますよ。そんなに怒ることですか?」

「この手紙、読んでみろ。昨日の夜遅く、速達で届いた。」



「別に問題ないではありませんか?」

「本当にわかってるのか?」


「もう宜しいではありませんか?
先程、長旅から帰ってきたばかりなのに。
夕食の準備をしてあるから、早く食べなさい。」

「母上、ただいま戻りました。」


「やっぱりサウジランドの食事が1番よ。」

「我が国の料理は、1番良い。早く帰ってきて良かった。
早く食べたい。」


と3人は食堂へ去っていた。






国王は、朝から緊急事態発生のため、ルーセントが帰り次第会議を開く手配がしてあった。

ルーセントとクレスタが一緒に帰ってくることを願っていたけど、叶わなかった、

「文官長を先に呼んでくれ。」

文官長だけが執務室にきた。
「急に呼び出してすまない。王太子が、王太子妃1人を帝国に置いてきた。

あの2人は、離婚しなければならない。それに伴い、やってほしいことがある。

一点、2億デルを用意

もう一点は、ルーセントに離婚書にサインをさせる。
これは、気がつかれないようにさせてくれ。
ルーセントがごねる前に離婚をさせる。詳しくは会議の時に。」

「わかりました。手配します。」

緊急会議が行われた。

「この度は、急なところ集まってもらい、すまない。」

「いえ。何があったのですか?」

「申し訳ない。愚息が、愚かなことをしてしまった。
2週間の帝国への視察兼交流会に行っていたのだか、王太子妃を1人帝国に残して、先程、帰国した。

そして、帝国より、速達が届いた。昨日。」

「王太子が帰るより手紙のが速いとは、」

「1人とは?」

「メイドも護衛も残さず、本当に王太子妃、1人。」

「、、、、」


クレスタの叔父も来ていた。

「クレスタは、捨てられたのですか?帝国の人質にしたのですか?
あんなに小さい頃から、ルーセントのために生きてきた子を。。
しかも、疲労のため寝込んでるのに、」

「すまない。」

「ルーセントは、なんて言ってるんだ?」

「帰国の時、トロトロしていたから、置いてきたと。」

「ほぉ。。
アルフレッド皇太子は、悪い噂を聞いたことがない。離縁届を持っていくとき、私も一緒に行く。」


「ルーセントは、王太子から降ろすつもりだ。
第二王子が、まだ、幼いが、クレスタが、指導してくれていた。」

「慰謝料を2億デル用意する。それでも少ないが、、」

「2億デルもですか?」

「当たり前だ。
クレスタを王宮に縛り付けた年数は、10年以上だぞ。
その間家族とも会っていない。
お前たちの娘が、
そんなことになったらどうする?金だけで解決できるか?」

「、、、、」


「その2億デルは、クレスタに渡してください。決して、家族に支払わないで下さいよ!」


「そして、文官の配置換えをする。
今の状態では、公務が止まる。
だが、王太子、側妃、王妃はわかっていない。

文官の者も、数名しかわかっていない筈。
今の状態がいかに大変だということを。

クレスタ1人の仕事の量は、膨大だそ。

王太子に着くのは、3名。

王太子妃の仕事には、3名。女子を2名、

王妃の仕事には、2名。

まずつけてくれ。それでも難しかったら、補充してくれ。
あと1人1番優秀な人材を統括においてくれ。

それで、止めてはならないが、あの3人にわからさないといけない。

「公務を理由に失脚させるつもりでもある。」

文官達は、そんなに必要ないと思っていた。

王太子妃1人と文官11名と一緒なんて、信じられない。
流石に、、、それはいいすぎではないか?
と文官たちは思っていた。

しかし、現実を知ることになる。。、
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