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王宮

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アイリーン様の話を詰めに王宮へ行った。

「王太子殿下。アイリーン様の件で、相談があります。」

「なんだ?」

「アイリーン様が、滞在中、王宮に泊まらせて頂くことはできませんか?または、近くの宿泊施設でも構いません。」

「1週間の滞在ですよね?その間、快適に過ごしていただきたく、何かあった時、駆けつけれるようにしたいのです。」

「アイリーンは、難しい性格だったな。シオリとは、難しいだろうな。」

「アイリーン様は、寂しいのだと思いますよ。私は、好きです。ですから、滞在中、アイリーン様が嫌がらなければ、出来るだけ一緒にいたいのです。」

「カイン殿は?」

「了承していただいております。」

「アイカ。本当に大丈夫なのか?修道院の件、もう少し待ってくれないか?他の方法がないか考えている。」

「大丈夫ですわ。修道院に行きたいのですから。」

「カイン殿にはいったのか?」

「いえ。もう、話すつもりです。」

「王宮に居たいというのは、準備ということか。」

「、、、、」

「わかった。アイリーンの件は、任せるよ。シルを付けるから、わからないことや俺への報告を伝えてくれ、」

「ありがとうございます。頑張ります。」


王太子殿下は、ため息をついた。
アイカの意志が固いこと。
なんとかしないといけない。


シオリとは、いっときの思いだけだった。アイカと婚約破棄をしてからは、シオリといると休まらなかった。

王妃は、
「アイカよりシオリのが優秀だわ。婚約破棄してよかった。」

国王も
「そうだな。明るくて、良かったじゃないか。」
と喜んでいた。今も、それは変わらない。
まさか、公務をこんなにしないとは思わなかった。
どうしても、王太子妃が出ないといけないものは、きちんとしてくれた。

だから国王たちも気がつかなかった。

でも、アイカと比べたら、公務の量が違う。アイカは丁寧だし、何より俺のことを考えてくれてた。俺の負担にならないようにしてくれてた。

明るいシオリに惹かれたけど、今は、落ち着いたアイカの方が安心できていたことがわかった。
家族愛と思っていたけど、アイカのこと愛していた。
気がつかなかっただけだった。

でも今更気がついても、遅い。
アイカの瞳に、俺は映っていない。

ただの王太子としてしか見てくれない。
自分が全て悪いのはわかっているから、何もできない。

アイカには幸せになってもらいたい。
修道院以外方法はないのか?
カイン殿に託すしかないのか、、、





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