8 / 10
第八話
しおりを挟む
ソンタラー公爵夫妻は、ミラン殿下を信頼していたので、将来的な話であれば、受けてもよいと考えた。
ただ、年齢的には、婚約はした方がよかった。
セレナはまだ判断がつかないだろうから、ふたりが決めてしまうしかなかった。
とはいえ、番であるなら、結婚以外の道はない。ミラン殿下の気が狂ってしまっては困る。番に巡り会うことが奇跡なのだ。その番と結ばれない獣人は気が狂ってしまう。ミラン殿下がいかに理性的であっても、こればかりはしかたない。
「殿下。セレナは今はつらいことがあったばかりで、本来の姿ではないのです。今、注目を浴びるのは、またつらいと思います。半年ほど時間をいただきたいのです」
ミラン殿下は、ため息をつきつつも、
了承した。
セレナの半年間は、大忙しだった。
まずは栄養のある食べ物、適度な休憩とゆったりした睡眠。その間に、テーブルマナーなど、生活の中でのマナー。それができるようになると、舞踏会でのマナーとダンス。
健康を取り戻しつつ、ゆっくり令嬢としての教育が行われた。
その間もミラン殿下は通ってきた。
でも、最後の1か月。ミラン殿下は出入り禁止になった。セレナも夫妻も、殿下を驚かせたかったのだ。
セレナは覚えがよかった。マナーもダンスもどんどん上手になる。
見た目もかなり変わった。
最後の1か月が過ぎて、ミラン殿下がすごく慌てて現れた。
「セレナ?」
殿下を迎えた令嬢は、まだ幼いものの、美しかった。最初に会ったときとはまるで別人だ。おじぎも所作も美しい。
ミラン殿下は、セレナの前に跪き、
「結婚してください」
と真剣に言った。
「殿下。まだ婚約で勘弁してくださいな」
「成人したら、結婚に反対はしないから」
ソンタラー夫妻はニコニコ笑顔で告げた。
セレナは、いろいろ教育も受けたけど、座学は半分くらいしか理解できていないので、番についてはよくわかっていなかった。
「セレナ、ダメかい?婚約してほしい」
ミラン殿下の懇願に、三食おやつ付きを思い出しながら、答えた。
「殿下のお申出を、お受けします」
将来、番であるセレナにミラン殿下がメロメロになり、大騒ぎを引き起こすのは別の話。
今回はここまで。さようなら~。
ただ、年齢的には、婚約はした方がよかった。
セレナはまだ判断がつかないだろうから、ふたりが決めてしまうしかなかった。
とはいえ、番であるなら、結婚以外の道はない。ミラン殿下の気が狂ってしまっては困る。番に巡り会うことが奇跡なのだ。その番と結ばれない獣人は気が狂ってしまう。ミラン殿下がいかに理性的であっても、こればかりはしかたない。
「殿下。セレナは今はつらいことがあったばかりで、本来の姿ではないのです。今、注目を浴びるのは、またつらいと思います。半年ほど時間をいただきたいのです」
ミラン殿下は、ため息をつきつつも、
了承した。
セレナの半年間は、大忙しだった。
まずは栄養のある食べ物、適度な休憩とゆったりした睡眠。その間に、テーブルマナーなど、生活の中でのマナー。それができるようになると、舞踏会でのマナーとダンス。
健康を取り戻しつつ、ゆっくり令嬢としての教育が行われた。
その間もミラン殿下は通ってきた。
でも、最後の1か月。ミラン殿下は出入り禁止になった。セレナも夫妻も、殿下を驚かせたかったのだ。
セレナは覚えがよかった。マナーもダンスもどんどん上手になる。
見た目もかなり変わった。
最後の1か月が過ぎて、ミラン殿下がすごく慌てて現れた。
「セレナ?」
殿下を迎えた令嬢は、まだ幼いものの、美しかった。最初に会ったときとはまるで別人だ。おじぎも所作も美しい。
ミラン殿下は、セレナの前に跪き、
「結婚してください」
と真剣に言った。
「殿下。まだ婚約で勘弁してくださいな」
「成人したら、結婚に反対はしないから」
ソンタラー夫妻はニコニコ笑顔で告げた。
セレナは、いろいろ教育も受けたけど、座学は半分くらいしか理解できていないので、番についてはよくわかっていなかった。
「セレナ、ダメかい?婚約してほしい」
ミラン殿下の懇願に、三食おやつ付きを思い出しながら、答えた。
「殿下のお申出を、お受けします」
将来、番であるセレナにミラン殿下がメロメロになり、大騒ぎを引き起こすのは別の話。
今回はここまで。さようなら~。
35
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
お姉さまは酷いずるいと言い続け、王子様に引き取られた自称・妹なんて知らない
あとさん♪
ファンタジー
わたくしが卒業する年に妹(自称)が学園に編入して来ました。
久しぶりの再会、と思いきや、行き成りわたくしに暴言をぶつけ、泣きながら走り去るという暴挙。
いつの間にかわたくしの名誉は地に落ちていたわ。
ずるいずるい、謝罪を要求する、姉妹格差がどーたらこーたら。
わたくし一人が我慢すればいいかと、思っていたら、今度は自称・婚約者が現れて婚約破棄宣言?
もううんざり! 早く本当の立ち位置を理解させないと、あの子に騙される被害者は増える一方!
そんな時、王子殿下が彼女を引き取りたいと言いだして────
※この話は小説家になろうにも同時掲載しています。
※設定は相変わらずゆるんゆるん。
※シャティエル王国シリーズ4作目!
※過去の拙作
『相互理解は難しい(略)』の29年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の27年後、
『王女殿下のモラトリアム』の17年後の話になります。
上記と主人公が違います。未読でも話は分かるとは思いますが、知っているとなお面白いかと。
※『俺の心を掴んだ姫は笑わない~見ていいのは俺だけだから!~』シリーズ5作目、オリヴァーくんが主役です! こちらもよろしくお願いします<(_ _)>
※ちょくちょく修正します。誤字撲滅!
※全9話
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる