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第二話

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7歳のセレナには、まだ一人前の仕事はできない。
洗濯も掃除もお手伝いだけだ。
セレナは一生懸命働いた。セレナが令嬢であることを知っている少数の使用人はこの状況をなんとかできないか考えてはいた。
だが、弱い立場の使用人たちにできることはほぼない。
せいぜいセレナにあてがう仕事を楽な物にするくらいだ。

「私のお父さんとお母さんはどこにいるのかな?」
床の拭き掃除中にふと、セレナは疑問に思った。父が侯爵であることも、母が亡くなったことも、セレナは忘れていた。
幼いだけではなく、精神的なショックも大きかったのだろう。

「会いたいな」
会ったら、たくさん話すのだ。うれしかったこと、さみしかったこと。いっぱい話したいことがある。
「それとも、セレナが悪い子で、捨てられて、ここで働いてるのかな」
想像しているだけなのに、本当にそうなのではないかと思えた。

その後は拭き掃除に没頭した。早くやらないと時間までに間に合わない。
終わらないと恐ろしい目に遭わされる。
お茶を入れるときに少しこぼしてしまった侍女は長い髪を肩くらいにばっさり切られてしまった。そして、泣きながら、
辞めていった。

同じ目に遭いたくないなら必死にやるしかない。ここは恐ろしい職場だった。
セレナも他へ行くことを何度も考えた。ただまだ小さい自分を雇ってくれるところはなさそうだった。
もしもセレナがもう少し大きかったら、逃げ出すことができただろう。
だが、もうしばらく耐えねばならない。

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