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第二話
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世の中には食べ物がなくて、飢えてる人がたくさんいる。それでも、今の国王様になってから、ずいぶんマシになったんだって。
だからね、私、サミアナ公爵令嬢は決して不幸じゃない。今ちょっとさみしいだけ。
家族がみんな着飾って王宮に行くのに1人残されるんだもん。家族に愛されていないことを思い知らされたんだもん。
王宮舞踏会のあと、ミーナが素敵な公爵様に見染められて、婚約となることが決まった。
ミーナは得意そうだった。
「お姉様は不幸ね。ドレスもないし、求婚もなし。地味な外見にぴったりな人生だわ」
いろいろ言い返してやりたかったが、
我慢した。
「ミーナ、おめでとう。素敵ね、婚約するなんて」
ミーナは満足したのか、私の部屋から出て行った。
私は今度は裁縫を習っている。最終的にはプロにも負けないドレスを縫いたい。
生地代を稼ぐのに、少し邸を抜け出す予定だ。
こっそり出て、治癒院で治癒魔法をかけて、こっそり帰る。
治癒魔法は実践が増えたおかげか、さらに強くなっていた。
お給料もいい。2か月ほど働けば、ドレスを作る生地が買える。
これだけ苦労しても、妹に取られかねないって?そうなんだよ。そこが問題だ。
たいしてほしくなくても、私の着ている物ならほしがりそうだ。
妹は姉の物ほしいほしい病だ。
でも、着られるドレスが1着もないのはさすがに困る。私にだって婚約者ができるかもしれない。3着作るからミーナに2着取られた後、1着を大事にする方向でどうかな。
治癒院の術者はいい人が多い。魔力量の多い貴族で、誰相手にも平等に接することのできる人。
私はひらめいた。
この中でひっそり婚約者を探そう。
ミーナは公爵さまと婚約するところだ。
今なら婚約者を奪われる可能性も低い。
治癒院は治癒魔法の実力差がわかりやすい。私は他人の治療を見ていて、最上位の治癒魔法をいくつか習得した。
それを自分用にアレンジして使っていたら、声をかけられた。
「失礼。サミアナ公爵令嬢とお見受けする。何故こんなところに?」
見たことのない男性だった。黒髪黒目。魔法使いとして最上級の外見だ。
見ているだけでも、震えがくるほどの魔力量。上位貴族にちがいない。
「治癒魔法にみがきをかけるためです。人の役にも立てますし」
男性はキョロキョロと周囲を見て、探索魔法を使ったようだ。
「本当に一人でいらしたのか!なんと!」
こっそり帰るとこだから、放っておいてほしいな。無理かな?
「一人は慣れております。お気遣いなく。もう帰ります」
「それでは、邸宅まで、お送りします」
いったい、誰なの?こっそり帰るの無理じゃない。
「馬車では目立ちますから、お気持ちだけいただきます。さようなら」
何とか逃げ切った。
今日で生地代も貯まったのだ。
明日からはドレス作りのための特訓だ!
だからね、私、サミアナ公爵令嬢は決して不幸じゃない。今ちょっとさみしいだけ。
家族がみんな着飾って王宮に行くのに1人残されるんだもん。家族に愛されていないことを思い知らされたんだもん。
王宮舞踏会のあと、ミーナが素敵な公爵様に見染められて、婚約となることが決まった。
ミーナは得意そうだった。
「お姉様は不幸ね。ドレスもないし、求婚もなし。地味な外見にぴったりな人生だわ」
いろいろ言い返してやりたかったが、
我慢した。
「ミーナ、おめでとう。素敵ね、婚約するなんて」
ミーナは満足したのか、私の部屋から出て行った。
私は今度は裁縫を習っている。最終的にはプロにも負けないドレスを縫いたい。
生地代を稼ぐのに、少し邸を抜け出す予定だ。
こっそり出て、治癒院で治癒魔法をかけて、こっそり帰る。
治癒魔法は実践が増えたおかげか、さらに強くなっていた。
お給料もいい。2か月ほど働けば、ドレスを作る生地が買える。
これだけ苦労しても、妹に取られかねないって?そうなんだよ。そこが問題だ。
たいしてほしくなくても、私の着ている物ならほしがりそうだ。
妹は姉の物ほしいほしい病だ。
でも、着られるドレスが1着もないのはさすがに困る。私にだって婚約者ができるかもしれない。3着作るからミーナに2着取られた後、1着を大事にする方向でどうかな。
治癒院の術者はいい人が多い。魔力量の多い貴族で、誰相手にも平等に接することのできる人。
私はひらめいた。
この中でひっそり婚約者を探そう。
ミーナは公爵さまと婚約するところだ。
今なら婚約者を奪われる可能性も低い。
治癒院は治癒魔法の実力差がわかりやすい。私は他人の治療を見ていて、最上位の治癒魔法をいくつか習得した。
それを自分用にアレンジして使っていたら、声をかけられた。
「失礼。サミアナ公爵令嬢とお見受けする。何故こんなところに?」
見たことのない男性だった。黒髪黒目。魔法使いとして最上級の外見だ。
見ているだけでも、震えがくるほどの魔力量。上位貴族にちがいない。
「治癒魔法にみがきをかけるためです。人の役にも立てますし」
男性はキョロキョロと周囲を見て、探索魔法を使ったようだ。
「本当に一人でいらしたのか!なんと!」
こっそり帰るとこだから、放っておいてほしいな。無理かな?
「一人は慣れております。お気遣いなく。もう帰ります」
「それでは、邸宅まで、お送りします」
いったい、誰なの?こっそり帰るの無理じゃない。
「馬車では目立ちますから、お気持ちだけいただきます。さようなら」
何とか逃げ切った。
今日で生地代も貯まったのだ。
明日からはドレス作りのための特訓だ!
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