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え?決まってるの?
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ナンナはびっくりしたが、すぐに否定した。
「だめよ。年齢が合わないもの。アルディには年下の可愛いお嫁さんをもらってもらいたいの」
アルディもすかさず、
「僕を気持ち悪がらないのはナンナだけだよ。獣人はほとんど生き残ってないから、みんな知らないよ。それに、僕はナンナじゃなきゃダメなの」
「どうして?」
「僕はナンナのもので、ナンナは僕のものなの」
アルディの言ってることはわからなかったが、ひどく真剣なことは伝わってきた。
もしここで話がこじれたら、一緒に暮らせなくなってしまうかもしれない。
「ナンナ、年齢ならすぐ釣り合うから。
あと1か月もしたら、ナンナと同い年になるよ」
ナンナだってアルディが嫌いなわけではない。
でも、初めて優しくしてくれた人を勘違いして好きになっただけじゃないかな?
そうとしか思えない。
そんな風にナンナは結婚に臆病になっていた。
「ナンナじゃなきゃダメって決まってるの」
「決まってるって、どういうこと?」
「運命ってことだよ」
「アルディ、冷静になって」
アルディはやっぱり思い込んでしまったのだ。きっと生まれてから、いろんな人に拒否されてきたのだろう。
たまたま出会ったナンナに受け入れられた喜びで、目が曇っているのだ。
そうとしかナンナには思えなかった。
「ナンナ。ナンナだって、冷静じゃないよ。ナンナは結婚がこわいの?」
ナンナは、アルディに言い返すつもりだった。だから、これは本意ではない。
じわりと視界がにじむと、もう止められなかった。そのまま子どものように泣いた。
「ナンナ、ごめん。泣かないで」
アルディに優しく抱きしめられながら、ナンナはずっと抱えてきた何かが消えてゆくのを感じた。
そのまま泣き続けた。
ナンナはやっと泣きやんだ。アルディはずっとナンナの背中をなでていた。
「ナンナ、落ち着いた?」
こくんとナンナは頷いた。
「じゃあ、僕と結婚してくれる?」
こくんとまた頷いた。
アルディの目は輝いた。
「ありがとう。ずっと、大切にするから」
ナンナは、アルディの腕の中で、今まで探し求めていたものを見つけた気がした。
それはもう永遠にナンナにだけは手に入らないものだと思っていたものだ。
「ナンナ、大好き。結婚式はどんな風にしたい?あまり豪華にはできないけど」
「何もしなくてもいいの。アルディが幸せならいい」
「じゃあ、ナンナがずっと一緒にいてくれなきゃね」
ナンナは顔を真っ赤にしながら、
小さな声で、はい、と返した。
end
「だめよ。年齢が合わないもの。アルディには年下の可愛いお嫁さんをもらってもらいたいの」
アルディもすかさず、
「僕を気持ち悪がらないのはナンナだけだよ。獣人はほとんど生き残ってないから、みんな知らないよ。それに、僕はナンナじゃなきゃダメなの」
「どうして?」
「僕はナンナのもので、ナンナは僕のものなの」
アルディの言ってることはわからなかったが、ひどく真剣なことは伝わってきた。
もしここで話がこじれたら、一緒に暮らせなくなってしまうかもしれない。
「ナンナ、年齢ならすぐ釣り合うから。
あと1か月もしたら、ナンナと同い年になるよ」
ナンナだってアルディが嫌いなわけではない。
でも、初めて優しくしてくれた人を勘違いして好きになっただけじゃないかな?
そうとしか思えない。
そんな風にナンナは結婚に臆病になっていた。
「ナンナじゃなきゃダメって決まってるの」
「決まってるって、どういうこと?」
「運命ってことだよ」
「アルディ、冷静になって」
アルディはやっぱり思い込んでしまったのだ。きっと生まれてから、いろんな人に拒否されてきたのだろう。
たまたま出会ったナンナに受け入れられた喜びで、目が曇っているのだ。
そうとしかナンナには思えなかった。
「ナンナ。ナンナだって、冷静じゃないよ。ナンナは結婚がこわいの?」
ナンナは、アルディに言い返すつもりだった。だから、これは本意ではない。
じわりと視界がにじむと、もう止められなかった。そのまま子どものように泣いた。
「ナンナ、ごめん。泣かないで」
アルディに優しく抱きしめられながら、ナンナはずっと抱えてきた何かが消えてゆくのを感じた。
そのまま泣き続けた。
ナンナはやっと泣きやんだ。アルディはずっとナンナの背中をなでていた。
「ナンナ、落ち着いた?」
こくんとナンナは頷いた。
「じゃあ、僕と結婚してくれる?」
こくんとまた頷いた。
アルディの目は輝いた。
「ありがとう。ずっと、大切にするから」
ナンナは、アルディの腕の中で、今まで探し求めていたものを見つけた気がした。
それはもう永遠にナンナにだけは手に入らないものだと思っていたものだ。
「ナンナ、大好き。結婚式はどんな風にしたい?あまり豪華にはできないけど」
「何もしなくてもいいの。アルディが幸せならいい」
「じゃあ、ナンナがずっと一緒にいてくれなきゃね」
ナンナは顔を真っ赤にしながら、
小さな声で、はい、と返した。
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