【完結】聖女と氷の貴公子

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結果、国王は正当な方法を選んだ。まずは第3王子を助けてもらう。その後、容体によるが、弟を問い詰める。
アリセンティアはまず、呪いを解いた。
一瞬の出来事だった。
第3王子は元の姿に戻った。
国王は喜んでいるが、まだ先がある。
鏡に映った王弟殿下は、呪い返しにあっていなかった。カルミンツの意見が正しいとわかった。

「だが、弟を放置することはできない。何が起きているか把握しなければ」
国王は護衛騎士とカルミンツと連れて行きたくはないが、聖女アリセンティアと共に王弟の元へ急いだ。
「何ということだ。印がなくなっている」
どこか遠くを見つめるような視線で、
王弟殿下は第3王子の方を向いていた。
「どういう意味だ」
兄である国王は焦った。
「女神様は尊い血筋の生贄を求めている。兄上の治世が安泰なのも、女神様がいてこそ。兄上と第1王子、スペアの第2王子は生贄にはできません。第3王子なら問題ないはずだ」
狂っている
それがその場にいた者の判断だった。
王弟殿下は王宮の塔に一生軟禁と決まった。

「聖女殿がいなければ、大変なことになっていた。感謝する。これは心ばかりのお礼だ。次の夜会は、カルミンツと参加してほしい」
ドレスが数着、それに合わせた靴や装身具。アリセンティアは驚いた。
自分が夜会に出席など考えたこともない。
だが、カルミンツとダンスを踊ってみたかった。

夜会当日、カルミンツはいつもより着飾って現れた。アリセンティアは体中磨かれてピカピカだ。
「さぁ、行きましょう」
エスコートを受けて、カルミンツと馬車に乗った。
空飛ぶ馬車のような気がした。
カルミンツはしばらく黙っていたが、
唐突に叫んだ。
「私の妻になっていただきたい」

アリセンティアは驚いて震えた。
喜びが体中を駆け巡る。
「はい。お願いします」
答えはひとつ。
2人の物語は始まったばかりだ。
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