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しおりを挟む呪いと聞いた王は、少し考えた後、
「カルミンツ殿を呼び寄せよ」
と言った。
「聖女殿の尊い御身に何かあれば、我もカルミンツも国民たちも許せはしまい。
まずは、安全を確保しよう」
カルミンツと聞いたアリセンティアの顔は少し赤くなった。
王はその様子を見て微笑ましく思った。
だが、事態は第3王子の病などというものではなかった。
呪いを使える者は少ない。犯人本人が呪ったのではなく、呪いの能力者を雇ったのかもしれない。
「陛下。お呼びと聞き馳せ参じました」
カルミンツは緊迫した表情で現れた。
国王はアリセンティアの見立てについて話した。
「陛下。聖女殿の浄化の能力は強力です。もしかしたら、呪い返しは起きず、呪いそのものが消滅するかもしれません」
アリセンティアは自己評価が低いため、自分の聖女としての能力も低いと感じていた。
「カルミンツさま。私にそんな力はありません」
「だが、もしかして呪いをかけている相手の正体もわかるのではないか?」
「はい」
その場にいた全員が戦慄した。聖女アリセンティアは万能だ。これは決して噂なんかではない、真実なのだ。
カルミンツは、アリセンティアの負担を少しでも減らしたかった。
だが、今はアリセンティアに頼るしかない。
「聖女殿、殿下を呪っている者をこの鏡に映していただけないでしょうか?」
「わかりました」
すぐに鏡には壮年の男性が映った。
国王をはじめ、その場にいるカルミンツ、神官長は、驚いた。
「王弟殿下」
鏡には王の弟であるザリアル殿下が映し出された。
「なぜだ。私や王太子をねらうならまだわかるが、第3王子をなぜ?」
さすがのアリセンティアにもそこまではわからない。
「第3王子殿下の呪いをいかがいたしましょう?」
「聖女殿。しばらく放置しても第3王子に害はないだろうか?早く対処した方がよいでしょうか?」
「早い方がきれいに治ります。けれど、2、3日なら影響はないと思います」
国王はカルミンツ、神官長と話し合った。アリセンティアは貴族に疎いので、
話し合いには参加しなかった。
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