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第十一王女の外交官生活4

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次のお仕事は、4ヵ国語の翻訳とデータの整理でした。私は実は外国語も大好きですが、書類の整理や分析も大好きなのです。お母様の実家はかなり大きな商会なので、その血のせいかもしれません。

お母様の弟は、何度もお母様と私を実家で引き取り、手厚く対応したいと言ってくれています。私はそれでもよかったのですが、お母様は、少しでも陛下のおそばにいたい、可愛い娘を1人で実家にやることもしたくないとおっしゃいます。第十一王女とはいえ、王族と平民ではかなり待遇が異なります。
お母様は陛下のことよりも私を思って、叔父さんの話を断っているのでしょう。

私がこっそり仕事に出ているのはお母様には内緒でした。マリアと私だけの秘密です。
「行ってらっしゃい、姫様」
今日も楽しいお仕事に向かいます。姫様なんて呼ぶのはマリアだけです。
照れくさいけれど、悪い気分ではありません。

例のトリティア皇国からのご指名問題は、外交官執務室で、かなりの騒ぎになりました。みんな、ホートレス大使に対して苦手意識があったようです。
それでいて、大国であるトリティア皇国
の専属はうらやましいという気持ちもあるようで、複雑な方もいたようです。

「素晴らしいわ。あなたの能力は!そして、謙虚な姿勢も。」
エバーズ外交官がにこにこと褒めてくださいます。
うれしくて、私は飛び跳ねたい気分でした。
「ありがとうございます、エバーズ外交官。一生懸命頑張ります」

「ところでね、トリティア皇国から、お客様がいらっしゃることになっているの。これはあなたが勤める前から決まっていた話です。いらっしゃっるのは前皇帝陛下とお孫様のランドール皇子。
来週から2週間滞在予定です。普段の仕事は今日中に引き継いで2週間はべったりトリティア皇国一行にくっついて、いろんな業務を行ってほしいのよ」
トリティアからの高貴なお客様。いったいどんな方々でしょうか。楽しみでしかたありません。
「はい!頑張ります!」
まずは引き継ぎです。
ワクワクしますね。みなさまも、ご期待なさって。なーんて。ふふふ。
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