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第七話
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リュエルは、今の自分の感情がわからなくなっていた。今まで異性を意識したことはなかった。けれど、アリサはちがう。いつもいつも気になる。ただ、最初はアリサがすっかり幼くなっているから、守ってあげなくては、と反応しているだけだと思っていた。
けれど幼い言動とはいえ、アリサの本質は変わらないのではないかと思う。
誰にでも優しくて、しっかりしていて、人を幸せな気持ちにさせたい人。今のアリサから、リュエルはそんな風に思っていた。それが正しいかはわからない。リュエルが感じた姿だ。
リュエル・イルマンは公爵家の次男に生まれた。プラチナブロンドにスフェンのようにキラキラした緑眼。
生まれにも容姿にも恵まれた。家族にも恵まれ、16歳の今まで、何かに本気で困ったりつらい目にあったことはなかった。婚約者がいないのは、18歳の兄の婚約者が決まらないためだ。
兄も両親も高望みをしているわけではない。
ごく普通の花嫁を探していた。兄の容姿もリュエルほどではないが、なかなかの美男だった。
だから、申し込みは捨てたくなるほど来ている。だが、公爵家に縁づきたいだけで、本人達の相性重視のイルマン家にとってよい縁談がなかなか見つからないのだ。
リュエルは学園の二年生で、将来をどうするか真剣に悩んだ結果、魔力が強いのを生かした宮廷魔術師を目指している。
一年生で学んだ魔法の中に治癒魔法があり、適正は真ん中くらいだが、ある程度の傷なら治せるようになった。アリサの怪我は深すぎて、リュエルの魔法では応急処置しかできなかった。
本物の治癒魔術師が来るまで、ハラハラしたのを思い出す。
学園に戻ったら、もう少し治癒魔法を習いたいと今は思っている。
アリサとの出会いは、一年前になる。アリサが入学してすぐの頃だ。
バーグマン子爵の商会はかなり羽振りがよく、その娘だったら、プライドの高い嫌なタイプかもしれないなと思っていた。その日リュエルは、普段あまり人のいないところで昼食を食べようと思って、中庭に行った。
そして見てしまった。
制服姿の少女が木に登っていた。
上の方から、にゃーにゃーと猫が鳴いている。猫を助けようとして木に登っているのだとわかったリュエルは、危ないから、自分がかわろうとした。
だが、変なタイミングで声をかけてしまうと、令嬢が危ないかもしれない。
女子の制服はスカートだから、下から覗くわけにもいかず、悪いタイミングでないことを祈りつつ、声をかけた。
「危ないから、私が登ろうか?」
「ありがとうございます。あと少しだから、大丈夫ですわ」
そして、少し待っていると、猫を連れた少女が降りてきた。
リュエルは、少女に好感を持った。
けれど幼い言動とはいえ、アリサの本質は変わらないのではないかと思う。
誰にでも優しくて、しっかりしていて、人を幸せな気持ちにさせたい人。今のアリサから、リュエルはそんな風に思っていた。それが正しいかはわからない。リュエルが感じた姿だ。
リュエル・イルマンは公爵家の次男に生まれた。プラチナブロンドにスフェンのようにキラキラした緑眼。
生まれにも容姿にも恵まれた。家族にも恵まれ、16歳の今まで、何かに本気で困ったりつらい目にあったことはなかった。婚約者がいないのは、18歳の兄の婚約者が決まらないためだ。
兄も両親も高望みをしているわけではない。
ごく普通の花嫁を探していた。兄の容姿もリュエルほどではないが、なかなかの美男だった。
だから、申し込みは捨てたくなるほど来ている。だが、公爵家に縁づきたいだけで、本人達の相性重視のイルマン家にとってよい縁談がなかなか見つからないのだ。
リュエルは学園の二年生で、将来をどうするか真剣に悩んだ結果、魔力が強いのを生かした宮廷魔術師を目指している。
一年生で学んだ魔法の中に治癒魔法があり、適正は真ん中くらいだが、ある程度の傷なら治せるようになった。アリサの怪我は深すぎて、リュエルの魔法では応急処置しかできなかった。
本物の治癒魔術師が来るまで、ハラハラしたのを思い出す。
学園に戻ったら、もう少し治癒魔法を習いたいと今は思っている。
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そして見てしまった。
制服姿の少女が木に登っていた。
上の方から、にゃーにゃーと猫が鳴いている。猫を助けようとして木に登っているのだとわかったリュエルは、危ないから、自分がかわろうとした。
だが、変なタイミングで声をかけてしまうと、令嬢が危ないかもしれない。
女子の制服はスカートだから、下から覗くわけにもいかず、悪いタイミングでないことを祈りつつ、声をかけた。
「危ないから、私が登ろうか?」
「ありがとうございます。あと少しだから、大丈夫ですわ」
そして、少し待っていると、猫を連れた少女が降りてきた。
リュエルは、少女に好感を持った。
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