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第四話

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診察の結果、アリサは身体的には時々激しい頭痛に見舞われるが、それ以外は問題なかった。公爵家での高度な治癒魔法のおかげだ。頭痛以上に問題なのは、記憶喪失だ。医者が確認したが、かなりひどい記憶喪失で、名前どころか、日常生活に支障をきたすほど、覚えていない。
令嬢として教育された所作はもちろん、簡単なカトラリーの使い方すら覚えていない。小さな子に戻ってしまっている。
感情もそれに引っ張られるのか、アリサらしさはほとんど残っていなかった。
「しばらく様子を見るしかありませんな」
そう医者に言われて、リュエルはバーグマン子爵に連絡した。

駆けつけたバーグマン子爵は取り乱していたが、アリサと対面して、さらに取り乱した。
「こんにちは。おじさんはだれ?」
実の娘に名乗る日が来るとは。バーグマン子爵は、衝撃を受けた。
「アリサ。おじさんじゃないよ。アリサのお父様だ」
「そうなの?」
頼りな気に揺れる瞳はリュエルだけを映している。
それでも、バーグマン子爵は、公爵家のおかげで命拾いしたことへの感謝を告げ、改めてアリサを連れ帰りたいと申し出た。
見知った場所の方が、アリサの記憶が、戻ると思ったのだ。

リュエルはバーグマン子爵を応接室に案内した。
「アリサ嬢は今、小さな子どものようだ。子爵家に戻るのがよいのか、正直わからない。ここなら、治癒魔法はすぐ使える上、医者はすぐ呼べるし、メイドを張り付かせて24時間対応できる。それにらアリサはここで目覚めた。今の状態のアリサには邸を変えるのはよくない気がする」
バーグマン子爵も考えた。先ほどのアリサの様子。実の父よりもリュエルを見ていた。
「私もどちらがよいのか迷っています。ただこちらに長くいたら、公爵家に迷惑をかけてしまいそうです。リュエル殿。
アリサには婚約者がいます。噂は勝手なものです。リュエル殿に変な迷惑をかけてしまうのではないでしょうか?」

「それは心配ない。ただ、ファイアット家については調べる必要を感じている。
アリサを乗せた馬車は落下するようなところではなかった。馬車に細工がしてあったのではないだろうか?」
トルイン・バーグマン子爵は、自分も同じことを考えていた。
また、リュエル・イルマンが魔法の天才で、治癒魔法も得意なことを考える。
「しばらくアリサをお預けしてもかまいませんか?リュエル殿に迷惑がかからないのであれば」
「問題ない。学園はしばらく休みます。なるべくアリサと一緒にいます」
こうして、アリサは公爵家に滞在することになった。


ーーー
甘々になるはずが汗
次かな?
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