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第六話
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ギルドマスターは、しばらく考えたが、
殿下の言い分を聞き、まずは、カティアに話してみることにした。
「何を言ってるの?こんなとこに殿下がいるわけないでしょう?」
トルタナティス殿下の名前を出すと、頬を赤くしたカティアは全否定した。
「それがなぁ、ギルドの応接室でカティアを待ってる」
ギルドマスターが嘘をつかないことをカティアは知っている。
「着替えたら行くわ」
カティアはトルタナ殿下に、冒険者の服装を見られたくなかった。
着替えて、ドキドキと胸を高鳴らせながら、ギルドへ向かった。
まさかまた会える日が来るなんて。
信じられない気持ちでいっぱいだ。
「こちらの部屋だ」
ギルドマスターに案内され、カティアはトルタナ殿下のいる部屋の扉を開けた。そこにはカティアを見て柔らかな笑顔を浮かべる殿下がいた。
「カティア。やっと会えたね」
「殿下は新しい聖女様とご婚約されると聞きました。なぜここへいらしたのですか?」
カティアはトルタナ殿下に会えてうれしかった。けれども、婚約者交代のことは忘れていなかった。
「いや、新しい聖女様は弟と婚約した。私はカティアの婚約者のままだよ」
でも、聖女様が…と言おうとすると、
トルタナ殿下はカティアに告げた。
「私は王族の身分を捨ててもカティアと一緒にいたい」
「カティア?」
トルタナ殿下に呼ばれているのに
カティアは顔を上げられないほど
真っ赤になってしまった。
トルタナ殿下は今なんて?
王族の身分を捨てる?カティアと生きる?
そんなのは無理だ。
「私は殿下の未来を奪いたくありません。今の私は殿下にふさわしくありません」
「ふさわしいかどうかなんて、どうでもいい。カティアは私をどう思う?」
そんなの決まってる。カティアは叫ぶように言った。
「お慕いしています」
トルタナ殿下はさらに優しく笑んだ。
「では、何の問題もない。私は身分を捨て、カティアと共に冒険をしよう」
カティアは驚いた。トルタナ殿下が冒険者に?そんなことできるのだろうか。
殿下の言い分を聞き、まずは、カティアに話してみることにした。
「何を言ってるの?こんなとこに殿下がいるわけないでしょう?」
トルタナティス殿下の名前を出すと、頬を赤くしたカティアは全否定した。
「それがなぁ、ギルドの応接室でカティアを待ってる」
ギルドマスターが嘘をつかないことをカティアは知っている。
「着替えたら行くわ」
カティアはトルタナ殿下に、冒険者の服装を見られたくなかった。
着替えて、ドキドキと胸を高鳴らせながら、ギルドへ向かった。
まさかまた会える日が来るなんて。
信じられない気持ちでいっぱいだ。
「こちらの部屋だ」
ギルドマスターに案内され、カティアはトルタナ殿下のいる部屋の扉を開けた。そこにはカティアを見て柔らかな笑顔を浮かべる殿下がいた。
「カティア。やっと会えたね」
「殿下は新しい聖女様とご婚約されると聞きました。なぜここへいらしたのですか?」
カティアはトルタナ殿下に会えてうれしかった。けれども、婚約者交代のことは忘れていなかった。
「いや、新しい聖女様は弟と婚約した。私はカティアの婚約者のままだよ」
でも、聖女様が…と言おうとすると、
トルタナ殿下はカティアに告げた。
「私は王族の身分を捨ててもカティアと一緒にいたい」
「カティア?」
トルタナ殿下に呼ばれているのに
カティアは顔を上げられないほど
真っ赤になってしまった。
トルタナ殿下は今なんて?
王族の身分を捨てる?カティアと生きる?
そんなのは無理だ。
「私は殿下の未来を奪いたくありません。今の私は殿下にふさわしくありません」
「ふさわしいかどうかなんて、どうでもいい。カティアは私をどう思う?」
そんなの決まってる。カティアは叫ぶように言った。
「お慕いしています」
トルタナ殿下はさらに優しく笑んだ。
「では、何の問題もない。私は身分を捨て、カティアと共に冒険をしよう」
カティアは驚いた。トルタナ殿下が冒険者に?そんなことできるのだろうか。
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