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第三話
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大きな街アルカルドに着くと、すぐにカティアはギルドへ行った。何事もなく、すんなりと冒険者に登録することができた。1番低いFランクからだ。
カティアはダンジョンに入っても、しばらく様子見で何もしなかった。
新入りへの注目度の高さは感じていた。
けれど、カティアは慎重に取り掛かった。
カティアがいなくなったお城では騒ぎが起きていた。
「カティアがいないではないか。私の宝石。私のすべて。どこへ消えたのだ」
トルタナティス殿下が城中を探し回っている。まだ自分の名前をうまく発音できず、トルタナ殿下と甘い声で呼ぶ、可愛い妹のようでもある、愛らしい未来の我が花嫁。
昨日忙しく働いていて会うことができなかった。その間に何かが起きた。トルタナ殿下は嫌な予感しかしないまま、聖女の部屋へ向かった。
「なんだって。カティアが聖女ではない?だからなんだ?私の婚約者に変わりはない。カティア以外と結婚するくらいなら、王位継承権などくれてやる」
「殿下、落ち着いてください。次代の聖女は別にいたのです。その娘が殿下の本当の婚約者です」
「カティアはどこへ行った?他の婚約者などいらない。私にはカティアだけだ」
聖女はこうなることがわかっていた。トルタナティス殿下の執着はわかりやすい。だから、カティアに先にあきらめさせたのだ。嘘をついて。
ただ、思ってた以上にトルタナティス殿下はカティアに骨抜きにされていた。
たしかに、カティアは可愛い。
造形はもちろんだが、人の懐に入るのがうまい。特に頑固で気難しい人を無意識に落としてしまう。
外務大臣は誰に対しても厳しい人だが、
カティアのことは孫のように可愛がっていた。どこかへ行くたびにお土産を持ってくるほどに。
聖女だって、カティアが好きだ。娘のように思っている。次代の聖女を大事に育てるつもりだが、カティアのようには可愛がれないだろう。カティアにしかない魅力があるのだ。
トルタナティス殿下をどう落ち着かせたものか、聖女フィリシアは悩んでいた。
その頃、カティアは、初めて魔物に挑んでいた。そう強い魔物ではない。
カティアの火魔法は無詠唱だし、魔法に詳しくないものにはその強力さがわからなかったかもしれない。
だが、見る目のあるものはルーキーは相当に強いと理解した。カティアに仲間にならないか?と交渉するパーティーが一気に集まった。
カティアはダンジョンに入っても、しばらく様子見で何もしなかった。
新入りへの注目度の高さは感じていた。
けれど、カティアは慎重に取り掛かった。
カティアがいなくなったお城では騒ぎが起きていた。
「カティアがいないではないか。私の宝石。私のすべて。どこへ消えたのだ」
トルタナティス殿下が城中を探し回っている。まだ自分の名前をうまく発音できず、トルタナ殿下と甘い声で呼ぶ、可愛い妹のようでもある、愛らしい未来の我が花嫁。
昨日忙しく働いていて会うことができなかった。その間に何かが起きた。トルタナ殿下は嫌な予感しかしないまま、聖女の部屋へ向かった。
「なんだって。カティアが聖女ではない?だからなんだ?私の婚約者に変わりはない。カティア以外と結婚するくらいなら、王位継承権などくれてやる」
「殿下、落ち着いてください。次代の聖女は別にいたのです。その娘が殿下の本当の婚約者です」
「カティアはどこへ行った?他の婚約者などいらない。私にはカティアだけだ」
聖女はこうなることがわかっていた。トルタナティス殿下の執着はわかりやすい。だから、カティアに先にあきらめさせたのだ。嘘をついて。
ただ、思ってた以上にトルタナティス殿下はカティアに骨抜きにされていた。
たしかに、カティアは可愛い。
造形はもちろんだが、人の懐に入るのがうまい。特に頑固で気難しい人を無意識に落としてしまう。
外務大臣は誰に対しても厳しい人だが、
カティアのことは孫のように可愛がっていた。どこかへ行くたびにお土産を持ってくるほどに。
聖女だって、カティアが好きだ。娘のように思っている。次代の聖女を大事に育てるつもりだが、カティアのようには可愛がれないだろう。カティアにしかない魅力があるのだ。
トルタナティス殿下をどう落ち着かせたものか、聖女フィリシアは悩んでいた。
その頃、カティアは、初めて魔物に挑んでいた。そう強い魔物ではない。
カティアの火魔法は無詠唱だし、魔法に詳しくないものにはその強力さがわからなかったかもしれない。
だが、見る目のあるものはルーキーは相当に強いと理解した。カティアに仲間にならないか?と交渉するパーティーが一気に集まった。
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