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その日もアリスは魔力のコントロールの練習をしていた。
毎日必ずこの練習から始めていた。
場所は、孤児院の庭。広い建物に見合う広い庭があるのだ。

「姫様!!!」
その叫び声とともに、数人がやって来て、アリスを囲んだ。
突然のことにアリスは、魔力コントロールをいったんやめた。暴走してはまずい。

「やっと、やっと、お探しすることができました。ミアンナ姫。」
アリスに初老の男性が話しかけてきた。
「ミアンナ王女、あの日からずっと、探し求めておりましたが、10年も経ってしまいました」
若い青年が、アリスのもとに跪き、泣いていた。

アリスは混乱した。何が起きたの?

「姫様は誘拐されたのです。10年も前になります。身代金をすぐに払ったにもかかわらず、姫様は行方不明になっていたのです」
「ミアンナ王女、生涯を捧げお守りすると決めていたのに、10年もかかってしまいました。罰をお与えください」

アリスの混乱は深まるばかりだ。
この人たちは、いったい誰なのだろう。
「私はただの孤児のアリスです。人違いです。お帰りください」
やっと言葉にできた。

「いいえ、その魔力の色や香りは、アダール国の王族にしか使えない特別な力なのです。」
「アリス様がミアンナ王女であることは間違いありません」
「ミアンナ姫が、魔力を使い始めたから、どこにいらっしゃるかわかったのです」
「特に最初になさっている魔力のコントロールをするときが、1番それぞれの魔力の差が出やすいのです。そのおかげでこうして、やっと姫様を迎えに来ることができました。」

「あの‥それが本当なら、私を捨てたのは両親ではないのですか?」
アリスは混乱したまま、尋ねた。ずっと苦しんできたことだ。
「当たり前です!この10年、陛下たちは1日たりとも、姫様を思わない日はありませんでした。」
「今日もふたりは王宮から飛び出しそうになっていたのですが、すぐにお迎えに行くのでと説得して我々がやって来たのです」

アダール国は隣の国だ。アリスのいるところから、そう遠くない。
言葉も同じだし、友好国だった。
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