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アリスと言う名前は、シスターたちがつけてくれた。アリスが捨てられたときにはアリスを入れる籠しかなかった。アリスは名前もつけてもらえなかったようだ。

優しいシスターの多い孤児院に入れたことは運がよかった。雪の日に凍死しなくてよかった。
アリスは窓を拭きながら、自分が生まれたばかりのときのことを考えた。

もちろん記憶にはない。孤児院の玄関で
泣いていて、運良くシスターのひとりが気づいてくれた。そうでなかったら、凍死していた。何度考えても、こわかった。

孤児院では、みんなで分けて家事をする。年齢によって、やれることを分担する。お金はないけれど、みんなで協力し合って、仲良く暮らしている。質素なご飯に服だけど、不満に思ったことなどない。

世の中にはもっと贅沢をして、両親にかわいがられている子どもがいると知ってからも、うらやましくはなかった。
シスターたちは厳しくて優しい。
たくさんいる子どもたちが仲良く暮らせるのはシスターたちの教育のおかげだ。

この孤児院にはたくさん寄付してくれる貴族が多かった。いつも貧乏でギリギリの生活をしているけれど、寄付のおかげで、ここには家庭教師がやって来る。
子どもたちが将来困らないように、いろいろな勉強ができる。
シスターたちからも読み書きや簡単な計算は習っていたけれども、それ以上の難しいことも教えてもらえるのだ。

家庭教師は魔法も使える。
魔法が使えるかどうか孤児たち全員をテストしたことがある。そのとき、アリスをテストした先生は、とても驚いていた。

後日、シスターに呼び出されたアリスは、院長室に行った。
そこにいた家庭教師からの説明によると、アリスの魔力は信じられないほどの量で、平民ではありえないものだというのだ。
しかし、アリスは捨てられた子どもであることしかわからない。
魔力量なんて知らない。

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