3 / 3
第三話
しおりを挟む
ミタルカは覚悟を決めて、ナダリヤからの婚約破棄の申し出を待っていた。
けれど、あの告白からずいぶんとたつのに、ナダリヤは動かない。
ミタルカはだんだん腹が立ってきた。
「不誠実だわ」
自分にもルミア嬢にも。
ナダリヤは何を考えているのだろう。
自分と婚約していながら、ルミア嬢に告白し、自分との婚約破棄の申し出もない。
「今まで何を見てきたのかしら」
ミタルカはナダリヤに直接尋ねることにした。
「ナダリヤ、あなた、ルミア様が好きなんでしょう?私が嫌いになったなら、なぜ婚約破棄をしないの?」
ナダリヤは慌て始めた。
「それは、いや、そんなんじゃなくて」
「私、ルミア様に告白しているあなたを見たわ」
更に重ねるとナダリヤはまます困惑してるようだった。
ミタルカはわけがわからず、ナダリヤの返事を待った。
「ルミア嬢に好意を持っていることは否定しない。だけど、告白は罰ゲームだっんだ。君と結婚するつもりなのは変わらないよ」
「嫌よ。ルミア様が好きなあなたと結婚なんてできない」
「政略結婚に好きも嫌いもないんだ」
「いいえ。たとえ罰ゲームだとしても、あなたはルミア様に告白した。そして、彼女が好き。私とはお別れよ」
ナダリヤはその後も考え直してほしいとしつこかった。ミタルカは父に報告し、ナダリヤとの婚約をなかったことにしてもらった。
ため息が出たが、仕方ない。
好きな人には本当に好きな人と幸せになってほしかった。
そして、自分も。
いつの日かまた、ナダリヤと同じくらい、いや、それ以上好きになる人がきっといる。
ミタルカはそう信じている。
けれど、あの告白からずいぶんとたつのに、ナダリヤは動かない。
ミタルカはだんだん腹が立ってきた。
「不誠実だわ」
自分にもルミア嬢にも。
ナダリヤは何を考えているのだろう。
自分と婚約していながら、ルミア嬢に告白し、自分との婚約破棄の申し出もない。
「今まで何を見てきたのかしら」
ミタルカはナダリヤに直接尋ねることにした。
「ナダリヤ、あなた、ルミア様が好きなんでしょう?私が嫌いになったなら、なぜ婚約破棄をしないの?」
ナダリヤは慌て始めた。
「それは、いや、そんなんじゃなくて」
「私、ルミア様に告白しているあなたを見たわ」
更に重ねるとナダリヤはまます困惑してるようだった。
ミタルカはわけがわからず、ナダリヤの返事を待った。
「ルミア嬢に好意を持っていることは否定しない。だけど、告白は罰ゲームだっんだ。君と結婚するつもりなのは変わらないよ」
「嫌よ。ルミア様が好きなあなたと結婚なんてできない」
「政略結婚に好きも嫌いもないんだ」
「いいえ。たとえ罰ゲームだとしても、あなたはルミア様に告白した。そして、彼女が好き。私とはお別れよ」
ナダリヤはその後も考え直してほしいとしつこかった。ミタルカは父に報告し、ナダリヤとの婚約をなかったことにしてもらった。
ため息が出たが、仕方ない。
好きな人には本当に好きな人と幸せになってほしかった。
そして、自分も。
いつの日かまた、ナダリヤと同じくらい、いや、それ以上好きになる人がきっといる。
ミタルカはそう信じている。
0
お気に入りに追加
42
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
【完結】いい子にしてたら、絶対幸せになれますか?
ここ
ファンタジー
ナティアンヌは侯爵家の長女だが、不器量で両親に嫌わられていた。
8歳のある日、とうとうナティアンヌは娼館に売り払われてしまった。
書いてる言語とかは無茶苦茶です。
ゆるゆる設定お許しください。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
とある王国の公爵令嬢を巡る騒動について
書記長
ファンタジー
とある王国の公爵家の長女・フレデリカは早くから王太子の婚約者になっていて、王太子からも愛されていて周囲からも将来の王妃に相応しい女性だと思われていた。
ところが、実家の公爵家では公爵の後妻が産んだ次女のブロンウィンが溺愛され、姉のものを何でも欲しがっては横取りをし、両親である公爵とその夫人(後妻)はそれを放置するどころかフレデリカに婚約者の地位をブロンウィンに譲れと迫り、更に夫人が育児放棄した三女のブリアナの子守をさせる有様であった。
そんなある日、フレデリカは侯爵家のお茶会に招かれたが、それを知ったブロンウィンは姉だけが招かれたことに反発して侯爵家に押しかけて強引にお茶会に参加する。ところが、フレデリカに出されたお茶を強引に奪って飲んだブロンウィンが突然苦しみだして息絶えてしまう。明らかに王太子の婚約者であるフレデリカの命を狙った毒殺事件であったが、最愛の娘を喪った公爵はフレデリカが妹に嫉妬して殺害したと信じて彼女を地下室に幽閉した上で、宰相に「娘の犯罪」を告発したのである。
唖然とする話を無理矢理聞かされた宰相の視点から見た事件の顛末。
因果応報以上の罰を
下菊みこと
ファンタジー
ざまぁというか行き過ぎた報復があります、ご注意下さい。
どこを取っても救いのない話。
ご都合主義の…バッドエンド?ビターエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる