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第三話

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ミタルカは覚悟を決めて、ナダリヤからの婚約破棄の申し出を待っていた。
けれど、あの告白からずいぶんとたつのに、ナダリヤは動かない。
ミタルカはだんだん腹が立ってきた。
「不誠実だわ」
自分にもルミア嬢にも。
ナダリヤは何を考えているのだろう。
自分と婚約していながら、ルミア嬢に告白し、自分との婚約破棄の申し出もない。
「今まで何を見てきたのかしら」

ミタルカはナダリヤに直接尋ねることにした。
「ナダリヤ、あなた、ルミア様が好きなんでしょう?私が嫌いになったなら、なぜ婚約破棄をしないの?」
ナダリヤは慌て始めた。
「それは、いや、そんなんじゃなくて」
「私、ルミア様に告白しているあなたを見たわ」
更に重ねるとナダリヤはまます困惑してるようだった。

ミタルカはわけがわからず、ナダリヤの返事を待った。
「ルミア嬢に好意を持っていることは否定しない。だけど、告白は罰ゲームだっんだ。君と結婚するつもりなのは変わらないよ」
「嫌よ。ルミア様が好きなあなたと結婚なんてできない」
「政略結婚に好きも嫌いもないんだ」
「いいえ。たとえ罰ゲームだとしても、あなたはルミア様に告白した。そして、彼女が好き。私とはお別れよ」

ナダリヤはその後も考え直してほしいとしつこかった。ミタルカは父に報告し、ナダリヤとの婚約をなかったことにしてもらった。
ため息が出たが、仕方ない。
好きな人には本当に好きな人と幸せになってほしかった。
そして、自分も。
いつの日かまた、ナダリヤと同じくらい、いや、それ以上好きになる人がきっといる。
ミタルカはそう信じている。
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