俺カノ

緒夢 來素

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絶望

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「生まれてこなきゃ良かったってのかよ!!」

十七歳の誕生日。俺は、親の反対を押し退けて家を飛び出した。


祖母と二人で暮らし始めて、半年くらいが経とうとしていた... ...

「おばあちゃん?まだ寝てるの?先にご飯食べてるよ?」今日はバイトが入っていない事をいい事に、俺は夜更かしをした。起きたのは十時を少し回っていた。

今日も祖母の返答はない。熟睡しているのか、また俺を脅かそうとしてるのか。
あまりにも起き上がる気配が無く、俺は少し嫌な予感がした。

「おばあちゃん!おばあちゃん!」
走って駆け寄って祖母の体を揺すった。

微かに息があり、額が少し熱をもっていた。あいにく家に解熱剤が無く、俺は慌てて救急車を呼んだ。
「おばあちゃん、今救急車呼んだから!」祖母の上体をゆっくり起こし、コップに入れた水を祖母の口に含ませた。

「和くんや、ありがとね」
救急車に運ばれ、俺は祖母と一緒に救急車に乗り病院へ向かった。

「あの!祖母は大丈夫ですよね!ただの夏風邪ですよね!」救急車が病院に着くなり、俺は看護師や先生に必死になって聞きに行った。

病院は母、父、兄に連絡をし、今病院に向かっているとのことらしい。

どこか暗い表情を浮かべる先生や看護師は、祖母の様態を確認するなりなにやら、深刻そうに話し合っていた。

俺は、ますます不安になって居てもたってもいられなくなった。

待合室に座り、親の到着をじっと待った。

少し喉が乾いた俺は、自動販売機へ飲み物を買いに行き、待合室に戻った。
そしてしばらく経った頃、ようやく家族が到着した。

母は俺を見つけるなり、俺の前に立っては「和鷹、おばあちゃんは?」
そりゃまぁ、一言目はそれだろうな。俺は、何も言わず立ち上がり、祖母の病室へ案内した。

病室に着き、部屋に看護師と先生を含め、祖母を囲むようにして担当医の先生と、二人の看護師が立っていた。

担当医の"柳田先生"は、深刻そうな顔で「御家族の方ですね、恐らく今日いっぱいが... ...」一人の看護師が深くお辞儀をし、その場を去った。

家族全員で祖母を囲むようにして最後を看取った。

「和くんや、ありがとうね」あれが祖母が俺に掛けた最後の言葉になっただなんて、今朝の段階では想像もしていなかった。

母は祖母の病気を知らなかったのか、関心がなかったのか、あるいは祖母自信が母に伝えていなかったのか。今となっては、何一つ分からない。

  翌日。母は俺に「和鷹、これからどうするつもりなの?どうせ一人暮らしなんか出来る訳無いんだから、早く帰ってきなさい」俺は、母の何処か冷たい目をした表情が、いつも怖かった。母と父は、俺を理解しようとはしてくれなかった。何を考えているか分からないし、今都会に帰ったところで、そのに俺の"居場所"無い。

俺は何も言わず、母に背を向けて病室を後にした。
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