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3章 成れの果て

負の連鎖

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俺が高校一年に進学し、はや三ヶ月が経過する。今は絶賛夏休み中というところだ。クラスメイトは浮かれ、騒ぎ、彼女や彼氏などと現を抜かす人も増えてくる時期。

俺はそんな高校に入ったものの、馴染む事が出来なかった。

俺は何をしたというのか、県を跨ぎ転校した俺は大き過ぎる環境に押し潰されそうになっていた。

次第にクラスメイトから避けられるようになり、虐められるようになって行った。

「こんな事なら、親に反発してでも地元の高校に行けば良かった」

後悔し、俺は今日も一人で家に帰る。

家に帰っても特にする事がなかった俺は、帰り道にある兄の居る病院に足を運んだ。

兄の様態は思ったよりも軽く、入院してから三ヶ月近くが経とうとしていた。

俺は病室に入るなり兄の様子を伺う。

「にしても、元気そうでよかったよ!早く退院して芳江さんに会いに行ってあげなよ」

ベッドの横の椅子に座り、俺は兄の肩を叩きながらそう言った。

「おう、心配かけて悪かったな!もうすぐ退院出来そうだから、それまで芳江には内緒で頼むな」

兄は抗癌剤で髪が無くなったのか、深くニット帽を被っていて少し笑えた。

元気だからこそ笑える。生きているから未来の約束だって出来るのかもしれない。
「うん、その件は任せて!」

しばらくして病室を出て家に着く。

夏休みの宿題に取り掛かり、勉強机の椅子に腰を掛ける。

「早く芳江さんに会いたいな」

高校で、ある日突然クラスメイトの女子に告白を受けた。

俺の頭には一人、幼馴染の芳江さんしか居なかった。振る事は必然だった。他の異性に関心は無く、その人がどんな人なのかさえ考えもしなかった。

男子からの誘いも大抵断ってきた俺は、目を付けられるのも仕方がなかったのかもしれない。

よくある話だろう。

クラスで人気一位の男子がモテる女子に告白をし振られる。

そこでモテる女子と言われていた通称"姫"が俺みたいな日陰者に告白してきた。

なんの罰ゲームなのかは理解に苦しむところではあったが、俺は考え無しに彼女を振った。

その事が学年中に噂となり、噂は伝染病の如く早く広まって行った。"姫"呼ばれる女子生徒の付き人のような人に、俺は終業式体育館裏に呼び出される。

「君は"姫様"に告白されただけでも有難く思いなさいよね!にも関わらず、せっかくいただいた告白を無下にするなんて何様?馬鹿なの?あんたみたいな人が相応しい筈がないわ!身の程を知りなさい!」

それからというもの二学期になるのが怖くなった。

「夏休みが永遠に終わらなければ良いのに」

そして夏休みが終わり二学期に入る。

・・・ ・・・

「俺、何か悪いことでもしたって言うのかよ!なんで俺がこんな事されなきゃならないんだよ!」

それから"イジメ"が始まり、気づいた時には俺の居場所は此処には無かった。

それから半年ぐらいの間、繰り返す机の落書き、無視、考えるだけで吐き気がするような嫌がらせが続き、我慢が限界に達し家に籠るようになった。

「なんで俺がこんな目に合わなければなんねえんだよ!」

悔しさと悲しみが入り交じり、楽しかった頃の地元での思い出に浸りながら毎晩のように部屋で泣いていた。

「早く地元に戻りたい」
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