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第二章 本当の気持ち
夏休みの宿題
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プールから一週間以上が過ぎた頃、俺と柚葉はいつもの公園で残りの夏休みの過ごし方について話し合っていた。
「今年で花火大会終わっちゃうね」
少し寂しそうにしてベンチで意気消沈していたのは、瀬良柚葉である。
「そうだなぁ。花火大会いつだっけ?」
花火は確かに綺麗だとは思う。近くで見る花火は体の中に響くようで、小さかった頃はただ怖かったけど、今となっては感動に変わっていた。
最近になって好きになった花火が、今年で無くなると聞いた時は、寂しくてたまらなかった。
「和くん、学校で紙配らてたの見てないの?今年は八月だよ?」
例年七月の末に開催していた花火大会は、今年は何故か一ヶ月ズレて開催することになったらしい。学校で配られるプリントは、ほとんど見ずに捨てていたから覚えていなかった。
「そっか。今年も行こうな花火大会。... ...柚葉?今俺の事なんて言った?」
少し、ぼーっとしていてハッキリと聞こえていなかったから、彼女に確認する。
「えー、もう一回?仕方ないなぁ~...和くん」
どこか恥ずかしそうに、俺の名前を呼んだ。
「恥ずかしいなら言わなきゃいいじゃん」
初めて呼ばれた名前に、反応が遅れたが、言われた俺まで恥ずかしくなったーーーーーー
今日は八月の二十日。俺は夏休みの宿題に手をつけていなく、今になって焦っていた。
「やべぇ!もう一ヶ月も過ぎたってのに、何もしてねぇ!!!」
俺は芳江さんに宿題を教えてもらおうと、家にチャイムを鳴らしに行くと。
「和鷹ですけど、芳江さんいますか?」
インターホン越しに聞こえた声は、芳江さんの母親だった。
「あら、和鷹くん?芳江なら、お兄さんと図書館に行ったわよ?」
俺は兄に対して、疑問と苛立ちを抱いていた。
「兄ちゃんは、芳江さんのこと...好きなのかな?付き合ってないんだよな...」
一人だと進まない課題を、俺は柚葉と片付けるべく彼女の家に向かう。
流石夏と言うべきか、蝉の鳴き声が至る所で響き鼓膜を振動させる。
ジリジリと焼けるような日差しが、頭の旋毛辺りを直撃していた。
「太陽と月って、いつも俺達を追い掛けて来るよな...」
バシンッ!!
「痛っ!!」
「何を臭い事言ってるの?うちの家の前でバカ言ってないで、早く入って入って」
「お邪魔します」
柚葉の家は、とても良い香りがした。
部屋に誘導され、中に入るとそこは女の子らしい空間で、改めて女なんだと思わされるものだった。白いカーテン、ピンクのベッド、赤のクッション。初めて彼女の家に入ったので異常なまでに緊張している。
「お茶淹れてくるね」
「お、おう」
何故か自然と正座してしまう俺を見て、クスリと笑いながら彼女たちは言う。
「くつろいでていいよっ」
男子が女子の部屋で、それも二人きりの空間。俺はゴクリと唾液を飲み込む。
柚葉が階段を上がるなり
「和鷹くん、今両手塞がってるからドア開けてもらっていいかな?」
急いでドアの方に移動して、ゆっくりと開ける。
ガチャ... ...彼女と顔が近かった。
「あ、ありがとう」
「おっ、おう...」
俺は後ろに下がり、部屋の中に戻る。
沈黙が続き、俺は話を切り出した。
「宿題って柚葉は、もう終わってるのか?」
「うちは、ほとんど終わってるかな?後は読書感想文くらいだよ」
流石彼女と言うべきか、俺が怠惰なだけなのか。
彼女はお盆を宿題をするテーブルとは別の机に置き、心配そうに俺を見ながら
「せっかくの夏休み宿題で潰れちゃうのは勿体ないし、デート中に宿題が残ってたら楽しめないよっ!うちで良かったら手伝うからさ!早く終わらせちゃおうよ!」
そう言って俺は、柚葉に教えて貰いながら宿題を片付けていった。
「今年で花火大会終わっちゃうね」
少し寂しそうにしてベンチで意気消沈していたのは、瀬良柚葉である。
「そうだなぁ。花火大会いつだっけ?」
花火は確かに綺麗だとは思う。近くで見る花火は体の中に響くようで、小さかった頃はただ怖かったけど、今となっては感動に変わっていた。
最近になって好きになった花火が、今年で無くなると聞いた時は、寂しくてたまらなかった。
「和くん、学校で紙配らてたの見てないの?今年は八月だよ?」
例年七月の末に開催していた花火大会は、今年は何故か一ヶ月ズレて開催することになったらしい。学校で配られるプリントは、ほとんど見ずに捨てていたから覚えていなかった。
「そっか。今年も行こうな花火大会。... ...柚葉?今俺の事なんて言った?」
少し、ぼーっとしていてハッキリと聞こえていなかったから、彼女に確認する。
「えー、もう一回?仕方ないなぁ~...和くん」
どこか恥ずかしそうに、俺の名前を呼んだ。
「恥ずかしいなら言わなきゃいいじゃん」
初めて呼ばれた名前に、反応が遅れたが、言われた俺まで恥ずかしくなったーーーーーー
今日は八月の二十日。俺は夏休みの宿題に手をつけていなく、今になって焦っていた。
「やべぇ!もう一ヶ月も過ぎたってのに、何もしてねぇ!!!」
俺は芳江さんに宿題を教えてもらおうと、家にチャイムを鳴らしに行くと。
「和鷹ですけど、芳江さんいますか?」
インターホン越しに聞こえた声は、芳江さんの母親だった。
「あら、和鷹くん?芳江なら、お兄さんと図書館に行ったわよ?」
俺は兄に対して、疑問と苛立ちを抱いていた。
「兄ちゃんは、芳江さんのこと...好きなのかな?付き合ってないんだよな...」
一人だと進まない課題を、俺は柚葉と片付けるべく彼女の家に向かう。
流石夏と言うべきか、蝉の鳴き声が至る所で響き鼓膜を振動させる。
ジリジリと焼けるような日差しが、頭の旋毛辺りを直撃していた。
「太陽と月って、いつも俺達を追い掛けて来るよな...」
バシンッ!!
「痛っ!!」
「何を臭い事言ってるの?うちの家の前でバカ言ってないで、早く入って入って」
「お邪魔します」
柚葉の家は、とても良い香りがした。
部屋に誘導され、中に入るとそこは女の子らしい空間で、改めて女なんだと思わされるものだった。白いカーテン、ピンクのベッド、赤のクッション。初めて彼女の家に入ったので異常なまでに緊張している。
「お茶淹れてくるね」
「お、おう」
何故か自然と正座してしまう俺を見て、クスリと笑いながら彼女たちは言う。
「くつろいでていいよっ」
男子が女子の部屋で、それも二人きりの空間。俺はゴクリと唾液を飲み込む。
柚葉が階段を上がるなり
「和鷹くん、今両手塞がってるからドア開けてもらっていいかな?」
急いでドアの方に移動して、ゆっくりと開ける。
ガチャ... ...彼女と顔が近かった。
「あ、ありがとう」
「おっ、おう...」
俺は後ろに下がり、部屋の中に戻る。
沈黙が続き、俺は話を切り出した。
「宿題って柚葉は、もう終わってるのか?」
「うちは、ほとんど終わってるかな?後は読書感想文くらいだよ」
流石彼女と言うべきか、俺が怠惰なだけなのか。
彼女はお盆を宿題をするテーブルとは別の机に置き、心配そうに俺を見ながら
「せっかくの夏休み宿題で潰れちゃうのは勿体ないし、デート中に宿題が残ってたら楽しめないよっ!うちで良かったら手伝うからさ!早く終わらせちゃおうよ!」
そう言って俺は、柚葉に教えて貰いながら宿題を片付けていった。
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