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序章
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しおりを挟む「…知らない天井だ」
人生の中で言ってみたいセリフのうちの一つを言い、目をパチパチさせる。
目の前には真っ白で清潔そうな天井があった。
下半身の気持ち良さと居心地の悪さにまだぼんやりする意識に鞭を打ち視線をそこに向けると、そこには見知らぬ男が俺のそれをしゃぶっていた。
「…は?えっ!?な、何やって…!?」
「起きたか、進藤晃。何って見て分からないか?」
キラキラ輝く金の髪に深い青の瞳のキラキラなイケメンが俺のをしゃぶってる意味なんて分かるわけない!
いくらイケメンとはいえ男にそんなことされる趣味はなく、慌てて男を引き剥がした。
そばにあった枕で下半身を隠し、キッと男を睨み付ける。
「ふっ、そんな顔をするな、気持ち良くしてやっただけだろう?」
赤い舌をぺろりと出したその妖艶な姿に思わず赤面する。そんな趣味ないはずなのに、イケメンっていうのはどうしてこうも罪作りなんだ。
居心地の悪さに辺りを見回すと、天井と壁は真っ白で寝かされているでかいベッドも真っ白、そしてベッド以外には何もないだだっ広い空間だった。
俺はどうしてこんな場所にいるんだ?
このイケメンに誘拐されたのか?
そんな俺の困惑を見透かしたように男は話し出す。
「困惑しているようだな、無理もない。一つずつ説明しようじゃないか。まず進藤晃、お前は元いた世界で死んだ」
……は?死んだ?
事故にあった記憶もなければ大きな怪我や病気も経験のないこの俺が?
「寝ている間に心臓発作だ、一瞬の出来事だった」
「そんな…!」
信じられない。この変態に誘拐されましたって方がまだ説明がつく。
「そして私はお前の魂に惚れ、地球の輪廻の輪から無理やり引き剥がしこちらの世界へ持ってきたのだ。驚いたか?」
こちらの世界?まるでここが異世界だとでも言いたげな言い回しだ。
「そうだ、わかってるじゃないか。ここはお前たちのいうところの異世界…アスティアエレクだ」
突然惚れたとか連れてきたとか、そんなの誘拐と変わらないじゃないか!…っていうか今俺の心を読まなかったか?
「俺はアスティアエレクの神だからな。心を読むぐらい造作もない」
神!?この変態が!?
「…さっきから心外だな。せっかくお前が大好きな剣と魔法の世界に転生させてやろうと言うのに…このまま私の夜伽係にしてやってもいいのだぞ?」
「剣と魔法の世界!?」
剣と魔法、と聞いて俺はガバッとイケメンに迫った。するとイケメンは少し顔を赤くして目をそらした。
「そう、お前が憧れる剣と魔法の世界だ。小説とかラノベによくある設定のな」
「ありがとうございます神様!」
セクハラされたとか自称神とか死んだとか拉致されたとかどうでもよくなった。憧れていた剣と魔法の世界に行けるんだ!ラノベでよく読んでいた異世界転生ものだ!
「な、なんだ、やけに素直になったものだな。可愛いじゃないか」
変態もとい神は俺の様子を見てふふ、と笑う。
その間にもぞもぞとズボンと下着を履き直し、佇まいを正した。未だに勃ちあがったままの自身は見ないふりをする。
「それではアスティアエレクに送るにあたっていくつか加護を授けよう」
「はいはい!インベントリと魔法適性と鑑定と身体強化と剣術スキルとサーチスキルをください!それと…」
「待て待て待て!いくら私がお前に惚れてるとはいえ何でもかんでも無制限にやるわけにはいかない!」
「ケチ」
俺の言葉に神はごほん、と咳払いをした。
「アスティアエレクには魔物が闊歩している。故にそのままで放り出されてはすぐに死んでしまうだろう。【身体強化】と【魔法適性】はサービスしてやる」
「さすが神様!太っ腹!」
「ふふ、そうだろう?」
俺がよいしょすると神は嬉しそうに得意げにした。
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