どーも、反逆のオッサンです

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カンナ王朝編

第141話 どーも、旅路2です

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前書き

前回のあらすじ

化け物モンスターを退治する主人公


本文


 広大な草原で昼食をしたおっさんです。揚げたての唐揚げは美味しいね。食休みにスマホを操作し、周囲をビデオ機能で観察する。距離は分からないが、城壁がしっかりしている街とみすぼらしい柵があるだけの村がいくつか確認出来た。その情報をユリさんとヨリさんに共有し、どの村に行くか相談する。

 「2人ともスマホで見たと思うけど、どの村に立ち寄る?」

 不思議そうな顔をしているヨリさんから質問を受ける。

 「城壁がしっかりしている街ではなくて、なぜ村なのですか?」

 「街にいい思い出がないから。可能であれば、適当な村で食料調達をする予定。」

 ユリさんは、俺に賛成とばかりに首を縦に振る。

 「分かりました。食料はまだ余裕がありますし、最悪泊まれる場所があればいいですね。」

 「そうだね。ヨリさんが納得してくれたということで街には寄らず、街から少し離れた村に行こう。」

 2人から承諾を得て、適当な村の方へ歩く。昼食中、化け物モンスターは出なかったが、進行方向にチラホラ見える。荒野の化け物モンスターと毛色が変わり、毒性粘魔ポイズンスライム子鬼ゴブリンといった低レベルの化け物モンスターが草原に多く生息しているようだ。

 「少量の魔力解放で化け物モンスターが寄ってこなくなるんだな。魔力制御の練習にもなるし一石二鳥。法国の守護者のグレンみたく、魔力制御を行い高密度に練り上げれるだけで、攻撃、そして防御も出来るようになる。借りをきっちり返しておきたいし、やることが山積みだ...」

 「ふふっ。ケンさんには、多くの好敵手ライバルがいるものね。私も足でまといにならない為にも、鍛錬を欠かさない。」

 拳を握りしめ、魔力を練り上げるユリさん。可視化出来る魔力が少しずつ拳に集約されていくが、息を吐いた瞬間、魔力が発散してしまう。ヨリさんも同様の現象が起きている。

 「む、難しいです。練り上げるのに集中してしまい、他のことが疎かになってしまいます。」

 ヨリさんの言う通り、練り上げることに集中してしまう為、敵の攻撃を躱したりすることが出来ない。それに、練り上げるまでに時間がかかりすぎている。グレンは、息をするかのように自然と出来ていた。まるでそれが普通であるかのように。

 (一点集中した攻撃は出来るが、それは単に魔力を集めただけ。魔力を練る...そもそも練るという行為自体違うのか?はぁ、こればっかりは試行錯誤していくしかないな。)

 「ケンさん、ヨリ。2人は、私と比べてMPの量が少ないのだから、程々にしなさいよ。」

 ユリさんからの指摘を受け、1番MPが少ない俺は鍛錬をやめる。2人が鍛錬に集中出来るよう、周囲の警戒は俺が担当する。スマホのビデオ機能で観察しながらではあるが...。
 程なくして、ユリさんとヨリさんは鍛錬を中断し、歩く速度を上げる。このペースなら恐らく日没までには村に着くと思われる。

 「少し気になることがあるんだけど...」

 俺の言葉に2人がそれぞれ反応してくれる。

 「何かしら?」

 「何でしょうか?」

 「2つあって、1つ目は、街と村の格差。2つ目、草原と荒野との境について。2人は、1つ目の街と村の格差についてどう思う?」

 スマホに映し出されている街の城壁は、他の国と遜色なく、それなりの強度がありそう。一方で村は、頼りない柵があるだけ。子鬼ゴブリンでも、木材で出来た柵なら壊せるはず。まるで街を守るための肉壁(村)として存在しているようにも思える。
 俺の問いにヨリさんが答える。

 「ケンさんが言う格差という表現が正しいかは分かりかねますが、恐らく身分の差でしょう。農民、開拓民、奴隷、人間とは異なる種族。このどれかにあてはまる身分の者が壁の外で住んでいると思われます。この世界では生まれた瞬間から身分の差があります。正直に言えば、平等ではないです。」

 「私もヨリと同じ考え...というより知識の1つとして学んだわ。人間の集落は、精細かつ大胆であると。街へ入りたければ、それなりのもの納めなければならない。それが出来ないのであれば足止めとして化け物モンスターに食われろ。刷り込み教育っと言うものかしら。そして、街の中でも同じ。城壁の中で暮らしたいなら働かなくてはならない。それは、学問、剣術など役に立たなければならない。まるで小さな世界ね。」

 「へぇー。理にかなった統治だね。弱肉強食の世界。まぁ、俺は嫌いな統治だけど。参考になったよ。それじゃあ、2つ目の草原と荒野の境はなんだと思う?」

 境界線のようにくっきり草原と荒野の堺があり、別世界と言っても過言ではない。荒野の化け物モンスターが、草原の化け物モンスターを殺して領土を広げていてもおかしくない。

 「うーん。私には分かりません。そういうものだと思うだけですね。」

 ヨリさんは、自然に出来たものだと考えているみたい。

 「あくまでも私の仮説だけど、いいかしら?」

 「どうぞ。」

 「草原にいる化け物モンスターは、人間が意図的に配置しているのではなくて?」

 ユリさんは、ヨリさんとは真逆の考えをしたらしい。人為的に化け物モンスターを飼い慣らすことで、荒野の化け物モンスターに対する壁のひとつにする。

 「なるほど。そういう考えもあるのか...」

 ユリさんの考えに驚きと感心をもってヨリさんが返事をする。

 「もし、その仮説が正しければ、あの街を統治している者は優秀ですね。化け物モンスターには化け物モンスターですか。思いもつかない発想ですね。」

 本当に統治者としては、優れていると思う。下手したら、あの街も壁のひとつかもしれない。なんにせよ、警戒はしておくべきだね。

 「情報収集の大切さを公国で知った。無策に村に行くのは得策ではないかもしれない。隠密スキルを使用して村に入ろう。」

 「了解。」

 「はい。」

 さて、真相はいかに…


後書き

次回 村
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