どーも、反逆のオッサンです

わか

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サツキ公国編

第125話 どーも、狂人です

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前書き

前回のあらすじ

主人公 ユリさんの掛け声に少し見惚れる


本文


どーも、弾除けに敵兵を盾にしているオッサンです。
ライフルに弾を装填している間にもう1人の騎士が狙撃、それを交互に行う。ありふれた戦法だが、地味にウザい。ただ、ライフルに込められている魔力は少ないから、二次被害が出ることはなさそう。


『隠密』


隠密スキル発動させ、狙撃手の狙いを外す為に敵陣営の中をジグザグに動き近づく。
俺の姿を視認出来なくなった敵が動揺しているのが、顔の表情や声でよく分かる。
探せ!!という号令とともに、散っていく兵士。
市街地での戦闘で、建物を使わない、使うことが出来ないのか、それとも...

「どちらにせよ、道が空いた。号令を出した人間がライフルを持っている。指揮官が持つことを許されているのか?」

騎士の一部は、ライフルを持つ指揮官を護衛するかのように周りを固めている。
思考を止めるな、俺。考えろ。
魔法を使わなくて済むなら、それに越したことはない。この先も戦闘は続くと思うし、どうする?どうすれば楽に...

「俺の姿が見えていない、レベル差があり力も俺の方が上と想定するならば暗殺一択だな」

マジックバッグから暗器(針)を取り出す。
針と言っても30cm程の長さがあり、首を貫く鋭利さを兼ね備えている。昔の日本の手裏剣の1つでもある。
確実に仕留める為に、身体能力向上スキルと隠密スキルが発動している今がチャンス。
重い鎧を着ているムキムキの男でも、首周りを保護している訳では無い。最悪、頸動脈を傷つけることが出来ればいい。

「まず、1人目...」

隠密スキルを極めれば音すら消せるのではないかと思っているが、今の自分には出来ない。
ただ、騎士の鎧がカチャカチャと音がしているおかげで足音が少ししてもバレない。
空気の振動で気づかれるかもしれない。だから、一撃にこだわりライフルを持つ指揮官の前に立つ騎士の首に針を刺す。
刺したらすぐ次の標的に向かって刺す。
目の前で何が起きたのか分からないまま指揮官の1人が首に針が刺さった状態で倒れ伏す。

「近くに!近くに仮面の反逆者がいるぞ!!」

もう1人の指揮官は、叫びながら俺から距離を取るために後方へ大きく飛ぶ。

「残念で無能な指揮官だな。飛んだら回避出来なくなるじゃんか...」

後方へ大きく飛ぶのは良いかもしれないが、着地する前に俺が指揮官の目の前に移動する方が早い。身体能力の差が大きく開いているからという至極当たり前の理由なんだけどね。

「アッ...」

正確に頸動脈を狙っているつもりだが、念の為、さらけ出している顔の額にも針を刺す。
後方に飛んだ勢いのまま、地に伏す指揮官。
ライフルを拝借して、先程殺した指揮官の方へ歩く。

「ゼロ!」

ようやく、群れから抜け出したようだな。
ユリさんとネイレスさんが指揮官を守っていた騎士を斬殺してから俺と合流する。

「アインス、ツヴァイ。お疲れ様。最後の援護助かったよ。また、血まみれになっちゃったね」

「ふふ。仕方ないわよ。それより、そのライフル...私のと似ているわね」

「そうだね。少しデザインは違うけど、構造は同じだと思う。2丁あるから、2人に1つずつ渡しておくよ。ツヴァイ、貸している銃を返して」

ネイレスさんが顔を横に振り、俺の目を見つめ、

「ゼロ、私の戦闘スタイルを考えると銃の方がいいと思います。この銃、私が持つことはダメですか?」

「ツヴァイが、それが良いと判断したのであればそのまま持っていていいよ。俺は...ライフルの使い道があんまりない。とりあえず、マジックバッグにしまって保管しておくか。あっ!」

昨日、宿泊した家のゴミが大量にあるんだった。
どこかで処理しないと...

「ゼロ?どうしたのですか?」

俺の声に警戒を強める2人に、手を振り、

「いやいや、大したことじゃないよ。ゴミを捨てないとなーて思っただけだから。驚かせてごめん」

指揮官とその周りにいた高位の騎士が死んだことにより兵士たちが逃げていく。まだ生きている騎士も、自分の命が優先とばかり兵士を押しのけながら逃げていく。

「王宮まで近いようで遠いなぁ。アインス、周囲にまだ人間はいる?」

「居るわよ。家の中で怯えている者や、私たちに斬られて満足に動けない人間が」

「ふふ、これで私たちへの恐怖がひとつ刻まれました。散々、私を批判していた人間が恐怖で身を震わせているのを見ると笑えますね。アハハはは」

「相当ストレスが溜まっていたようね。さっきも、笑いながら斬っては殴って踏んで蹴り飛ばしたいたから...私も故郷という因縁の地で暴れたらツヴァイみたいになるのかしら」

「きっと、アインスもこうなるよ。俺もなると思うし、客観的に見れば狂人にしか見えないだろうね。敵を殺すことは、俺たちが幸せに感じるくらいだから」

屍を踏み潰しながら、俺たちは王宮の方へ歩く。
こんなことして意味があるのか、後に後悔するか分からない。でも、どれだけ殺しても心が痛くならない。
やはり俺は狂っているのかも...



後書き

次回 ネイレス母
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