どーも、反逆のオッサンです

わか

文字の大きさ
上 下
101 / 145
サツキ公国編

第101話 どーも、発情です

しおりを挟む
前書き

前回のあらすじ

主人公 窮地に陥る


本文


どーも、ユリさんにひざ枕してもらっているオッサンです。
ネイレスは服を着て俺の顔を濡れた布で拭いてくれる。これ、介護やん。っと内心思いつつ甘える。ユリさんとネイレスさんの優しさが心に沁みるぜ。

「ありがとう、ネイレスさん。ところでさっきはなんで服着ていなかったの?」

顔を拭き終わり、桶に布を浸し布についた血を落としているネイレスさんに問う。頬を赤くしながら答えてくれる。

「その、ユリに治癒をしてもらう際に服を脱いだのです。私も血を流しすぎて身体が動かなかったのですが、ケンさんが帰ってきたことを知って、いても立ってもいられず裸体のままお出迎えしてしまったという...とても恥ずかしい行動をしてしまいました」

「そうか。無理しなくていいよ。今、辛かったら横になっててもいいし」

「いいえ、私のせいでケンさんとユリを傷つけてしまいました。とても心が痛いのです」

「あれは海龍のせいだろ?ユリさんに止められていなかったら、俺はネイレスさんを殺すつもりでいたし、感謝するならユリさんにして」

「ありがとうございます、ユリ」

横になっているからネイレスさんの顔しか見れない。ユリさんがどんな顔をしているか身体を動かし確認してみる。あ、ニヤけている。

「どうしたの?私に何か言ったかしら?」

「ユリ、貴女、顔がニヤついていますよ。何を考えていたのです?」

ネイレスさんの感謝の言葉は聞こえていなかったようだ。ニヤついているユリさんがネイレスさんの問いに、更に顔を歪めて唇を舌で舐めてから答える。

「ふふふふふ。今日、ケンさんと同衾するのよ。それもケンさんからのお誘い!これがニヤけられずにいられるかしら?いや、出来ないわ!興奮するに決まっているわ!!」

「同衾!!?ちょっと、ユリ!ずるいです!」

勝ち誇った顔でネイレスさんを見るユリさん。優越感があるようにも見える。

「これは、私へのご褒美よ。ネイレスは、安静にしなさい。もう海龍が貴女に憑依することはないはず。安心して一人で寝てちょうだい」

「えっ?ユリさん、海龍が憑依しないって何処の情報?」

ユリさんが言った海龍について聞く。

「なぁに?ケンさん、知りたいの?」

俺の顔に手を当て撫でる。口元に指が当たり、麗色な表情を浮かべるユリさん。

「指を吸ってくれるなら教えてあげるわよ?ケンさん...うふ、ふふふふ」

どうせ、神龍のリンさんから教えてもらったんだろ?お節介焼きのリンさんのことだ。ネイレスさんを治癒する時にユリさんと話した。うん、これしか考えられない。でも、血が欲しいからユリさんの指を吸おう。

「あむ。ユリさん、血ちょうだい?」

「はぁ、はぁはぁ、はぁ、素直なケンさん好き...待ってて、今、指の腹を切るから!」

「ちょーっと!私を除け者にしないでください!!私も混ぜて!!」

ネイレスさんが、俺の服をめくり塞がったと思われる弾が貫通した傷口を舐める。

「な、何しているのよ!?ネイレス!わ、私もケンさんの身体舐めたいわ!」

「うるはいでふ。けんさんのちをふきとっているのです」

あー、そろそろ止めないと...食われる。

「二人とも、落ち着いて。まず海龍のことを聞かせて。ね?」

「分かったわ。はい、この指から血を吸って」

俺はユリさんの指を咥えて血を飲む。相変わらず、不思議な味だな。

「ふふ。リンから海龍のことを教えてもらったの。ケンさん、シャロンが使っていた断魂の神炎を海龍に当てたでしょ?あの魔法で憑依できる力が削がれたらしいわ」

「そんな都合の良いことあるか?確かに魂に作用する魔法を行使したけど...って、ネイレスさんおへその下舐めるのやめて?」

「うふふふふふふ。美味しい。ずっと舐めていたいです...」

あー、収拾がつかん。誰か助けて!


コンコン


願いが通じた!!珍しい。
この隠れ家を知っているのは、プルトスさんか商会の者しかいないはず。

「ネイレスさん、悪いけど訪問者の確認お願い」

「はい、任せてください!」

俺はユリさんにも声をかけ、身体を起こしてもらう。

『プルトスでございます、急な訪問すみません』

「ネイレスさん、念のため警戒をして」

俺の言葉に頷き、ネイレスは予備の剣に手を当てながら扉を開ける。

「ほ、ほ、ほ、ほ。ネイレス女王陛下がお出迎えとは、相変わらずケン様の周りは華やかですな」

「確かにそうかも、ははは。先の戦闘で身体が動かないんだ。この態勢で申し訳ない。どうぞ、俺の前の席に座ってくれ」

「ありがとうございます。では、失礼致します」

ユリさんとネイレスさんは俺の隣に座り、目の前のソファーにプルトスさんが座る。

「水とお茶、どちらがいいかな?プルトスが良ければ、ワインでもいいけど」

「そうですなぁ...この後、大きな商談が入っておりますのでお水にしましょうか」

俺はユリさんに目をやると、ユリさんが頷き、グラスに水を注ぐ。ドリンクの提供は基本だな。

「今回は、すまなかった。俺たちが王宮から宝を盗んでくる予定だったのに。手を煩わせてしまって、申し訳ない」

「ほ、ほ、ほ、ほ。構いません。直接、現場に行き仕入れをするのと変わりません。ネイレス女王陛下に頂いた短剣のおかげで宝物庫が開きました。刀身が鍵になっているという情報は本当だったのに驚きましたよ」

「へぇー、そうなんだ。その様子だと結構拝借したと見えるけど?」

「ええ、それはそれは。宝物庫を空にするほどに。ほ、ほ、ほ、ほ。ケン様がレスト王を引きつけてくれたおかげでもあります。こちらをどうぞ」

マジックバッグを渡され中身を確認するために、手を突っ込む。

「煙草と白金貨?」

「はい。お約束していた煙草、それとケン様が嵌めていらっしゃる指輪の代金です」

海龍の魔力が込められていた指輪のことか?

「ネイレスさん、これ売っていい?」

「構いません。もう、私に必要ないものですから」

ネイレスさんの目には、海龍の指輪を非難しているように見える。あんなことがあったんだ。当事者としては、嫌な代物だろうね。

「それじゃあ、はい。プルトスさん」

指輪をプルトスさんに渡す。俺たちにとって呪いのアイテムだ。代わりに魔力を貯めておく指輪をネイレスさんに渡しておく。嬉しいそうな顔でネイレスさんが左薬指に嵌める。

「ケンさん?私には?」

「痛い、イタイ。つねらないで!ちゃんと、もう一つあるから!はい」

ユリさんの機嫌を直しつつ、指輪を左薬指に嵌めてあげる。機嫌が戻ったのを確認してからプルトスさんと話をする。

「ケン様、お支払いした金額を確認しなくても宜しいのですか?」

「ネイレスさん、確認宜しく頼むよ」

プルトスさんの目の前で確認するネイレスさん。中々、数え終わらない。もういいや。

「ネイレスさん、その辺りでいいよ。数百枚以上はありそうだし、今後の資金に当てようか」

「はい、分かりました。海龍の指輪は、それだけの価値があるんですね?」

ネイレスさんの質問に頷くプルトスさん。

「そうか。今回は武器の相性が良かったから海龍に憑依したネイレスさんを撃退出来たけど、本体には敵わないだろうな。もっと強くならなければ。そういえば、馬車はどうなった?」

「御者席に屋根を設置することは完了致しました。いつでもお返し出来る状態でございます。ただ...」

「どうしたのさ?」

「困ったことに、現在公国から出れないのです。大きな商談というのは、レスト王でして。商人から武器を巻き上げると言われてまして、門を封鎖しております。それと、仮面の殺人者が早くも指名手配されていますよ。ほ、ほ、ほ、ほ。愉快、愉快」

「困ったように見えないんだけど。あれだけの事をしたんだ。指名手配くらいされるよなー。それにしても門を封鎖って、俺たちを逃さないつもりかな?」

「十中八九そうでしょうな。ただ、神殿関係者だけは裏門から出れるらしいです」

「ふーん。そうか。キサラ法国との戦争について何か情報はあるか?」

「今のところございません。ケン様が持ってこられた情報が最新でございますね」

外部との接触を絶ってしまって大丈夫なのか?ネイレスさんから聞いたレスト王は、あまり頭がいいように思えないし...これだけは聞いておかないと。

「プルトスさんたちはいつ頃この国を出るんだ?」

「この国から出れないと言った側から...まるで出ることが当然のようにお聞きになる。私はただの商人でございますよ?」

「はっ、よく言うよ。アンタならこの国を出るくらい造作もないだろ?」

「私だけなら可能ですが、ふむ。そうですな、3日後ですかね」

顎髭を触りながら答えるプルトスさん。3日後か...

「分かった。明後日、馬車を引き取りに行くよ。それまでは存分にあの馬車を研究してて」

「ほ、ほ。かしこまりました。では、私はそろそろ王宮に行ってきます」

プルトスさんが立って扉の方へ歩く。その後ろにネイレスさんがついていき扉を開けプルトスさんをお見送りをする。

はぁ、疲れた。もう、今日はゆっくり休みたい。



後書き

次回 M
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

力を失い役立たずとなった私は、王に捨てられ…妃の座まで他の女に奪われる事になりました。

coco
恋愛
ある力を持って居た事で、王の妃に選ばれた私。 でも、今ではその力を失ってしまい…?

買い物帰り

阿沙🌷
BL
好きなひとが家で待っている、それだけでは心は弾む、だが――。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai
ファンタジー
不慮の事故で亡くなった後、異世界に転生した高校生、鬼島迅。 そんな彼が生まれ落ちた家は、貴族。 しかし、その家の住人たちは国内でも随一、乱暴者というイメージが染みついている家。 世間のその様なイメージは……あながち間違ってはいない。 そんな一家でも、迅……イシュドはある意味で狂った存在。 そしてイシュドは先々代当主、イシュドにとってひい爺ちゃんにあたる人物に目を付けられ、立派な暴君戦士への道を歩み始める。 「イシュド、学園に通ってくれねぇか」 「へ?」 そんなある日、父親であるアルバから予想外の頼み事をされた。 ※主人公は一先ず五十後半の話で暴れます。

【完結】敗戦国の戦姫令嬢は生き残るために仇敵皇太子の婚約者になりました

鞍馬子竜
恋愛
王国の辺境を守る貴族、ディゼルド公爵令嬢・ステラリアは、大陸一の帝国からの侵略を防ぐために十代の頃から先陣を切って戦い続けた。何度も帝国の侵略を防ぎ、「戦姫令嬢」としてその名を王国内に轟かせた彼女は、その状況ゆえに誰とも婚約することなく26歳を迎える。そして、ステラリアの奮戦むなしく王国は敗戦した。 戦後の講和会議で、帝国は「ステラリアの身柄を帝国に引き渡すこと」を要求する。結婚もできず、国を守ることもできなかったステラリアは打ちひしがれ、処刑を覚悟で帝国に渡る。そこでステラリアに告げられたのは想像通りの処刑宣告。そして、「俺の婚約者になって条件を達成すれば、お前の処刑は免除してやる」という、帝国皇太子・レイジからの契約婚約提案だった。 レイジは終戦の一年前から戦争に参戦し、あっという間に王国優勢の戦況を覆して帝国に勝利をもたらした、ステラリアにとっての仇敵である。 レイジから出された条件は、「二年以内に、減少傾向にある帝国貴族の領地収入を増加傾向に転じさせれば、処刑を免除して婚約解消してもよい」というもの。仇敵の婚約者になることに悔しい想いはあれど、生き残るには受け入れるしかない。 こうしてレイジの手を取ったステラリアは、生き残るために新たな戦場へと足を踏み入れる。帝国じゅうがステラリアに敵対し、帝国貴族令嬢にとっては婚約者の立場を奪った悪役と見なされる中、頼れるものは自分の身ひとつと、想像以上に気を配ってくれるレイジだけ。ステラリアは今度こそ勝利し、幸せを掴みとることができるだろうか。

我が子を救ってくれたのは私を捨てた男の兄だった。

しゃーりん
恋愛
シャイニーは18歳。両親を亡くした平民だった。 半年前に知り合った男にプロポーズされて体を重ねた後、二度と会うことはなかった。 捨てられたということだ。 しかし、シャイニーは妊娠してしまった。 産んだ子供は魔力が多く、このままでは育たないと言われてしまった。 魔力の多い子供は定期的に魔力を放出する必要がある。 大体は両親どちらかの魔力の波長に合い放出できるが、息子はシャイニーを捨てた男と波長が合ったらしい。 しかし、魔力の放出ができる人が現れて…… 息子を救ってくれた男とシャイニーのお話です。

烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人
ファンタジー
生まれながらに魔力を一切持たずに生まれたエデンは直ぐに跡取り失格の烙印を押されてしまう。幼い頃は気にしなかった烙印だが、成長していくのにつれ次第にその烙印を気にするようになっていく。性格も暗くなり、笑顔を見せなくなったエデンだったが婚約者が出来、エデンの人生は大きく変わった。 だがある日突然その悲劇は起こった。 「君との婚約を取り消したい」 婚約者からまさかの婚約破棄 その悲しさのあまり、エデンに本来目覚める筈のなかった魔力が目覚める。しかしそれは平均ステータスの300を大きく上回る、ALL1000のステータスだった。 こうして最強の力を手に入れたエデンは家を飛び出し、のんびり自由に生きていく……筈だった。 という物語。 題名変更しました 題名について考えてくれた皆さん、本当にありがとうございましたm(*_ _)m ※3月24日、完結しました

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...