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サツキ公国編
第78話 どーも、法国最速です
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前書き
前回のあらすじ
主人公 爆発物を投函する
本文
どーも、軍隊に爆発物を投函したオッサンです。
ゴミの塊を散らしただけの作戦であるが効果的だったようだ。追手が来ない今がチャンス。俺たちは旧道を馬車で駆け抜ける。
「ケンさん、今更な話だけど...きっとキサラ法国は報復に来るわよ?」
「本当、今更な話だね。女王様、今回は仕方ない事件だった。俺たちは無罪だ!」
「何ですか、それ?私に丸投げしようとしてますよね?」
「あははは。その通りだ、女王様!」
「笑っている場合ではありません。私の居場所が特定されたのです。ケンさんもユリも今回のことで標的にされているかもしれないですよ?」
「俺たちは顔を隠していたから大丈夫なはず...えっ?」
神龍眼の空間認識でこちらに向かってくる者を捉える。俺は、咄嗟にバンドルを左にきり光線の斜線上から馬車をそらす。
「おいおいおいおい。マジか...自称神に愛されし男が一人で追ってきてやがる!」
「ケンさん!馬車から降りた方がいいわ!馬車だと的が大きい分、私たちも巻き込まれる!」
馬車を急停止させ、俺たち馬車から降り戦闘態勢をとると同時に、女王様にマジックバックを渡し馬車を仕舞ってもらう。
「ネイレス女王陛下に付き纏う男の名は?」
「イロス...それが神に愛されしと自称する男の名です」
「ひどいなぁ、ネイレス。僕は自称ではなくて本当に愛されているのさ。さあ、こっちへおいで。僕の元に来るんだ」
速い!いつの間にか目の前に現れ、ネイレスに声をかけるイロス。尋常ではない速さ...あり得ない、人間の限界を超えてやがる。
「お前、人間か?」
「誰だい君は?」
「俺は、ノーフェイス。よろしくな」
「ノーフェイス?聞いたことがないな。まあいい。そちらの女性は?」
「私は、フェイス。よろしくしたくないわ」
咄嗟に嘘をついたが、ユリさんもすぐ対応しイロスに答えてくれた。
「そうかい。君たち、悪いがネイレスを引き渡してくれないか?僕の愛しい人なのだ。分かるだろ?」
「何も分からないわ、気持ち悪い」
「うん?僕の魅了が通じない...なぜ?」
「もういいか?ストーカー野郎」
「さっきから言わせておけば...僕のことを侮辱するな!その罪、万死に値する!」
仮面越しからイロスを見ていた俺は神龍眼で奴の動きを捉え、ゴウケツでイロスの剣を受け止める。
キィィイン
「ノーフェイス。君では僕の攻撃を全て躱すことはできない。僕のスピードに絶望して死ね」
消えたように動き回るイロス。まるでハエのようだ。
キィィンッ、ブンッ
一撃目を止め、二撃目は最小限の動きで避ける。何度も斬りつけてくるが、俺は全て避ける。相手が悪かったなイロス。俺のスキル見切りと神龍眼によって全て躱せるんだよ。
「なぜだ!僕の攻撃が当たらない!」
「お前、その靴に魔力を込め放出させて速度を上げているだけだろ?確かに、精密な魔力操作が必要になってくるが...ただ速いだけで目で追えないほどではない。剣も同じ要領で速度をあげているようだが軽すぎる。つまり、お前は俺に勝てない」
「嘘だ!僕の速さは法国最速だ!出鱈目を言うな!」
靴に込める魔力を強め更にスピードを上げるイロス。そんなに込めたら...
「足場が!くそっ!死ねえええ」
キィィインッ
無駄の多い動きをする奴だな。土に足をとられ態勢を崩しながらの剣など受け止めるなんて造作もない。魔力の流れが見える神龍眼では無意味。
「この程度の速さで法国最速とか嘘だろ、お前。あと、変な魔力を俺たちに纏わせるな気持ち悪い」
俺とユリさんは微量な魔力解放を行い、イロスの魔力を弾いている。女王様に至っては、常に微弱な魔力解放をしており全身を守っている。恐らく、先程呟いていた魅力するスキルをイロスが展開していると思われる。
「僕の魔力が見えるのか!卑怯だ...あっ」
俺は、イロスの剣の重心を左手で抑え態勢を崩させ、右手に持つゴウケツでイロスの左足を切り落とす。
「ぎゃあああああああああああ!僕の足がああああああ」
「うるさいなー。そんなに喚くなよ。モンスターが寄ってくるだろ?ほら」
ゾロゾロと大魔猿が俺たちの近くに寄ってくる。その数5体。確か前の森ではLV50だったな。
「良かったな、イロス。大魔猿に愛されし男になれて...じゃあな」
俺たちはイロスと大魔猿から離れ、旧外道を進む。悲鳴が聞こえるが、気にしない。
「なあ、あれが光の神官長なのか?弱かったぞ?」
「ケンさん。貴方のその目、イロスの動きを捉えていたのですよね?私は追いかけるので精一杯でした」
「私もよ。最後の踏み込みの速度は捉えられなかった。ケンさん、何を基準にしているの?」
「ミノスかな。あいつの速さに剣の重さは、あんな神官長の比じゃない。初めに出会った頃なんか、ミノスが振るうだろところに剣を出すのが精一杯だった」
「比較対象の差が違いすぎるわよ。ミノスは、私たちが出会った中で最強よ」
「お二人が話しているミノスという方は何方なのですか?」
「猛牛鬼の支配者。間違いなく最強。今の俺たちでは、攻撃を当てるなんて無理だ」
「猛牛鬼の支配者ですか?初めて聞きます。お二人より強いということは、紛れもなく災厄ですね」
「本当、それね。ケンさんなんか、そのミノスに目をつけられているんだから。笑えるでしょ?」
「笑えねーよ!あんな化け物こっちから願い下げだ!」
大魔猿コングからかなりの距離を離れてから、周囲を警戒しマジックバックから馬車を取り出す。
「もうじき、日が昇る。さっさと馬車に乗って先に進もう」
「そうね。疲れたわ...今日はクリーンの魔法で汚れを落として交互に休みましょう」
俺たちは頷きあい、馬車に乗り込み公国の方へ走り出す。
後書き
次回 旅仲間
前回のあらすじ
主人公 爆発物を投函する
本文
どーも、軍隊に爆発物を投函したオッサンです。
ゴミの塊を散らしただけの作戦であるが効果的だったようだ。追手が来ない今がチャンス。俺たちは旧道を馬車で駆け抜ける。
「ケンさん、今更な話だけど...きっとキサラ法国は報復に来るわよ?」
「本当、今更な話だね。女王様、今回は仕方ない事件だった。俺たちは無罪だ!」
「何ですか、それ?私に丸投げしようとしてますよね?」
「あははは。その通りだ、女王様!」
「笑っている場合ではありません。私の居場所が特定されたのです。ケンさんもユリも今回のことで標的にされているかもしれないですよ?」
「俺たちは顔を隠していたから大丈夫なはず...えっ?」
神龍眼の空間認識でこちらに向かってくる者を捉える。俺は、咄嗟にバンドルを左にきり光線の斜線上から馬車をそらす。
「おいおいおいおい。マジか...自称神に愛されし男が一人で追ってきてやがる!」
「ケンさん!馬車から降りた方がいいわ!馬車だと的が大きい分、私たちも巻き込まれる!」
馬車を急停止させ、俺たち馬車から降り戦闘態勢をとると同時に、女王様にマジックバックを渡し馬車を仕舞ってもらう。
「ネイレス女王陛下に付き纏う男の名は?」
「イロス...それが神に愛されしと自称する男の名です」
「ひどいなぁ、ネイレス。僕は自称ではなくて本当に愛されているのさ。さあ、こっちへおいで。僕の元に来るんだ」
速い!いつの間にか目の前に現れ、ネイレスに声をかけるイロス。尋常ではない速さ...あり得ない、人間の限界を超えてやがる。
「お前、人間か?」
「誰だい君は?」
「俺は、ノーフェイス。よろしくな」
「ノーフェイス?聞いたことがないな。まあいい。そちらの女性は?」
「私は、フェイス。よろしくしたくないわ」
咄嗟に嘘をついたが、ユリさんもすぐ対応しイロスに答えてくれた。
「そうかい。君たち、悪いがネイレスを引き渡してくれないか?僕の愛しい人なのだ。分かるだろ?」
「何も分からないわ、気持ち悪い」
「うん?僕の魅了が通じない...なぜ?」
「もういいか?ストーカー野郎」
「さっきから言わせておけば...僕のことを侮辱するな!その罪、万死に値する!」
仮面越しからイロスを見ていた俺は神龍眼で奴の動きを捉え、ゴウケツでイロスの剣を受け止める。
キィィイン
「ノーフェイス。君では僕の攻撃を全て躱すことはできない。僕のスピードに絶望して死ね」
消えたように動き回るイロス。まるでハエのようだ。
キィィンッ、ブンッ
一撃目を止め、二撃目は最小限の動きで避ける。何度も斬りつけてくるが、俺は全て避ける。相手が悪かったなイロス。俺のスキル見切りと神龍眼によって全て躱せるんだよ。
「なぜだ!僕の攻撃が当たらない!」
「お前、その靴に魔力を込め放出させて速度を上げているだけだろ?確かに、精密な魔力操作が必要になってくるが...ただ速いだけで目で追えないほどではない。剣も同じ要領で速度をあげているようだが軽すぎる。つまり、お前は俺に勝てない」
「嘘だ!僕の速さは法国最速だ!出鱈目を言うな!」
靴に込める魔力を強め更にスピードを上げるイロス。そんなに込めたら...
「足場が!くそっ!死ねえええ」
キィィインッ
無駄の多い動きをする奴だな。土に足をとられ態勢を崩しながらの剣など受け止めるなんて造作もない。魔力の流れが見える神龍眼では無意味。
「この程度の速さで法国最速とか嘘だろ、お前。あと、変な魔力を俺たちに纏わせるな気持ち悪い」
俺とユリさんは微量な魔力解放を行い、イロスの魔力を弾いている。女王様に至っては、常に微弱な魔力解放をしており全身を守っている。恐らく、先程呟いていた魅力するスキルをイロスが展開していると思われる。
「僕の魔力が見えるのか!卑怯だ...あっ」
俺は、イロスの剣の重心を左手で抑え態勢を崩させ、右手に持つゴウケツでイロスの左足を切り落とす。
「ぎゃあああああああああああ!僕の足がああああああ」
「うるさいなー。そんなに喚くなよ。モンスターが寄ってくるだろ?ほら」
ゾロゾロと大魔猿が俺たちの近くに寄ってくる。その数5体。確か前の森ではLV50だったな。
「良かったな、イロス。大魔猿に愛されし男になれて...じゃあな」
俺たちはイロスと大魔猿から離れ、旧外道を進む。悲鳴が聞こえるが、気にしない。
「なあ、あれが光の神官長なのか?弱かったぞ?」
「ケンさん。貴方のその目、イロスの動きを捉えていたのですよね?私は追いかけるので精一杯でした」
「私もよ。最後の踏み込みの速度は捉えられなかった。ケンさん、何を基準にしているの?」
「ミノスかな。あいつの速さに剣の重さは、あんな神官長の比じゃない。初めに出会った頃なんか、ミノスが振るうだろところに剣を出すのが精一杯だった」
「比較対象の差が違いすぎるわよ。ミノスは、私たちが出会った中で最強よ」
「お二人が話しているミノスという方は何方なのですか?」
「猛牛鬼の支配者。間違いなく最強。今の俺たちでは、攻撃を当てるなんて無理だ」
「猛牛鬼の支配者ですか?初めて聞きます。お二人より強いということは、紛れもなく災厄ですね」
「本当、それね。ケンさんなんか、そのミノスに目をつけられているんだから。笑えるでしょ?」
「笑えねーよ!あんな化け物こっちから願い下げだ!」
大魔猿コングからかなりの距離を離れてから、周囲を警戒しマジックバックから馬車を取り出す。
「もうじき、日が昇る。さっさと馬車に乗って先に進もう」
「そうね。疲れたわ...今日はクリーンの魔法で汚れを落として交互に休みましょう」
俺たちは頷きあい、馬車に乗り込み公国の方へ走り出す。
後書き
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