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召喚士
第16話 セーフティポイント
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前書き
前回のあらすじ
災いに見舞われる主人公
本文
エレノアさんに掴まれ引っ張られる形で移動中。どこに向かっているのか全く分からないがレジスタンスと騎士との戦闘箇所を避けている。たまにレジスタンスと遭遇するが、エレノアさんの刺突武器による攻撃で撃退していく。
「ちょ、ちょっと、はぁはぁはぁ。もう走るの限界...休憩しよ?」
エレノアさんみたいに脳のリミッターが外れているわけではないのだから、もっと俺を大切に扱って欲しい。一般人と変わらない体力なんだぞ、俺は!
「そうですね。無理させてしまい申し訳ありません。でも、避難出来る場所が見当たらないのも事実です。」
(この街の人間たちは何処に避難しているんだ?全く出会わないぞ?)
とりあえず、人が居なさそうな廃墟の教会に逃げ込む。ボロボロで天井は、至る所から月の光が差し込んでいる。マジックバッグに入っている水で乾いた喉を潤し、血の匂いが充満している教会の中を観察する。
「おいおい、子供まで手にかけているのかよ。本当に無差別だな。」
エナジードリンクを一気飲みしてキメるエレノアさんは、死体をチラッと見てから息を整え教会に設置してある椅子に腰掛ける。
「エルさん、私たちが逃げている時、この街に住む人間を見かけましたか?」
「見ていない。俺も同じことを考えていたけど、あまりにも不自然。地上にいないということは、地下しかないと思うけど...安直な考えだよなぁ。うーん、大半が殺され、捕まっている可能性もある。」
「私、捕まっている時に聞いたことがあります。人間たちには安全な場所があると。その場所については分からないですが、レジスタンスの連中もセーフティポイントの発見を目的に行動していると考えると無差別に攻撃している説明がつきます。表向きは、無差別に攻撃。本当の目的は隠れている人間どもの居場所の探索。」
「騎士を引き付けている間に、セーフティポイントを探す部隊の展開。かなり大掛かりな作戦...俺たちが作成した犯行声明文で地上に出ざるおえなくなって、2手に別れて行動しているとも考えられるな。中々レジスタンスが動かなかった理由は、セーフティポイントの発見が出来ていなかったから...」
死体を掴み外に投げ捨てるエレノアさん。逞しすぎだろ!俺、触りたくないんだけど。教会にあった死体5人。背が小さいことから子供と推測。大人の死体がない。俺は1度エレノアさんに探索の許可をもらってから教会内部を探っていく。
(立場変わってね?俺とエレノアさんは対等な関係であるはず。確実に下に見られている気がする。くそっ、カフェイン中毒に絶対してやる。)
「ったく、教会内で人を殺すなよな。えーと、ここは...さっきの子供たちの部屋?...かなり厳しい生活をしていたんだな。こんなボロボロの部屋で。力、金、権力がなければ貧相な生活になる。どの世界でも同じだ。」
子供部屋を出て隣の部屋に入る。簡素ではあるが机に椅子、棚には何冊か本が置いてある。しっかり整理整頓がされている部屋。教会の主は、貴重面の性格をしていたらしい。そして、分かりやすい性格でもあるらしい。
「この部屋に全く釣り合わない、きめ細かく縫ってある綺麗な絨毯。如何にも怪しい...何を隠しているのか、何があるのか。とりあえずエレノアさんに報告。」
「エルさん、私なら後ろにいますよ?」
「うぉっ!気配消すの上手になったね…ゴホンっ。教会内にある部屋は、子供部屋とこの部屋のみ。聖堂に何か不審な点はあった?」
頭を横に振り、不審な点がなかったと告げられる。
「エルさんがブツブツ独り言を呟いていましたけど...ふーん、確かに怪しい絨毯ですね。どれどれ。」
どれどれっと言いながら躊躇なく絨毯を剥がすエレノアさん。
(おいおい、罠があったらどうするだよ。少しは警戒しろよ。っ?)
「ふふっ。まさか逃げこんだ先でセーフティポイントに繋がる道を発見出来るなんて。エルさんといるとイベント満載ですね。ふふっ。」
絨毯を剥がし、隠れていた床に嵌められていた蓋を取ると地下への階段があらわれる。都合良すぎじゃない?っと思ってしまう。ご都合主義とか要らねぇんだよ。
「子供を盾に大人が逃げる。道徳もあったもんじゃないな。子供は宝。俺の故郷ではそう言われていたが、恐ろしい国だよまったく…」
蓋を再度床にはめ込み絨毯を敷き直すエレノアさん。このまま突入していくと思っていたから彼女の行動に少し驚く。
「エルさん、この部屋を私たちの拠点にしましょう。」
「それは構わないけど。何を企んでいる?せっかくのセーフティポイントと呼ばれる場所の特定が出来るのに。」
「私は、エルさんみたいに頭が言い訳ではありません。何も思いつかないからこそ、一旦立ち止まって考える時間が欲しいのです。」
(へぇ、客観的に自分を見ている。案外冷静だ。無策に飛び込んでいいことは何もない。もしかしたら死地かもしれない。何事も冷静に判断し行動しなければ、この命が軽い世界では生きていけない。)
「この部屋には窓がありませんので、宿屋のような襲撃はないと思います。エルさんのスキルで何か敵を探知もしくは...」
「召喚、忍び返しと有刺鉄線。これなら少しは時間が稼げると思う。取り扱いに気をつけて。刺さると痛いから。」
「さすがエルさん!早速、私が設置してきます。」
(さて、他にも防犯グッズを召喚するとしよう。)
後書き
次回 侵入者
前回のあらすじ
災いに見舞われる主人公
本文
エレノアさんに掴まれ引っ張られる形で移動中。どこに向かっているのか全く分からないがレジスタンスと騎士との戦闘箇所を避けている。たまにレジスタンスと遭遇するが、エレノアさんの刺突武器による攻撃で撃退していく。
「ちょ、ちょっと、はぁはぁはぁ。もう走るの限界...休憩しよ?」
エレノアさんみたいに脳のリミッターが外れているわけではないのだから、もっと俺を大切に扱って欲しい。一般人と変わらない体力なんだぞ、俺は!
「そうですね。無理させてしまい申し訳ありません。でも、避難出来る場所が見当たらないのも事実です。」
(この街の人間たちは何処に避難しているんだ?全く出会わないぞ?)
とりあえず、人が居なさそうな廃墟の教会に逃げ込む。ボロボロで天井は、至る所から月の光が差し込んでいる。マジックバッグに入っている水で乾いた喉を潤し、血の匂いが充満している教会の中を観察する。
「おいおい、子供まで手にかけているのかよ。本当に無差別だな。」
エナジードリンクを一気飲みしてキメるエレノアさんは、死体をチラッと見てから息を整え教会に設置してある椅子に腰掛ける。
「エルさん、私たちが逃げている時、この街に住む人間を見かけましたか?」
「見ていない。俺も同じことを考えていたけど、あまりにも不自然。地上にいないということは、地下しかないと思うけど...安直な考えだよなぁ。うーん、大半が殺され、捕まっている可能性もある。」
「私、捕まっている時に聞いたことがあります。人間たちには安全な場所があると。その場所については分からないですが、レジスタンスの連中もセーフティポイントの発見を目的に行動していると考えると無差別に攻撃している説明がつきます。表向きは、無差別に攻撃。本当の目的は隠れている人間どもの居場所の探索。」
「騎士を引き付けている間に、セーフティポイントを探す部隊の展開。かなり大掛かりな作戦...俺たちが作成した犯行声明文で地上に出ざるおえなくなって、2手に別れて行動しているとも考えられるな。中々レジスタンスが動かなかった理由は、セーフティポイントの発見が出来ていなかったから...」
死体を掴み外に投げ捨てるエレノアさん。逞しすぎだろ!俺、触りたくないんだけど。教会にあった死体5人。背が小さいことから子供と推測。大人の死体がない。俺は1度エレノアさんに探索の許可をもらってから教会内部を探っていく。
(立場変わってね?俺とエレノアさんは対等な関係であるはず。確実に下に見られている気がする。くそっ、カフェイン中毒に絶対してやる。)
「ったく、教会内で人を殺すなよな。えーと、ここは...さっきの子供たちの部屋?...かなり厳しい生活をしていたんだな。こんなボロボロの部屋で。力、金、権力がなければ貧相な生活になる。どの世界でも同じだ。」
子供部屋を出て隣の部屋に入る。簡素ではあるが机に椅子、棚には何冊か本が置いてある。しっかり整理整頓がされている部屋。教会の主は、貴重面の性格をしていたらしい。そして、分かりやすい性格でもあるらしい。
「この部屋に全く釣り合わない、きめ細かく縫ってある綺麗な絨毯。如何にも怪しい...何を隠しているのか、何があるのか。とりあえずエレノアさんに報告。」
「エルさん、私なら後ろにいますよ?」
「うぉっ!気配消すの上手になったね…ゴホンっ。教会内にある部屋は、子供部屋とこの部屋のみ。聖堂に何か不審な点はあった?」
頭を横に振り、不審な点がなかったと告げられる。
「エルさんがブツブツ独り言を呟いていましたけど...ふーん、確かに怪しい絨毯ですね。どれどれ。」
どれどれっと言いながら躊躇なく絨毯を剥がすエレノアさん。
(おいおい、罠があったらどうするだよ。少しは警戒しろよ。っ?)
「ふふっ。まさか逃げこんだ先でセーフティポイントに繋がる道を発見出来るなんて。エルさんといるとイベント満載ですね。ふふっ。」
絨毯を剥がし、隠れていた床に嵌められていた蓋を取ると地下への階段があらわれる。都合良すぎじゃない?っと思ってしまう。ご都合主義とか要らねぇんだよ。
「子供を盾に大人が逃げる。道徳もあったもんじゃないな。子供は宝。俺の故郷ではそう言われていたが、恐ろしい国だよまったく…」
蓋を再度床にはめ込み絨毯を敷き直すエレノアさん。このまま突入していくと思っていたから彼女の行動に少し驚く。
「エルさん、この部屋を私たちの拠点にしましょう。」
「それは構わないけど。何を企んでいる?せっかくのセーフティポイントと呼ばれる場所の特定が出来るのに。」
「私は、エルさんみたいに頭が言い訳ではありません。何も思いつかないからこそ、一旦立ち止まって考える時間が欲しいのです。」
(へぇ、客観的に自分を見ている。案外冷静だ。無策に飛び込んでいいことは何もない。もしかしたら死地かもしれない。何事も冷静に判断し行動しなければ、この命が軽い世界では生きていけない。)
「この部屋には窓がありませんので、宿屋のような襲撃はないと思います。エルさんのスキルで何か敵を探知もしくは...」
「召喚、忍び返しと有刺鉄線。これなら少しは時間が稼げると思う。取り扱いに気をつけて。刺さると痛いから。」
「さすがエルさん!早速、私が設置してきます。」
(さて、他にも防犯グッズを召喚するとしよう。)
後書き
次回 侵入者
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