上 下
5 / 13

明けの明星と呼ばれる武器に関するざっくりとしたメモ【落書き付き】

しおりを挟む
 RPGや中世風異世界ファンタジー物でよく、
「刃物を持ってはいけない」
 という信仰上の掟縛りプレイがある僧侶系の方がお使いになる武器といえば、メイス|(鎚矛)かフレイル|(連接棍棒)のような殴打系の柄物、ということになります。

 で、そうなると見た目が強そうなこともあって描かれることが多いのが「モーニングスター」と呼ばれる武器でしょう。

 さて、モーニングスターと聞いて、

 こういう(ガ○ダムハンマーっぽい)形状の武器を想像する人が多いかと存じます。

 しかし、どうもコレ、厳密にはモーニングスターとは呼ばないらしいのです。

 こちらは分類するならフレイル|(連接棍棒)の発展系ということになります。
 フレイルは、長い竿の先に金具や鎖で稼働する短い棒を取り付けて、振り回して叩くことで麦や豆なんかを脱穀する農具の殻竿からざお|(唐竿とも)が原型です。
 たとえ農具であっても、棒きれで叩けかれれば痛いですよね。それも、遠心力でぐるっと回ってくる棒ですから、とても痛いでしょう。
 となれば、これで戦おうという思想が成されて当然です。
 そして「穀類を叩く稼働する短い棒」の部分を硬い金属にしたり棘をつけたりして攻撃力を上げようという考えに至るのも、また必然です。
 こうして農具が|(殺傷能力を強化された上で)武器に転用されたわけです、多分。

 で。
 実際に上掲イラストのような「棘付き鉄球」をぶん回す形態のもの使用されたかどうか……実は不明だというのです。
 どうにも「強そうに見える飾り物」だった可能性もある、ということのようです。
(いや、実際「強い武器として用いられていた」という可能性もある……という両論併記で逃げを打つ)


 さて、上掲のような|(ガ○ダムハンマーっぽい)形状のものがモーニングスターでないとするなら、本来のモーニングスタートはどんな物であったのか、というお話になります。

 こんなんです。

 棒の先に棘付きの鉄の塊を取り付けた物、です。
 英語でモーニングスター(morning star)、ドイツ語でモルゲンシュテルン(Morgenstern)。
 13~4世紀ごろのドイツで生まれたこの武器は、第一次世界大戦頃まで現役で働いていたといいます。
 なにしろ、銃や大砲や爆弾のように攻撃時に大きな音がしませんから、塹壕戦で大活躍だったとのこと。

 さて、こちらのモーニングスターは、棍棒の発展系であるメイス|(鎚矛)のさらなる発展系です。

 先ほど「農具だって叩けば痛い」と申し上げましたが、タダの棒きれだって叩けば痛い訳です。
 棒で叩くと痛い|(棍棒)→叩くとこを硬くしたり重くしたらもっと痛い|(メイス)→トゲトゲつけたらスゴイ痛い|(モーニングスター)
 という進化の末に、この形の武器になったのでしょう。


 さて、モーニングスターには「聖なる水を散布する物――ホーリーウォータースプリンクラー」という愛称|(?)があります。

 これは、
「敵の相手の頭をぶん殴ると、【聖なる水|(つまり『血液』)】がまき散らされる」
 というブラックなジョークなのでありました。

 いやぁ、戦争って怖いですね……。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

【完結】記憶を失くした旦那さま

山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。 目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。 彼は愛しているのはリターナだと言った。 そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。

処理中です...