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兵勢篇 第五
兵勢篇・絵描きさんはCMYK+白の五色だけで総てを描けるっす。
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いや、オレ思うんですけども。
将軍さんがすっごい大人数の軍隊を引っ張ってるのに、まるで、
「あれ? ちょびっとの人間を引率してるのかなー」
ってぐらいにイイカンジにまとめられてるって時は、最高にイイ案配でチーム分けができてるんじゃないか、ってことなんですよ。
例えば、すっごい大人数で戦ると、こっちで出した命令とか作戦とかがあっちの端っこの方まで行き渡るのに、どえらく大変だったりするでしょ? 右へ行け、って指示出してから、実際右に進むまでに熱燗が冷酒になっちゃうくらい時間が掛かっちゃったりする。これ、結構イラつきますよね。
もしグループの人数が少なければ、右に進めって言えばすぐ全員が右に行くし、左って合図すればずぐに左に曲がれちゃう。
コレ、普通の軍隊なら当たり前の話。
だから、もし、凄ーく大人数を動かして戦ってるって言うのに、まるで少ない人数で戦ってるみたいに兵隊さんがスムーズに動けてるとしたら、合図とか連絡系統とかのモロモロの決め事がビシッと填まってるってコトなんじゃないですかね。
こういう軍隊、良いっすよねー。
軍隊全体の兵隊全員が、敵さんチームに上手いこと対応して、負けずにいられる……こういう理想的な動きの出来る軍隊は、奇策と正攻法を、その場に応じてちゃんと使い分けているんですよね。
中までカッチカチな石ころを、殻の薄い卵にぶつけちゃったら、割れますよね、ぐしゃっと。
戦争するならそういう風に、相手の防備――あ、コレお城の塀の高さとか、相手の盾の硬さとか、そういうことだけじゃなくて、国や軍隊での人間関係や外交やら、そういう全体的な防御力のコトですけども――その卵の殻みたいに手薄なところ、つまり「虚」を、自分達のガチガチに強い攻撃――こっちも武器とか兵隊さんの強さだけじゃないですよ。作戦や政治力まで含めた国力ってことですね――その中心まで頑丈な「実」の力をぶつければ、ぐしゃっとイッちゃうって寸法ですよ。
戦争って言うのは、まあ、敵サンと正面きって対峙してる状態なワケですけども、だからって、正面きって戦う必要は無いんじゃないですかね。
勝つためには相手がこれっぽっちも考えつけないような奇をてらった作戦が必要なんじゃないですかね。
奇策上手な人は、行けども行けども果ての無い天地のように、干上がらずに水がドンドン流れてくる大河のように、次々に作戦を考えちゃう。
もうネタ尽きちゃったかなーなんて思っても、お日様が沈んでもまた昇ってくるよーな、お月様が欠けていってもまたまん丸に満ちてくるよーな感じで、すーぐ新しいアイディアが出てきちゃう。
あ、これそうとうスベってるぞって時でもすぐに復活出来るのは、冬が来て草木が枯れちゃっても、じきに春が来て芽が吹いて、夏にはガンガン育っちゃうし、秋には大収穫祭ができちゃうのとの同じ事ってす。
これ、例え話になっちゃうんですけども。
中華な音楽の音階は、宮・商・角・徴・羽、の五段階で出来てます。これ五声っていって、ドレミで言うとド・レ・ミ・ソ・ラなんですけどね。
この五つの音階しかないのに、音楽家さんはこれを組み合わせを変えて、いろんなフレーズを作っちゃう。
おかげでオレ達はいろんな名曲が聴けちゃう。ありがたいことですねぇ。
中華な色の基本色は、青・赤・黄・白・黒の五色……ああ青は緑のコトですね。四聖獣の青龍ってのは、緑色だったりするんですけども、まあそれは置いといて。
ともかく、基本色は「CMYKと白」の五色しかないのに、絵描きさんはこいつを組合わせたり混ぜたりりして、変幻自在の色使いをする。
だから、オレ達は凄い名画をたくさん見られちゃう。素晴らしいっすよね。
中華な味の基本は、辛・酸・鹹・甘・苦の、これまた五つでこれが五味。
この五つの味を料理人さんはイロイロ組み合わせを変えて、いろんな味を生み出してくれる。
そして、我々はそりゃもう美味しい料理を鱈腹頂戴できちゃう、と。うれしいっすよね。
ところで、戦い方には奇と正、つまり「アドリブ」と「台本通り」の二つしかありません。
ええ、二つしか無いけど、だからって簡単てことじゃない。この二つをいろんな分量で組合わせて、変化させて行くと、できあがりにリミッターがなくなるんですねー。
石を削って真ん中に穴を開けたまあるい環、ご存じでしょ? あれには丸い輪っかがぐるっとなってる訳で、端っこってものが存在しません。
奇策と正攻法の組合わせもそういう物なんですよね。
セオリー通りに進んでるときにちょっとイレギュラーな動きをするから、敵サンチームは対応出来なくなる。
乱れてるところに今度はドカーンと正攻法でぶつかってみる。
そうやって色々組合わせていると、敵サンチームはこっちがこのまま正攻法で来るのかアドリブが来るのか判らなくなって、もっと混乱しちゃうでしょーね。
こういう、どこまで巡っても始めも終わりも順序もない無限大に、限度を見つけられる人がどこにいます? って話です。
ところで、水がめっちゃ激しく速く流れると、石ころどころか岩だって、ドンブラこっこと漂わせちゃいますよね? いや、勢いがあるってゴイスーですよね。
鷹とか鷲とかの猛禽類ちゃん達は、目にもとまらない速さで舞い降りて、掴んだ獲物の骨を一気にポキッてやって仕留めちゃう。こういうタイミングバッチリ填まっちゃうのって、めっちゃ気持ちいいと思いませんか。
突然何を言い出すのか、って思いました?
オレが何を言いたいのかってーと、戦争の上手い人は、勢いを撓めて溜めて貯め込んで、ここぞって瞬間の一瞬でぶっ放すンんだ、ってことです。
弩ってありますよね? あれ、めっちゃ張力が強いんで、弦をめいっぱい引くのにはちょいと時間とお手間がかかるんですけど、いざセットが出来ちゃえば、引金を引くのは一瞬。
ちょっとのお手間と一瞬の動作で、めっちゃ強い矢が敵めがけてドバドバギューンと飛んでいって、敵を釘付け出来ちゃう、と。
実際にドンパチおっ始めちゃうと、そりゃどうしたって紛紛紜紜な状態になることだってありまさーね。でもそういうときだって取り乱して慌てちゃぁいけません。
敵も味方も入り交じって渾渾沌沌な状態になったとしても、自分のチームにはちゃんと隊列を整えさせて、どこから攻められても対応出来るようにしておけば、負けることないですもん。
混乱っていうのは秩序から生まれるもンです。整ってるのが崩れるから混乱するんですよ。逆に混乱を整えれば秩序になります。
怯えは勇敢さから生まれちゃいます。勇気がありすぎて無謀に突き進むと、大体怖い思いをしますからね。これも、怯えながらでも進んでいければ、逆に勇気が湧いてきちゃったりしますし。
弱点は強さの中から生まれちゃうンです。ものすごく強い物でも、横っちょからちょいと突っついたら、案外ポッキリいっちゃったりしますよ。でも弱みに見えてた物が、使い方次第で強みになることだってあるんですよ。
なんでも良い状態から悪い方に転ぶかも知れないし、悪い状態も持って行きようで好転出来るってコトです。善し悪しは表裏一体なんですよ
重要なこと、言いますよ。
チームが混乱するかビシッとまとまるかは、チームの編成で決められます。
ガンガン行けるかビビりまくるかは、そのときの勢いが決めるんです。
強みか弱みかは、チームの態勢で決まっちゃいます。
つまり、物事をイイ方向に持ってくのは、そのチームを率いている将軍のお仕事ってことですね。
お仕事上手で煽り上手な将軍さんは、敵サンチームに向かって、わざと弱そうな、ビビりな、混乱した「フリ」をして見せつけちゃいます。
すると、敵サンチームは、
「お、あいつら弱っちいンじゃね?」
って勘違いしてくれて、ホイホイ誘い出されちゃう。
そうやっておびき出しておいて、いかにもお得お得そうな「餌」を撒けば、
「こりゃ取らなきゃ損するわ!」
って勘違いして、ドッと食らいついてくれる。
こうやって敵さんチームが「お得な情報」で釣り出されたその先では、自分達チームが準備万端ウエルカムで待ち構えているワケですね。んで、ガッポリ総取り頂きます、と。
故に、善く戦う者は、之を勢に求め、人に責めず。
おっと。また名言が飛び出しちゃいましたよ、コレ。
ちゅうワケで、戦争の上手い人は、勝ち負けを「全体の勢い」に求めちゃいます。部下や仲間の「個人的な力」に頼らないのは勿論で、自分の「個人的な能力」だって当てしません。戦争は個人競技じゃないですもんね。
確かに人材は選び抜きますけど、それは勢いに乗るための準備ですから。選び抜いた人材は、勢いのビッグウエイブを乗りこなせるように適材適所な配置をしちゃう。
勢いの乗りこなし方が上手い将軍さんが、戦場で兵隊さんを動かすってーところを見てると、コレ面白いですよー。
まるで坂道の上から丸太や石ころを転がしてるみたいに見えますよ。
丸太も石ころも、平らなところでは止まってますけど、急な坂に置くと動き出すますよね、ごろごろっと。ま、四角く切り出してあればウンともスンともビクとも動かないけれど、丸く加工してあればそりゃーもうゴロンゴロン転がっちゃう。
つまり、兵隊さんたちがイイお仕事ができる「勢い」っていうのは、まん丸で頑丈な「石」をアルプスの山の上に持ってって、一気に転げ落としちゃう、そういう感じのヤツなんですよ。
――当然、あらかじめ転がる先の方に、ぶっ壊したい「卵」を引きずり出して、ちゃんとぶつかるように、お膳立てしとくんですけどもね。
止まらない勢いを創り出して、且つ、制御する……難しいけど絶対必要なことですから、覚えといて下さいね。
将軍さんがすっごい大人数の軍隊を引っ張ってるのに、まるで、
「あれ? ちょびっとの人間を引率してるのかなー」
ってぐらいにイイカンジにまとめられてるって時は、最高にイイ案配でチーム分けができてるんじゃないか、ってことなんですよ。
例えば、すっごい大人数で戦ると、こっちで出した命令とか作戦とかがあっちの端っこの方まで行き渡るのに、どえらく大変だったりするでしょ? 右へ行け、って指示出してから、実際右に進むまでに熱燗が冷酒になっちゃうくらい時間が掛かっちゃったりする。これ、結構イラつきますよね。
もしグループの人数が少なければ、右に進めって言えばすぐ全員が右に行くし、左って合図すればずぐに左に曲がれちゃう。
コレ、普通の軍隊なら当たり前の話。
だから、もし、凄ーく大人数を動かして戦ってるって言うのに、まるで少ない人数で戦ってるみたいに兵隊さんがスムーズに動けてるとしたら、合図とか連絡系統とかのモロモロの決め事がビシッと填まってるってコトなんじゃないですかね。
こういう軍隊、良いっすよねー。
軍隊全体の兵隊全員が、敵さんチームに上手いこと対応して、負けずにいられる……こういう理想的な動きの出来る軍隊は、奇策と正攻法を、その場に応じてちゃんと使い分けているんですよね。
中までカッチカチな石ころを、殻の薄い卵にぶつけちゃったら、割れますよね、ぐしゃっと。
戦争するならそういう風に、相手の防備――あ、コレお城の塀の高さとか、相手の盾の硬さとか、そういうことだけじゃなくて、国や軍隊での人間関係や外交やら、そういう全体的な防御力のコトですけども――その卵の殻みたいに手薄なところ、つまり「虚」を、自分達のガチガチに強い攻撃――こっちも武器とか兵隊さんの強さだけじゃないですよ。作戦や政治力まで含めた国力ってことですね――その中心まで頑丈な「実」の力をぶつければ、ぐしゃっとイッちゃうって寸法ですよ。
戦争って言うのは、まあ、敵サンと正面きって対峙してる状態なワケですけども、だからって、正面きって戦う必要は無いんじゃないですかね。
勝つためには相手がこれっぽっちも考えつけないような奇をてらった作戦が必要なんじゃないですかね。
奇策上手な人は、行けども行けども果ての無い天地のように、干上がらずに水がドンドン流れてくる大河のように、次々に作戦を考えちゃう。
もうネタ尽きちゃったかなーなんて思っても、お日様が沈んでもまた昇ってくるよーな、お月様が欠けていってもまたまん丸に満ちてくるよーな感じで、すーぐ新しいアイディアが出てきちゃう。
あ、これそうとうスベってるぞって時でもすぐに復活出来るのは、冬が来て草木が枯れちゃっても、じきに春が来て芽が吹いて、夏にはガンガン育っちゃうし、秋には大収穫祭ができちゃうのとの同じ事ってす。
これ、例え話になっちゃうんですけども。
中華な音楽の音階は、宮・商・角・徴・羽、の五段階で出来てます。これ五声っていって、ドレミで言うとド・レ・ミ・ソ・ラなんですけどね。
この五つの音階しかないのに、音楽家さんはこれを組み合わせを変えて、いろんなフレーズを作っちゃう。
おかげでオレ達はいろんな名曲が聴けちゃう。ありがたいことですねぇ。
中華な色の基本色は、青・赤・黄・白・黒の五色……ああ青は緑のコトですね。四聖獣の青龍ってのは、緑色だったりするんですけども、まあそれは置いといて。
ともかく、基本色は「CMYKと白」の五色しかないのに、絵描きさんはこいつを組合わせたり混ぜたりりして、変幻自在の色使いをする。
だから、オレ達は凄い名画をたくさん見られちゃう。素晴らしいっすよね。
中華な味の基本は、辛・酸・鹹・甘・苦の、これまた五つでこれが五味。
この五つの味を料理人さんはイロイロ組み合わせを変えて、いろんな味を生み出してくれる。
そして、我々はそりゃもう美味しい料理を鱈腹頂戴できちゃう、と。うれしいっすよね。
ところで、戦い方には奇と正、つまり「アドリブ」と「台本通り」の二つしかありません。
ええ、二つしか無いけど、だからって簡単てことじゃない。この二つをいろんな分量で組合わせて、変化させて行くと、できあがりにリミッターがなくなるんですねー。
石を削って真ん中に穴を開けたまあるい環、ご存じでしょ? あれには丸い輪っかがぐるっとなってる訳で、端っこってものが存在しません。
奇策と正攻法の組合わせもそういう物なんですよね。
セオリー通りに進んでるときにちょっとイレギュラーな動きをするから、敵サンチームは対応出来なくなる。
乱れてるところに今度はドカーンと正攻法でぶつかってみる。
そうやって色々組合わせていると、敵サンチームはこっちがこのまま正攻法で来るのかアドリブが来るのか判らなくなって、もっと混乱しちゃうでしょーね。
こういう、どこまで巡っても始めも終わりも順序もない無限大に、限度を見つけられる人がどこにいます? って話です。
ところで、水がめっちゃ激しく速く流れると、石ころどころか岩だって、ドンブラこっこと漂わせちゃいますよね? いや、勢いがあるってゴイスーですよね。
鷹とか鷲とかの猛禽類ちゃん達は、目にもとまらない速さで舞い降りて、掴んだ獲物の骨を一気にポキッてやって仕留めちゃう。こういうタイミングバッチリ填まっちゃうのって、めっちゃ気持ちいいと思いませんか。
突然何を言い出すのか、って思いました?
オレが何を言いたいのかってーと、戦争の上手い人は、勢いを撓めて溜めて貯め込んで、ここぞって瞬間の一瞬でぶっ放すンんだ、ってことです。
弩ってありますよね? あれ、めっちゃ張力が強いんで、弦をめいっぱい引くのにはちょいと時間とお手間がかかるんですけど、いざセットが出来ちゃえば、引金を引くのは一瞬。
ちょっとのお手間と一瞬の動作で、めっちゃ強い矢が敵めがけてドバドバギューンと飛んでいって、敵を釘付け出来ちゃう、と。
実際にドンパチおっ始めちゃうと、そりゃどうしたって紛紛紜紜な状態になることだってありまさーね。でもそういうときだって取り乱して慌てちゃぁいけません。
敵も味方も入り交じって渾渾沌沌な状態になったとしても、自分のチームにはちゃんと隊列を整えさせて、どこから攻められても対応出来るようにしておけば、負けることないですもん。
混乱っていうのは秩序から生まれるもンです。整ってるのが崩れるから混乱するんですよ。逆に混乱を整えれば秩序になります。
怯えは勇敢さから生まれちゃいます。勇気がありすぎて無謀に突き進むと、大体怖い思いをしますからね。これも、怯えながらでも進んでいければ、逆に勇気が湧いてきちゃったりしますし。
弱点は強さの中から生まれちゃうンです。ものすごく強い物でも、横っちょからちょいと突っついたら、案外ポッキリいっちゃったりしますよ。でも弱みに見えてた物が、使い方次第で強みになることだってあるんですよ。
なんでも良い状態から悪い方に転ぶかも知れないし、悪い状態も持って行きようで好転出来るってコトです。善し悪しは表裏一体なんですよ
重要なこと、言いますよ。
チームが混乱するかビシッとまとまるかは、チームの編成で決められます。
ガンガン行けるかビビりまくるかは、そのときの勢いが決めるんです。
強みか弱みかは、チームの態勢で決まっちゃいます。
つまり、物事をイイ方向に持ってくのは、そのチームを率いている将軍のお仕事ってことですね。
お仕事上手で煽り上手な将軍さんは、敵サンチームに向かって、わざと弱そうな、ビビりな、混乱した「フリ」をして見せつけちゃいます。
すると、敵サンチームは、
「お、あいつら弱っちいンじゃね?」
って勘違いしてくれて、ホイホイ誘い出されちゃう。
そうやっておびき出しておいて、いかにもお得お得そうな「餌」を撒けば、
「こりゃ取らなきゃ損するわ!」
って勘違いして、ドッと食らいついてくれる。
こうやって敵さんチームが「お得な情報」で釣り出されたその先では、自分達チームが準備万端ウエルカムで待ち構えているワケですね。んで、ガッポリ総取り頂きます、と。
故に、善く戦う者は、之を勢に求め、人に責めず。
おっと。また名言が飛び出しちゃいましたよ、コレ。
ちゅうワケで、戦争の上手い人は、勝ち負けを「全体の勢い」に求めちゃいます。部下や仲間の「個人的な力」に頼らないのは勿論で、自分の「個人的な能力」だって当てしません。戦争は個人競技じゃないですもんね。
確かに人材は選び抜きますけど、それは勢いに乗るための準備ですから。選び抜いた人材は、勢いのビッグウエイブを乗りこなせるように適材適所な配置をしちゃう。
勢いの乗りこなし方が上手い将軍さんが、戦場で兵隊さんを動かすってーところを見てると、コレ面白いですよー。
まるで坂道の上から丸太や石ころを転がしてるみたいに見えますよ。
丸太も石ころも、平らなところでは止まってますけど、急な坂に置くと動き出すますよね、ごろごろっと。ま、四角く切り出してあればウンともスンともビクとも動かないけれど、丸く加工してあればそりゃーもうゴロンゴロン転がっちゃう。
つまり、兵隊さんたちがイイお仕事ができる「勢い」っていうのは、まん丸で頑丈な「石」をアルプスの山の上に持ってって、一気に転げ落としちゃう、そういう感じのヤツなんですよ。
――当然、あらかじめ転がる先の方に、ぶっ壊したい「卵」を引きずり出して、ちゃんとぶつかるように、お膳立てしとくんですけどもね。
止まらない勢いを創り出して、且つ、制御する……難しいけど絶対必要なことですから、覚えといて下さいね。
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